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Vol.15 黒澤 聡樹さん
メセナが会社を育てる

  • 2008年12月1日

これからは、生物と生物の戦いに・・・

グリーングローブ
グリーングローブ日本支部設立調印式でSir フランク・モア会長と
Jライン
自動防鼠捕獲装置 Jライン
 黒澤さんはできる限り時間を見つけてさまざまな場所を訪れています。アメリカ、ロシア、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、中国、タイ、ネパール、アルゼンチン、パラグアイ、ニュージーランドなどとできるだけ多くの国々を回ったそうです。

 「1995年に私はロシアを訪れました。ちょうどその時、クレムリン広場から大通りには人々の波で溢れかえっていました。元米国大統領クリントン氏ご臨席の下、戦勝50周年のパレードが行われていたのです。私は人の波に逆らって進んでいくと、みんな笑顔で溢れていることに気が付いたのです。その時、その満面の笑顔を見ながら、『あ〜、これで本当に戦争は終わったのだ、人間と人間が殺し合う悲惨な戦争は終わったのだ』を痛感しました。そこでふと…、『これからは、生物と生物との戦いが始まるのだ』と直感したのです」

 人や生物、細菌や病気に至る、あらゆる生物が国際間を行き交う時代が到来しています。近年では、首都圏を中心にネズミ、カラス、ドバト、外来種による被害が急増しています。これらによって、健康被害ばかりでなく、環境汚染、ライフラインの遮断、火災、経済的損失などの生物がもたらす事故との戦いが続いています。

 時代は、健康と環境に配慮した、薬剤を使用しない方向に進んでいます。黒澤さんの会社では、世界で初めて、「予防化、無害無影響、自動化」を駆使した『ゼロベース予防システム』を開発しました(右の写真は、新宿駅東口の飲食ビルノワビルに設計の段階から導入し、10年以上にわたり、有害害虫獣によるクレームゼロという実績を上げている自動防鼠捕獲装置)。実はその開発に「20年前に、あの本田宗一郎さんが6千万円の開発資金を援助してくれました。何も言わずに判を押してくれて、研究開発の末に完成したのが自動防鼠捕獲装置“Jライン”です」と黒澤さん。


木は友情のしるし

桜と国王
1973年タイ王国のプーピン宮殿でさくらの植樹
さくらの会
2008.4月、日本さくらの会中央大会で憲政記念館に植樹

 「『ドウモ アリガトウ〜』と、流暢な日本語で、プミポン タイ国王陛下は私の手を両手でしっかりと握りしめたのです。35年前、1973年にタイ王国のプーピン宮殿で、桜の苗木を国王や皇女らと一緒に植えたときのことです」と、黒澤さんは当時のエピソードを。「その前日のことですが、翌日の植樹祭の準備のために、関係者が総出でドロドロになりながら宮殿の庭に穴を掘っていました。私も口もきけないほどクタクタになってホテルに戻ると、いい香りと共に、♪さくらさくら♪の琴の演奏がどこからともなく聞こえてきたのです。そこにいたみんなに思わず笑顔が戻り、とたんに涙が溢れてきました。
 プミポン国王の粋なお心遣いだったのですが、その温かいお気持ちが嬉しくて、それからでしょうか、タイ国との絆が事業の面でも太く強くなっていったのは…」ちなみに、いい香りの正体は、何千本という黄色いフリージアが黒澤さんたちを歓迎するためにホテルのロビーに生けられていたものだそうです。

 黒澤さんは、47年前に事業を引き継いだときから 『美しい街づくり』を経営のモットーに、社会貢献事業として「さくらふるさと街づくり運動」を展開してきました。財団法人 日本さくらの会を通じて、 これまで日本各地はもとより世界各国に苗木・種子等、延べ30万本以上のさくらを広めてきました。

 海外の桜というと、ワシントンのポトマック河畔の桜並木が浮かぶのではないでしょうか。この桜は100年も前に、まだ東京都が市政だったときの初代東京市長で「憲政の神様」と称えられた尾崎行雄氏によって贈られたものです。
 「世界各地で桜が満開を迎えると、言葉や国境を越えて人々が集まり、満面の笑みを湛えていることに気がつきました。桜は防虫作用もあり大気汚染の浄化作用にも優れています」と教えてくれました。

 「さくらふるさと街づくり運動」のひとつとして劇団「ふるさときゃらばん」も支援してきた黒澤さん。そして2006年には地球環境事業推進のため、グリーングローブの本部のあるオーストラリアを黒澤さん自ら訪問し、日本支部の設立に尽力。グリーングローブ環境認定機関として展開している。黒澤さんの会社は、来年2009年に創業50周年を迎えるという。



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