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「火山」 詳細解説

読み:
かざん
英名:
Volcanic

地球の内部は地下の深い部分になるほど温度が高くなっており、中心部は約6000℃もの高温になる。地下のマントル付近にはマグマという高温で液体状の岩石物質があり、周囲の岩石よりも軽いマグマが地表近くまで上ってきて地殻の下に「マグマだまり」をつくることがある。マグマだまりからはガスの圧力が高まるに従ってマグマが間欠的に地表へと噴き出す。この現象を噴火と呼び、噴火に伴って放出された溶岩などが積もってできた山が火山だ。火山には大きく分けて円錐型やおわん形の成層火山と、平らな楯状火山とがあり、日本にある火山のほとんどは前者だ。

日本の火山は海のプレートと陸のプレートの境界に沿って密集しており、火山が分布する海溝側の境界線を「火山フロント」という。気象庁によると、日本には108の活火山がある。このうち、100年の間に数回の噴火があるなど最も活動的な「Aランク」が13、次に活発な「Bランク」が36、活発度の低い「Cランク」が36あり、それ以外に未分類の火山が23ある。ちなみに富士山はBランクだ。火山が噴火すると、大量の溶岩や火山礫、火山灰などが放出される。また、火砕流や泥流、土石流などが発生し、自然環境や人間が住む地域に大きな被害を与える。

国内における近年の火山災害としては、1958年に阿蘇山で起きた噴火に伴う噴石で12名が死亡したほか、1991年に長崎県の雲仙普賢岳で起きた噴火に伴う火砕流により43名の死者が出るなどの被害があった。また、2000年には三宅島で大規模な水蒸気爆発による噴火が起き、全島民が避難した。さらに、2011年1月には鹿児島県の霧島山(新燃岳)が噴火し、火口から約4km以内が立入禁止となった。この噴火により、大量の火山灰が周辺地域に降り注いだほか、「空振(くうしん)」と呼ばれる激しい空気の振動が起きて窓ガラスが割れたり、農作物が台無しになったりするなどの被害があった。一方、海外では20世紀になってからも火山災害が頻発しており、1985年に起きたコロンビアのネバドデルルイス火山の噴火では、泥流により2万5000人もの死者を出した。

火山が噴火した前後に雨が降ると土石流の危険性が増すため、大雨情報などの気象情報に注意を払う必要がある。また、火山の近くで発生する火山ガスには有毒な成分が含まれており、中毒に気をつけなくてはならない。さらに、火山灰は直径2mm以下でとても細かく、吸い込むと空気とともに肺の奥まで入り込んでせきなどを引き起こすため、ぜんそくなどの持病のある人は注意が必要だ。目に入ると眼病の原因になる場合もあるため、コンタクトレンズは使用せず眼鏡をかけた方がよい。また、市街地に降り積もった火山灰を下水道や側溝へ流すと排水溝がつまる原因になるので、集めて袋に入れ、行政が決めた場所にもち込んで処理してもらう必要がある。

火山の噴火による災害を少なくするため、気象庁は不断の観測活動を続け、2007年からは噴火警報と噴火警戒レベルを発表している。噴火警戒レベルが導入されているのは、十勝岳や三宅島、富士山、阿蘇山、新燃岳、桜島など26の火山だ(2011年3月現在)。一方、火山地帯にあるマグマだまりで温められた地下水が地表にわき出すと火山性の温泉となる。また、火山の噴火の原因となる地下の熱を地熱エネルギーとして活用する取り組みもある。

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