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音楽がつないだ仲間が…
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3人それぞれの作品が醸す不思議なケミストリーを、お客さんは意外なくらいすんなり受け入れてくれていると平岡さんは話す。川島さんの歌に惹かれるお客さんのほとんどが、シーボーンアートやウッドクラフトにも興味を持ち、話を熱心に聞いて、ときに気に入ったものをその場で買っていってくれる。海浜清掃に来てくれるようになったお客さんもいる。the 5th seasonの活動が、無垢材を使った家具を広め、海浜清掃の輪を広めていく。同じ音楽に共感する人たちが、楽しみながら自らがいい循環を作り出す主体になっていく。
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「音楽がつないだ仲間と海を楽しみながら歩くうち、自分だけの作品を作れるようになって、また作品が増えていくほど海も浜辺もきれいになっていく・・・。これって素敵ですよね。」
海浜清掃から始まるアートは、肩の力を抜いてできるささやかな、それでいて確かな一歩。何より楽しんで続けられるのがいい。「海の声を聞いて涸れることのないエネルギーをもらった」と話す平岡さんの活動は、きっと失ったアンテナを取り戻すきっかけをくれるはずだ。平岡さんとthe 5th seasonの夢はまだまだ広がる。
■取材後記 川良 麗子 フリーライター |
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浜辺の漂着物を拾う習俗は、古くは“浜廻り”と呼ばれ、利用可能な流木や畑の肥やしになる藻など、打ち上げられる“寄りもの”は人々にとって貴重な資源だった。江戸時代には、日本海沿岸に大量の流木が打ち上げられ、それが朝鮮半島で起こった大規模な土砂災害がもたらしたものであることを、長崎の異国船からの情報で知ることもあったという。“寄りもの”は、それを拾う人たちにとって、外の世界を知る手がかりにもなっていたというから面白い。 |