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Vol.181 旭化成パックスという会社でお話を聞きました。その1

  • 2015年10月15日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 また、取材に出かけてきました。今回、お邪魔したのは旭化成パックスという会社で、その業務内容の詳細はホームページで確認していただければと思いますが、この取材のテーマは6月に3回にわたって紹介したプラスチック油化事業の続編です。

旭化成パックス
旭化成パックス株式会社ホームページ
 6月の記事では、株式会社ブレストの油化装置と伊東社長の素晴らしい取り組みを紹介したわけですが、そこでもお伝えした通り、同社の油化装置はプラスチックのなかでもポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)という3種が対象なので、それを分別する必要があります。この油化の取り組みを広げていく上で、その分別の作業が大きな課題になるわけですが、もちろん伊東社長はじめ、関係者のみなさんはそこで立ち止まっているはずもありません。“だったら「ここで使われているプラスチックは全部油化できるプラスチックです」という状況を作ればいいんじゃないか”という発想のもと、プラスチックメーカーと組んで、TV局の公開イベントやプロスポーツのパブリックビューイングでプラスチックカップ油化&発電企画を実現しています。そして、そのパートナーとなっているメーカーが、今回お邪魔した旭化成パックスさんというわけです。

 今回、同社を取材させていただいたのは、石油からプラスチックが生成され、それが何かの製品になり、それを我々が使った後、また油にするという流れのなかで見れば、使用済みのプラスチックを油化するブレストの取り組みから流れを遡ることになるわけですが、“上流”に行けばさらにこの事業の可能性と課題がよりくっきりと見えてくることもあるんじゃないかと我々は考えたからです。

 一方、旭化成パックスさんからすると、プラスチックメーカーの責任として使用済み製品のリサイクルに取り組み、この油化事業に行き着いたとのこと。同社では、大手コーヒショップ・チェーンやファストフード・チェーン、コンビニ・チェーンでの展開も模索しながら、まずはイベント会場やプロスポーツの試合会場といった“限定的な空間”でノウハウと実績を積み重ねている段階であるようでした。

 そうしたお話を聞くなかで、いよいよ明らかになってきたのは、例えば音楽の野外フェスとこの事業の親和性の高さです。野外フェスという特定の空間のなかでは、飲み物を提供するカップはすべて油化可能なプラスチックに統一することができるし、プラカップの利用者にストレスの少ない回収の動線を確保することも比較的容易でしょう。

 加えて、僕は個人的にすごく重要だと思うのは、プラスチックの油化をゴールにしてみんなに動いてもらう、という形にならないということです。エコや社会貢献の事業では「いいことをしたい人、集まれ!」という感じで、その取り組み自体をゴールにして人を動員する形の取り組みをしばしば見かけますが、その形だとその取り組みの本質的な理解に向かわずに、とにかく「いいことをしました。お終い」ということになってしまいがちだし、そもそも「いいことをしたい人、集まれ!」という呼びかけはえてして魅力的ではないですよね(笑)。

 対して、お気に入りのアーティストが「みんながビールを飲んだカップから発電した機材でご機嫌な音楽を届けるよ」というイベントなら、個人的な楽しみと油化事業が地続きになってて、お互いに無理がないと思うし、そういう形なら繰り返し続けられると思うんです。

 こうなってくると、“僕としては、ああいうことはできるな。こういうこともできるんじゃないか?”というふうにいよいよ妄想が広がっていくわけですが(笑)、次回はまた妄想から現実に戻って、旭化成パックスでの取材からもう少し紹介したいと思います。お楽しみに。

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