AMDがRX 9070シリーズ発表。魅力的な価格で4Kゲームも楽しめる

  • 2025年3月5日
  • Gizmodo Japan

AMDがRX 9070シリーズ発表。魅力的な価格で4Kゲームも楽しめる
Image: AMD

「ちょっといいミッドレンジ」を(Nvidiaよりは)買いやすく設定。

AMDがミッドレンジGPU、Radeon RX 9070とRX 9070 XTの詳細を発表しました。先日発売されたNvidia GeForce RTX 5070/5070Tiの対抗馬となる存在です。3月6日にOEM各社から、それぞれを搭載したグラフィックスカードが発売される予定です。

AMDは「ゲーマーが出せるのはミッドレンジ価格でも、4Kでゲームもしたいのよね?」と考えています。そこでRX 9070シリーズのポイントとなったのは、やっぱり価格。

RX 9070は550ドル(約8万2000円)でNvidiaのRTX 5070と同じですが、RX 9070 XTは600ドル(約9万円)からで、NvidiaのRTX 5070 Tiより150ドル(約2万2000円)安いんです。

今回、「RX 8000シリーズ」になるのかと思いきや、一気にRX 9070/9070 XTが来ました。CPUのRyzen 9シリーズと数字的に揃ったのはいいんですが、中身が2世代分進化したわけではないようです。

ただ、たしかに最近のゲームがプレイしやすいように、4K/1440pが想定されてはいます。RX 9070にはRDNA 4演算ユニット56基が搭載され、VRAM(GDDR 6/20Gbps)は16GB、メモリバス256bit、ブーストクロック2.54GHzです。RX 9070 XTは演算ユニットが64基、AIアクセラレーターもRX 9070より多く、ブーストクロックは2.97GHz、VRAMは共通の16GBです。ちなみにNvidiaのRTX 5070 Tiも、VRAMは同じ16GBです。

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さらにAMDは、RX 9070 XTの4Kでのネイティブのフレームレートは、RTX 5070 Tiと同じかそれを上回るといっています。「ネイティブ」とはつまり、AMDとNvidiaそれぞれのアップスケーリングソフトウェアを除いた実力ベースということです。

実際にどうなのかは、発売後のベンチマークで明らかにできるはずです。ただRX 9070 XTの600ドルという価格は、RTX 50シリーズの品薄と価格高騰の今、かなり魅力的に映ります。

RX 9000シリーズの中身は

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RX 9070には539億個のトランジスタが詰まっているんですが、その数はRX 7900 XTでは558億個でした。新たなRDNA 4アーキテクチャの演算ユニットは、従来のRDNA 3より高いクロック速度をサポートしています。AMDによれば、RX 9000シリーズでは電力効率も高まっていて、つまり少ない演算ユニットで、RX 7900シリーズより多くの仕事をこなせるということです。

RX 9070に必要な電力は220Wですが、NvidiaのRTX 5070は250Wです。一方RX 9070 XTは304W、RTX 5070 Tiは300Wなので、こちらはほぼ同じくらい。ただ推奨PSUとしては、RX 9070は650W、9070 XTでは750Wで、それぞれNvidiaの競合カードと同等になっています。

新アーキテクチャのRDNA 4では、レイトレーシングを想定した追加の演算ユニットが搭載されています。AMDによれば、この演算ユニットはRDNA 3より40%高速で、かつ処理パイプラインを最適化したことで、レイトレ性能も以前の2倍です。AIアクセラレーターも第2世代になりました。AI処理のピーク性能はRX 9070が1,165TOPS、RX 9070 XTは1,557TOPSです。

AMDがターゲットとしているのは、RX 6800 XTまたはNvidia RTX 3080/3090といった世代からアップグレードしたいゲーマーです。AMDによれば、RX 9070は去年のRX7900 GREに比べると『サイバーパンク2077』では性能が33%向上、RX 9070 XTは66%向上しています。フレーム数は『F1 24』とか『Warhammer 40000: Space Marine 2』といったゲームではそこまでじゃないんですが、ネイティブのゲーミング性能は大きく向上しています。

最新技術より価格を重視したAMD

OEMメーカーは、Acer、Yeston、Gigabyte、Sapphireなどなどいつもの仲間たち
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AMDは、RX 9070とRX 9070 XTの価格をぎりぎりまで公表しませんでした。やっぱり最近のNvidiaのRTX 50シリーズの状況などで、みんなナーバスになっていますよね。AMDはOEMメーカーと協力して、ローンチ時の在庫を確保しているそうですが、実際どうなることでしょうか。

AMDはNvidiaのように特別感を出す必要はないといい、もっとミッドレンジなGPUにフォーカスしています。でも、だからって、RX 9070がチープというわけでもありません。

AMDは700ドル以下にすることを重視したようですが、Nvidiaはまだゲーミングソフトウェアで優位に立っています。AMDとしては、Nvidiaのマルチフレーム生成のような技術にこだわるより、多くのユーザーにとっては低価格であることが重要だと考えたようです。ただAMDも、アップスケール技術のFSRをさらに強化し、従来よりフレームレートが上がったことを売り込んでいます。

AMDのFSR 4はNvidiaのDLSSに対抗できるか

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AMDの新アップスケーリング技術「FidelityFX Super Resolution 4(FSR 4)」は、従来いわれていたゴースティングやアンチエイリアシングといった問題を軽減し、NvidiaのDLSS 4に対抗しようとしています。FSRは低解像度画像をアップスケールして高解像度にしつつ、低解像度のときと同様のパフォーマンスを維持するとされています。RX 9070や9070XTでは、対応ゲームで「ネイティブに近い結果」が出せるそうです。

それが実際どうかはまだわかりませんし、とくにフレーム生成が加わると余計わかりません。AMDはFSR 4のネイティブ4K性能をFSR 3.1と比較した上で、FSR 4は細かいディテールと遠景の画質において、ネイティブにより近づいたといっています。

パフォーマンスに関しては、AMDは9070 XTではFpsが大きく向上したといっています。例えば『Warhammer 40000: Space Marine 2』では、4Kで53Fpsから102Fpsへとかなり上がっています。でも『Horizon Zero Dawn Remastered』では、フレームの増え方が若干少なかったです。

ちなみにこれらの結果には、フレーム生成は入っていません。RX 9070/9070 XTはマルチフレーム生成には未対応ですが、AMDはプロトタイプは作っていることを示唆しました。でも、それはユーザー体験を改善するためではなく、ほぼベンチマークが目的だったようです。

2,000ドルのRTX 5090なんて買ってられないゲーマーにとって、アップスケーリングは強力な味方です。問題はNvidiaのDLSS 4と比べてどうかということになります。AMDは新たなAMF 2.1モデルを導入することで、生成したフレームをより滑らかに見せようとしています。一方NvidiaはDLSSがTransformerモデルに移行したといっていたし、RTX 50シリーズにしかない3x、4xマルチフレーム生成も含め、AMDはソフトウェア面でますます遅れている感じです。

もちろんAIでフレームを増やせば増やすほど、おかしな要素は出てきやすくなります(テストしてみても実際そうでした)。でも、ミッドレンジGPUでは、フレーム数を増やせるなら、多少のデメリットに耐える意義はあるかもしれません。

AMDいわく、FSR 4は『Marvel's Spider-Man 2』『Kingdom Come Deliverance II』といった最近のゲームも含め、ローンチ時点で30以上のゲームでサポートされ、2025年中には75以上に増えるとしています。またFSR 4はRDNA 4でしかサポートされていませんが、今年中にはFSR 3.1をサポートするゲームも増えていくそうです。

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