
SNSで自身の体験を中心に漫画を描いているけろちゃんさん。なかでも新卒で入った会社でパニック障害と適応障害を発症し、ニートになるまでの体験を描いた作品には大きな反響があり、「休職中の生活」や「職業訓練校で学んだこと」などの描きおろしを加えて電子書籍化された。
本記事ではその電子書籍「とりあえず生きてる! ~新卒1年目で心を病んだニートが社会復帰した話~」から一部抜粋・編集してご紹介。今回は、休職前の1週間について。診断書を提出したにも関わらず、「業務の引き継ぎが難しいから」と、いつも通り業務を続けるように言われて…?
■休むことができなかった、地獄の1週間
心療内科の医師からは診断書を提出したらすぐに休職するよう言われていたが、すぐには休職させてもらえず結局1週間働くことに。この期間はどのような気持ちだったのだろう。
「正直、生きた心地がしませんでした。体調ももちろん悪くてつらいのですが、それ以上に私の病気や事情を周りの人間が知っている中で働くことが、とても居心地が悪くて。嫌でたまらなかったです…。ただ、私の行動にいちゃもんをつけてきたり、仕事を押し付けたりされることは、流石にこの1週間では一度もなかったです(笑)」
1週間が過ぎたころ、突然「今日はもう帰っていいよ。あと明日から休職しちゃってー」と言われる。そのときの本音を聞いてみた。
「心配してくれたわけではなく、保身のために帰っていい・休んでいいと言われたことに気づいたときは、もう何ひとつ信じることができなくなりました。正直、もともと信じてはいなかったのですが、さらに不信感が募った感じです」
この出来事がきっかけで、けろちゃんさんの考え方に変化があったそう。
「今後どんな会社に行ったとしても、会社の人の言葉を真に受けるのは一切やめようと決めました。本音が聞けたらラッキー程度に思うことにしたんです。すべての言葉を疑ってかかるのではなくて、川の流れのように、すーーっと流す感じで付き合うのがいいと思っています。すべてを真に受けると疲れてしまうので、私には合った考え方が身について結果オーライです」
波乱万丈の実体験を漫画にするけろちゃんさん。今後の作品も楽しみにしてほしい。
取材・文=石川知京