60代の精神科医・和田秀樹さんは、自由で幸せな生き方を追求中。今回は和田さんの著書『わたしの100歳地図』より、「怒る人」と「不安な人」、じつはどちらが怖いのかをご紹介!
著名な政治家や会社の社長が、カッとなり暴言を吐いたことで失脚してしまうというニュースを聞くことがよくあります。そのことで多くの人が「簡単に怒ってはいけないんだ」と思ってしまっているかもしれません。
ところが、そのようなことは日本では珍しいからニュースになるわけで、怒り感情をあらわにして地位を失う人は、実はそんなに多くありません。逆に腹が立っているのに、うまく怒ることのできない人のほうが日本人には圧倒的に多いのです。
それは、怒りの感情をあらわにして他人から嫌われるのがイヤだからという理由で、正しい感情のコントロールができていないからなのです。
それよりも問題なのは、企業の社長をはじめとする高学歴でかつ出世競争にも勝ち抜いてきた人が、いとも簡単に粉飾決算をしたり、リコール隠しをしたりして、結局のところ刑事罰を受けるような始末となることです。
業績や評判の悪化、株主たちの目を恐れる不安感情から善悪の判断がつかなくなっているからで、わたしのような精神科医の立場から見ると、このように怒りの感情よりも不安感情のコントロールができないほうがよほど怖いといえます。
怒りも不安も気持ちをきちんと整理すれば、怒るべきところで怒ることができるし、不安に支配されて判断を誤ることもないのです。
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『わたしの100歳地図』和田秀樹 1100円/主婦の友社
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