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Vol.17 福井利恵さん
「命を育てる」「命をいただく」コミュニケーションが世界を変える

  • 2009年5月1日

野生の環境から人間の世界に連れてきてしまった、馬との関係の構築

馬と  福井さんは、2010年の千葉国体での仕事をされるそうで、2009年より、馬の診療の活動を始めています。馬と人間は欧米社会や日本でも古くから特別な関係にあり家族の一員として育てられてきた歴史があります。馬と人間は特別な関係でコミュニケーションの深い部分を見たり、人がなぜ馬に会いにくるのか、人と馬の関係を勉強しています。養豚や犬猫を仕事としてきた福井さんは、馬に会いに来る方から教わることは新しい発見が大きく、馬とのパートナーシップはそのまま犬猫にも言えることが多いのでは、と思っているそうです。
 また、「乗馬は大変メンタルなスポーツで、自分の心の状態がそのまま馬の動きに現れるので、そういった意味でも、自分自身の観察をするし、人とのコミュニケーションにも活かせるスポーツ」と話します。

 

痛みの感覚のちがい

 

産業まつり  動物と人の痛みの感覚についてですが、福井さんによれば「動物は人間に比べて痛みの感じ方が少ないように見えます。オペをした後でも、痛み止めを別途処方しなくても家に帰れたりします。そして犬の場合、痛そうな素振りをすることも少ないです。もちろん、痛みがないわけではありませんし、痛そうにしていることもありますが・・・。特に犬猫でなく牛や豚の場合は、痛みをあまり感じていなくて、平気でいる様子だったりします。もちろん痛いんですよ。
 これに比べて、人間はどうでしょう。手術の後など、痛み止めがないとやってられないですよね。人は、痛みを増幅する機能があるみたいです。痛みの感覚は、動物と人で、どうも違うようです。特に被食動物は、痛いからといって大声で鳴いては、敵につかまってしまう、というのがカギのようです。特に思うのが、馬の脚。いつも擦り傷だらけだったりする馬もいますが、そんなに痛くなさそう。その点、恐怖に関しては、動物は忘れられないようです。ちなみにうちの犬は、犬小屋に入って怖い思いをしたのか、絶対に入らなくなりました。人は、上手く忘れたり、恐怖を感じなくする機能があり、それにプラスして人は言葉で痛みや恐怖を表現することで、それを処理できるのです。ほんと、言葉ってすごい。ですから、動物を扱う時に留意することは、人の感覚だけでからではなく、特に『恐怖』を与えないこと」だという。

 

変わりゆく幸福のかたち

 

森
毎日散歩する森
 最近、結婚をしない方や、離婚をする方が増えています。福井さんは、自身の体験を積極的に話し周囲の相談にのっています。それぞれ事情は違いますが、「自分自身を大切に生きたい」という社会的概念が生まれていることの表れと感じているそうです。「パートナーシップとは、お互いが自分自身を持ち出し、機能するように協力しあうもので、相手を思い通りに支配したり、どちらかがどちらかの人生を止めたり、苦しめるためのものではありません。昔は、耐え偲ぶ。という考えがありましたが、最近の傾向からして、自分自身の自立、まずは人に頼らないところから始める時期ではないか、という意見を持っています。自立が成立した上で、時代とともに、結婚の形は更に新しく変化していくと思います」

 「戦後は、『物』を生産することで、達成感や幸福が得られたのですが、現代の社会は物や情報があふれ、昔と同じやり方では人生の幸福が得られません。現代求められているのは、過去に創られた価値観に依存するのではなく、本来の自分自身への自立した状態で、本当にやりたいことをやることが、人生なのでしょう。一人ひとりがそれを実践することで、機能するコミュニケーションが日本に充満し、政治、経済なども含め機能する状態になるでしょう。一人ひとりの自立、そして自分自身の本来のやりたいことに基づいた行動。そのために、私の獣医師という立場からのコーチングが良いきっかけになれば、と『コーチング獣医』のネーミングをし、活動を始めました」と話す福井さん。

 

コミュニケーションが世界を創る

 

 「結局、世界を創っているのは、人の価値観とコミュニケーションだと思います。世界をより良くするために自分の固執した価値観という枠が邪魔をしているならば、それをいったん手放して、本来の自分自身でコミュニケーションを人と、職場と、社会と取っていくと、必然的に変化するチャンスが訪れます。特に獣医師や動物看護士、畜産業は私たちが日頃から生きるのに提供されている「命」を扱う職業で、命の尊さ、そして命あること、命あるものへの感謝を強く感じることが出来る職業だと思います。ですから、動物に携わる私たちは社会へそのことを伝える意図で関わることで、社会に命への感謝が伝搬していきます。動物病院でのコミュニケーションや、畜産農場での動物との関わり方、関係者との会話ひとつから、動物を通した人と人とのコミュニケーションは社会変革へ大きな可能性を秘めています」と福井さんはいう。
 機能するコミュニケーションを使って、命を大切にする社会を実現する。その視点から福井さんの活動は一例を挙げても、獣医師へ向けたコーチング・コミュニケーショントレーニング、人と動物の共生に関わるプロジェクト・企業への支援・コーチ、大学への特別講義や小学校への命の授業、安心・安全な畜産物を食卓へ「農場HACCP」指導・講演など様々です。
 「私たち人間は、動物、植物を問わず、『命』をいただいて命を保っています。つまり、すべての命はつながっていて、地球全体を健康にするには、私たち一人ひとりが健康であり、周りの命に感謝し、健康に保つことが大切なのです。私たちが地球環境とより良く共生していくには、そのことに一人ひとりが気づく必要があると思います」

■ コーチング獣医に関するコーチングやコンサルティング・セミナーのお問い合わせは: rie@nanohanavet.jp
■ なのはなベテリナリーサービス: http://nvs.health.officelive.com/default.aspx

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