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「永久凍土」 詳細解説

読み:
えいきゅうとうど
英名:
Permafrost

地中の温度が一年中氷点下以下で、常に凍結している土地を永久凍土という。寒冷地で雪が強風によって吹き払われるなどして地面や地中の温度が下がり、地盤が岩のように凍結したところが凍土で、凍土がある地帯をツンドラと呼ぶ。地中の温度が年間を通じて0度以下になると、その凍土が溶けずに永久凍土となる。永久凍土はシベリア、アラスカ、カナダなどの北半球に広く分布し、陸地の約15%に存在するとも言われている。また、その厚さは数mから数百mまでさまざまだ。2005年に開催された愛知万博では、シベリアの永久凍土の中から発掘されたマンモスが、冷凍状態のまま展示されて話題になった。日本にも、北海道の大雪山と静岡・山梨県の富士山周辺などに永久凍土がある。

しかし、二酸化炭素(CO2)やメタンなどの温室効果ガスの増大による地球温暖化の影響で、シベリアなどの永久凍土が溶けていることがわかり、今後さらに深刻化すると心配されている。永久凍土にはCO2やメタンが含まれているため、凍土が溶ければ温暖化がさらに進むという予測もある。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2007年に公表した第4次評価報告書(統合報告書)は、永久凍土の変化が氷河湖の数を増やし、永久凍土地帯における地盤の不安定化や、北極と南極生態系における変化をもたらした可能性が高いと指摘。永久凍土地帯の深いところで凍土が溶けることによって、北半球の気温が今世紀末にかけて上昇すると予測している。日本にある永久凍土も縮小する傾向にある。

また、NEDOの海外レポートによれば、米国の国立大気研究センターは北半球の永久凍土の約9割が2100年までに溶けると予測。その結果、北極海への流水が増加し、ばく大な量の炭酸ガスが大気中に放出されるという。さらに、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2008年1月、シベリアの永久凍土帯の現地観測とデータ解析を行った結果、ここ数年、地中の温度が観測史上最高を記録し、凍土の融解が急激に進行していると公表した。原因として、長期的な気温上昇や、降水量と積雪量の大幅な増加、積雪時期の変化などをあげており、地球温暖化との関係を指摘している。

一方、寒冷地帯における温暖化問題の焦点となっているのが、永久凍土地帯におけるメタンハイドレートの存在だ。メタンハイドレートは、低温・高圧などの条件下で水とメタンからできる氷に似た物質で、天然ガス資源として期待されている。地球上では永久凍土地帯と深海底に分布し、日本周辺の海域にも大量にあると考えられている。しかし、温暖化で永久凍土が溶けると、その中のメタンハイドレートが大気中に放出され、その量は大気中にあるメタンをはるかに超える。メタンの温暖化係数(温室効果を進める力)は二酸化炭素の21倍もあるので、地球環境への影響は大きい。今世紀に入り、最終氷河期に海底下のメタンハイドレート層が崩壊した形跡が相次いで発見されたこともあって、メタンハイドレートの崩壊に伴うメタンの放出と急激な温暖化などの気候変動には関係があるという指摘もある。メタンハイドレートの利用にあたっては、メタンを放出させず、周辺環境に影響を与えない資源開発が求められる。

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