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Vol.172 プラスチック油化の技術について見学してきました。

  • 2015年6月4日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 今回はまた見学に出かけてきました。今回お邪魔させていただいたのは、神奈川県平塚市に本社をおく株式会社ブレストという会社です。

 この連載をずっと読んでくれている読者の方なら、僕が以前、品川区のゴミ処理場やペットボトルのリサイクル施設を見学したこと(Vol.29)も憶えてくれていると思いますが、ペットボトルに限らず、プラスチック・ゴミの処理については、“きっとどうにかなると思うんだけどなあ”という割り切れない思いを僕はずっと抱えていました。というのも、“どうもおかしいぞ”とは感じてはいても、具体的な対案を調べて実践するということを自分が納得できるまで掘り下げるということが、物理的、時間的な制約もあり、できていないというもどかしさがあって、たとえばこのブレストという会社が取り扱っているプラスチックを油化する技術にしても、最初に開発された時点で知ってはいたんですが、その後しっかりフォローできずにいたりしたからです。それが、facebookのつながりのなかで、たまたまこの会社の存在、そしてその活躍ぶりを知るにおよんで、“そうか、この技術はしっかり発展していたんだ”とうれしく思ったのと同時に、ぜひ詳しくお話を聞いてみたいと思い立ち、今回の見学に至ったわけです。

伊東昭典社長・環境授業(国内)
伊東昭典社長・環境授業(国内)
 今回の取材では、伊東昭典社長自ら対応してくださったのですが、見学の冒頭に「この会社の存在を知って、“あっ、良かった!”と思ったんです」という話を僕が伝えたら、伊東社長は「“まだ、生き残ってたか”と思ったんでしょ」と笑って応えてくださいました。今回の見学は本当に楽しい経験だったんですが、その楽しさのほとんどの部分は、この伊東社長の、人間的な魅力によるところが大きいと思います。もちろん、この会社の技術、そしてそこから生み出された油化装置は本当に素晴らしいものだと思いますが、そうした技術の発展も伊東社長の熱意があってこそのものだろうと感じました。2009年前に国連大学の学生たちが伊東社長を取材し、同大学のオフィシャル・チャンネルにアップされた映像で、彼の風貌や語り口を確認することができます。ただし、僕らに対して説明してくださったときには、この映像の語り口の何倍も何十倍も活き活きと熱かったことは付け加えておきたいと思います(笑)。

 ところで、この映像は国連大学のオフィシャル・チャンネルにアップされたわけですから、いわば全世界ネットのテレビ番組で放映されたようなもので、その結果としてすさまじい反響が、文字通り世界規模で巻き起こりました。そのときの対応について、伊東社長はこんなふうに説明してくださいました。

Be-h(本体)
Be-h(油取り出し)
伊東:毎日、60件、70件、英語のメールが届くようになったんです。年間で1万5000件のメールが届きました。解読チームは大変ですよ。そのメールを送ってきた人たちは、かつての僕と同じように、ランドヒルと呼ばれるゴミ捨て場の映像を思い浮かべて、“これが石油になるんなら、儲かる!”と思った人たちなんです。その人たちはお金を持っていますから、10トン、20トンの油化装置となると数十億かかるわけですが、「かまいません。売ってください」と言うわけです。しかし、現実にはこんなにていねいにゴミを分別することが、そういう連中にできるはずないんです。それでも目の前のお金欲しさに、彼らの言う通りに油化装置を売ってたら、おそらく事故を起こして、その時点でウチの会社はつぶれていたと思います。我々が伝えたのは、「まずは、この装置を使って石油に戻す作業を、自分たちが事業としてやれるかどうか確認してください」ということでした。具体的には、卓上の油化装置なら100万円くらいの投資で、どういう作業が必要かということを確認できるから、まずはそれをやってみてくださいということです。そういう手順を経て、大型機を導入した事業者が各国にいます。そして、現在ではいきなり大型機を導入しても大丈夫なシステムに進化しています。

 どうです?わくわくしませんか?

 この説明のなかに、いろんな重要なポイントが含まれていると思うんですが、今回はこのへんで。次回に続きます。

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