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Vol.137 またまた東京・国立市でオフグリッド生活を取材しました。 

  • 2013年12月19日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 相変わらず全国ツアー展開中ですが、年内は残すところあと3本、というところまで来ました。師走ですね。

 さて、今回も東京・国立市に出かけてきました。今回は、この間お話を聞いた藤井智佳子さんに紹介してもらって、今年7月からオフグリッド生活を始めたイラストレーターの杉若優子さんに会ってきました。“そんなことができるのなら、やってみたい”と思うタイプと自己分析してくれた杉若さんは、藤井さんの生活ぶりを見て、オフグリッド生活に踏み切ったということです。

 「何かすごい明確な意志を持ってライフスタイルを修正したということではなく、なんとなくわたしの周りでそういう流れが来ているように感じていました。ただ、こういうエネルギーの問題に敏感になる直接のきっかけということでいうと、やっぱり東日本大震災と福島原発の事故が大きかったと思います」

 オフグリッド生活を始めて約半年経った今でも、家に帰ってきて入り口のスイッチを入れても電気がつかないことに“あれっ?”と思うことがあるそうです。そりゃあ、そうでしょうね。もの心ついてから、ずっとやってきたことだから、きっと体にしみついていますよね。面白かったのは、晴天が続いてバッテリーにたくさん電気がたまったら何をするか?という話で、彼女はDVDを借りてきて見るそうです。“雨が降って、外出する気にならないから家でDVDでも見るか”というのは誰にでもあることだと思いますが、彼女はそういう普通の生活とはまさしく真逆の感覚になってきているわけです。逆に、バッテリーの不具合でうまく電気がたまらない時期もあったそうで、そういうときにはやはり少し不安になったということだけれど、「でも、そういうときはちょっと楽しいんですよね」と笑って話してくれた。こういうふうに、暮らし方のノウハウや道具がまだ十分に揃っていないいまの段階で自分なりにライフスタイルを工夫していこうとすれば、杉若さんや藤井さんのように、一見ちょっとピンチに思えるようなことでも面白がれるような感覚はとても大事だと思います。というか、そういうことを面白そうだと思える人が、こういう生活を始めるということなのかもしれません。

 いずれにしても、杉若さんの話を聞いていると、僕の仮説の生き証人みたいな存在だなあということを感じました。つまり、彼女も最初は、普通にこの社会が用意した欲のなかで生きていて、でも何かのきっかけでそういうお仕着せの部分を削ぎ落としていくことを始めて、そういう「普通」の生活じゃない暮らし方でも生きていけるなということに気づいたり、別に東京でなくてもやっていけるなと思い、そして本当に自分にとって必要な場所はどこかということを意識して考えるようになったということなんです。それに、オフグリッド生活とは直接関係ないですが、“食べたい”という欲求についてもいま考えていると言います。

 「食べるということを見直していて、食べるものにやられてしまわないようにというか、食べ過ぎないようにしています」

 この連載でも何度か書きましたが、何かを食べたいと感じたときに、“その欲求は本当に自分のなかから発生しているものなのか? 外から押し寄せて来る情報に煽られているだけなんじゃないのか?”と、一度考えてみるのはとても大切なことです。じつは、そういうところから自分なりのライフ・スタイルというのが出来上がっていくんだろうとも思いますが、杉若さん、それに藤井さんのように、自分で暮らし方を工夫することで新しいライフ・スタイルを見つけ出す人がもっと増えていくといいなとあらためて思いました。

 最後に、今回が年内最後の更新になります。今年1年、この連載を読んでいただき、ありがとうございました。今年はけっこう外に出かけていくことができたんじゃないかと思うのですが、来年はさらにその回数を増やしていきたいと思っています。来年もよろしく。良い年をお迎え下さい。


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