マリモは緑色をした球状の植物で、淡水性の藻類に属する。大きなものは直径10cmを超える。かつては緑藻類シオグサ科に属するといわれてきたが、近年の研究により異なる種であることがわかり、現在は「マリモ属」に分類されている。また、さまざまな品種や亜種がいるとされてきたが、DNA解析の結果、日本のマリモは湖で育つマリモと、河川でも見られるタテヤママリモのいずれかであることがわかった。
アジアでは日本を中心とする東アジア地域の湖沼に生育し、日本では15の湖沼でマリモの生育が確認されている。なかでも北海道の「阿寒湖のマリモ」は、1952年に特別天然記念物として指定された。同地のマリモが発見されて学会誌に報告されたのは1898年のことだ。また、山中湖や琵琶湖でも見つかっている。一方、世界ではヨーロッパ各地の湖沼で多くのマリモが生育しており、スウェーデンやアイスランド、エストニアなどバルト海の周辺地域で多く見られる。
マリモにはいくつかのタイプがあり、最も有名なのは、複数の藻がからみ合って球形などの塊を成して湖底に積もる「集合体」だ。このほかに、糸状や房状になって岩や貝に付着する「着生糸状体」や、湖底を漂う「浮遊糸状体」などがある。マリモが球形などさまざまな形になって育つのは、多年生で真っ暗な状態でも生き続けることができる生態に由来する。また、光合成をするので酸素を発生するが、日当りがよいと余分な酸素が泡になって表面に付着し、水面に浮いてくることがある。
阿寒湖では5年から7年の周期で大量のマリモが岸に打ち上げられ、以前は水質汚濁などによる壊死であると考えられていた。しかし、最近の研究により20cm以上の大きさに生育したマリモが、打ち上げられて壊れることで小さな集合体となり、再び湖へ戻って再生するプロセスであることが明らかになりつつある。このようにマリモの生態には未解明の部分が多く、2013年10月からは環境省が初めてとなる学術調査を阿寒湖で開始した。
マリモは土産物などとして販売もされているが、養殖物かロシアなど海外から輸入された天然物だ。飼育する際にはきれいな水に入れて時々水を換え、直射日光や強い光を避けて室内に置いておくと順調に育つ。