A: 農業は基本的には自然(土地)を耕すことによって農作物を作り出す営みだ。従来の多様な自然を破壊し、大規模な農地を開拓し、大量の水を使い単一栽培を行う場合は、自然環境にマイナスの影響を及ぼすが、日本の里山や稲作は、長い歴史をかけて、新たな自然をつくり出してきたともいえる。畑や田はチョウやトンボなどの昆虫類、カエルなどの両生類、ドジョウなどの魚類の生息地となり、生態系を維持する上で重要な働きを持っている。丘陵地帯につくられた棚田は、土壌の侵食を防止したり、小さなダムとして雨水を一時貯留して洪水を防いだり、多様な生き物の生息場所となっている。さらに里山の風景と一体になった棚田は、日本の原風景として見る人にやすらぎを与えている。
A: 水耕栽培は、土を使わずに、水に養分液を入れて作物を育てる栽培方法のこと。コンピュータによって水温や養分管理を行い、カイワレ、ミズナ、レタス、ホウレンソウなどの葉ものを主に栽培する。土は使わないが、食料になる野菜を栽培することや水稲と同じく水を使うことなどから、農業といえる。人材派遣会社が本社の地下につくった「地下農場」でも、土を利用した作物のほか、水耕栽培による農産物の生産に取り組んでいる。