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「ガンカモ類」 詳細解説

読み:
がんかもるい
英名:
Anatidae

ガンカモ類は、ガンカモ目ガンカモ科に属する野鳥の総称だ。世界中に分布し、世界で約150種、日本で約50種が確認されている。寿命は数年から10数年で、ハクチョウの中には20年以上生きる者もいるといわれている。繁殖する時期とそれ以外の時期を別の地域で過ごし、定期的に長距離の移動を行う野鳥を渡り鳥という。渡り鳥のうちツバメなど春に日本で繁殖してその後南方へ行く鳥が「夏鳥」で、反対に繁殖を日本より北の地域で行い冬に日本へ渡ってくるものが「冬鳥」だ。ガン、カモ、ハクチョウには冬鳥として日本に渡ってくるものが多く、ガン類、リュウキュウカモ類(1種)、ツクシガモ類(3種)、淡水ガモ類、海ガモ類、ハクチョウ類、アイサ類(3種)に分けられる。

ガン類は草食で、コクガン、ハクガン、マガン、ハイイロガン、ヒシクイなどがいる。カモ類は雑食で、淡水ガモ類にはマガモ、カルガモ、コガモ、オシドリ、オナガガモ、ヒドリガモなどがいる。海ガモ類には、ハジロの仲間やホオジロガモ、スズガモなどがいる。最も大きいハクチョウ類は草食で、日本ではオオハクチョウ、コハクチョウ、コブハクチョウの3種が確認されている。コブハクチョウは体の全長が1.5mにもなる。なお、アヒルはマガモを家禽にしたもので、国内でもよく見られるアイガモはマガモとアヒルの雑種なので、いずれも野鳥ではない。

ガンカモ類の生息調査は1970年に、当時、鳥獣関係の行政を担当していた林野庁が都道府県の協力を得て開始した。その後、全国一斉に毎年行われるようになり、現在に至る。冬季におけるガン、カモ、ハクチョウなどの生息状況と渡りの傾向などを調べて、湿地保全や鳥獣保護区の設定などの施策に活用することが主な目的だ。2012年に行われた調査では、カモ類が約6000地点、ハクチョウ類が約700地点、ガン類が約100地点で確認された。

ガンやカモは、里地や里山、河や海、公園の池など身近なところでよく見かけられる。また、ハクチョウが飛来する湖や田んぼが福島県や千葉県など各地にある。数が少ないコブハクチョウは、皇居のお濠で見ることができるが、これは約60年前に海外から連れて来た鳥の子孫が定住したものだ。

地球温暖化の進行は、ガンやカモなど野鳥にも影響を与えている。政府が2010年3月に閣議決定した「生物多様性国家戦略2010」によると、淡水湿地などに渡ってくるマガンやヒシクイなどの越冬地が、1990年代以降明らかに北上している。一方、アジア太平洋地域における水鳥と生息環境の保全を図るため、2006年に「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」が発足した。日本からは27の湿地が、このパートナーシップに基づく重要生息地ネットワークに参加している。

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