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エコ・グッズは、どこまでお洒落になり得るだろうか? そして、どこまでエコ精神を消費者にアピールことができるのだろうか? 第一回目は、エコライフを商品に託して上手にアプローチしている2つのショップを紹介したい。 最初のショップは、草の根的な活動を続ける環境ボランティア団体によるエコ・グッズ ショップ「ロバン・デ・ボワ」。活動資金の100%を自然と人権を守る活動運営にまわしている硬派なエコ団体だ。 もうひとつのショップは、フランス企業によるエコ・ショップ、「ナチュール・エ・デクーヴェルト」。資本主義を、環境意識へのエンジンにしようとし、ダイナミックにチェーン展開を行って急成長を続ける会社だ。 両者とも、センスにはうるさいパリジャンたちから「お洒落なお店」として認められているエコ・ブランド。でも、そのアプローチの仕方が正反対なのが面白い。 |
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お洒落で閑静なマレ地区に、素敵なエコグッズ・ショプがある。ROBIN
DES BOIS (ロバン デ ボワ)、英語でいうところの“ロビン・フッド”という意味のお店だ。このお店の組織は「会社」ではなく、「NGO」。つまり民間非営利組織なのだ。現在100万団体以上ものNPO団体がフランスにはあり、フランス人のモラルや教養、文化を支えている。フランスでは利益を目的としなければ、NGOもこうした経済活動ができるのである。彼らは、売り上げ利益の100%を活動資金にまわしているという。そして、自分たちの行動と発言の自由を尊重するため、いかなる団体からも寄付を受けないことをポリシーにしている気高いエコ戦士たちだ。 ボランティア団体のお店というと、何かセンス的に野暮ったいショップを想像されるかもしれないが、これが、とんでもなくプロフェッショナル。店内には、レトロチックなエコグッズが沢山並べられている。郵便局の麻袋や海軍の毛布の払い下げなどを再生した手提げ入れ、古いミッシュラン地図で折られた封筒、コーヒーフィルターで作ったノート、デットストックの文具用品……。沼田元気氏が喜びそうな、可愛いレトロだ。 ショップ・キーパーのキャロルさんに、どの商品が売れ線かを聞いてみた。 「ここのお店の目玉は、ジョジョバ・オイル(ホホバ・オイルとも言う)。このオイル、私たち自身で作っているんですよ。捕鯨反対の一環として始めたのです。というのは、コスメ成分に使われている鯨ロウとほぼ成分が一緒なんです。それに、ジョジョバは地下20メートルぐらい根をのばして、自分の周りにも他の植物が育つ環境を作る植物なんです。たくさん植えれば砂漠の緑化も夢ではないかもしれません」。 ロバン・デ・ボワは、「環境に優しい」商品を売っているのだが、単なる自然商品ではなく、「倫理的に正しい商品」しか売っていない。 「先進国の会社が、第3諸国に工場をつくって、現地の人たちの人権や労働条件を無視して作った“搾取商品”が世界にはびこっています。例えば、あなたが履いているスニーカーだって、東南アジアの子供が時給数円で作っていたりするわけです。あなたが朝飲んでいるコーヒーの豆だって南米マフィアの汚いお金で作られているかもしれません。労働者の人権を守っている倫理的にコレクトな商品しか売りません」。 ロビン・フッドは、悪代官を懲らしめ、貧欲な僧侶の金を奪って貧民に施した、森のヒーローだった。NGOロバン・デ・ボワのエコ戦士たちは、利益に執着し、貧しい国民や弱者を犠牲にし、自然も破壊している大量消費社会に立ち向かっている。 住所/ ROBIN DES BOIS 15 rue Ferdinand-Duval 75004 Paris tel : 01 48 04 09 36 |
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![]() ラインナップは7つある。
1)子供が自然を発見するきっかけになるような教育グッズ 2)ガーディニングや野鳥観察などの野外小物 3)遠足や野外レジャーのためのアウトドアもの 4)顕微鏡、望遠鏡等の科学グッズ 5)本(自然、人間に関するテーマのもの) 6)生活を楽しくする自然派商品 7)地質学、ミネラルを研究する商品 |
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自然と発見」という名のお店、 NARURE &
douvertes(ルビ/ナチュール エ デクーヴェート)(以下N&d)が初めてパリにオープンしたのは今から10年ほど前。今ではフランス国内はもちろんのこと、アムステルダム、アントワープ、ブリュッセルなど、総支店数は40件以上を数え、年々急成長を遂げている。 N&dのブティックのコンセプトは“都会でのオアシス作り”。自然を日常生活に取り入れることを都会人たちに提案しているお店だ。置かれている商品は、単にエコロジー度の高い商品だけでない。ヨーロッパの職人(アルチザン)たちの価値を再認し、その地方の伝統を守っていこうとするキャンペーンなども各店内で展開されている。また、お店ごとに子供たちを集めて遠足の企画も定期的に行っているのもユニークだ。「来週は、キノコ狩りにいきますので、シャベルを持参ください」、「釣りにでかけましょう。お父さんも一緒に」、「来週はリサイクル・ペーパーを作りますので参加してくらさい」などのはり紙が店内に張られている。忙しい両親に代って、お店が子供の環境教育を担おうという提案は大人にも子供にも受けがいい。 こんなN&dのお店のコンセプトを作ったのは、当社社長のフランソワ・ルマルシャン氏。氏のパートナーである奥様が写真家だったことからルマルシャン社長も自然愛好家になっていったという。ルマルシャン氏は、経営者として敏腕だが、N&dの利益の1割を自然保護運動に注ぎ込み、自らも精力的に運動に参加している。 「N&dのコンセプトを考えた時点からボランティア協会を作って環境運動をしようと決めていたんです。お店を展開させてから四年目、やっと経営が黒字になった1994年に念願の『N&d協会』を作り、活動をスタートさせたのです」(ルマルシャン社長)。 活動はフランス国内が主体だが、絶滅しかけている植物を救ったり、コルシカ島近くの海の哺乳類を救ったり、現在プロジェクトは大小250ほどあるという。 ル・マルシャン氏の願っている「環境意識を人々に訴えるためのモーターとして資本主義をダイナミックに利用する」エコ・ビジネスは、大成功している。 |