とはいえ、四六時中騒がしいというわけではありません。 キャンプの朝は静かに始まります。明け方の空気は冷たく澄み、スプリンクラーが水をまく「タッタッタッタ‥」という規則的な音が静かに響きます。朝ごはんの時間になると騒がしさは高まり、お腹を満たしたキャンパーはそれぞれのアクティビティに向かいます。大切な人を思い返すセラピーセッションは、言葉を大切にしながら、ていねいに思いを重ねる比較的静かな時間です。お昼ご飯のあとは、歌やダンスで大騒ぎ。その後、暑い真昼のキャンプ場はいったん誰もいないように静かになりますが、夕方のプールの時間にはまた歓声があふれます。夕飯のあとにはマジックショーやダンスナイトなど、子どもたちがクレイジーに騒ぐための時間が用意され、日本のキャンプのイメージからいうと、かなり遅い時間まで騒ぎまくるのです。そして、ようやくベッドに入る時間。子どもたちが眠りにつくとキャンプ場の空気が変わり、星が輝くキラキラという音が聞こえるような錯覚さえ覚えるのです。 また、大騒ぎしているときも、誰かが「ハンズ・アップ!(「静かに!」というサイン)」と手を上げると、スッと声が収まります。こうした波のような変化が、キャンプをぎゅっと濃いものにするメリハリを作り出しているようです。 この連載のVol.3(「楽しさ」の構造)で紹介したように、楽しみ方にもお国柄があります。日本の子どもたちは、アメリカの子どもたちのような騒ぎ方はしないけれど、キャンプを思い出深いものにするためには、思いっきりクレイジーになる場面があることも大切なのだと思います。 |