森は、大きく自然林(原生林と天然林)と人工林とに分けられる。スギやヒノキなどの人工林は、自然の状態により、周囲に空間があると枝を横に広げながら生長する。人工林では、まっすぐな材木を育てるため、植林の際に密植といって、1haあたり、3000本から、地域によっては1万本もの苗を植える。それを、木の生長に合わせて、例えば10年後、20年後という期間ごとに間引きすることを間伐という。それ以前の間引きは除伐、あるいは捨て切りと呼ばれる。また、間伐によって得られた材木のことを間伐材という。
間伐が行われないと、木の生長がにぶり、根を張ることも難しくなり、下生え(下草など)も生えないため、水源涵養力や土壌保全能力の低い森林になる傾向がある。また、根を深く張っていないので、台風などの災害でも倒れやすい。間伐が行われずに、木の成長力が弱まった人工林は、俗に線香林と呼ばれる。
間伐材は、その太さに応じて建築現場での足場や、川の漁業の梁(やな)、養殖漁業用の筏(いかだ)など、かつては社会のさまざまな場所で使用されていた。しかし、現在では鉄やプラスチックに取って代わられて間伐材の需要が落ちている。また、外国産材の流入などによって木材価格の下落が起き、主伐材でも不採算となるなどが原因となり、間伐が行われない人工林が増えている。その上、林業就労者の高齢化や人手不足もあって、間伐が困難になっている。
一方、森林には地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を吸収する機能がある。森には自然林と人工林がある。自然林のうち原生林にはCO2を吸収する能力がないと言われるが、CO2を蓄積している。また、人工林は、定期的に植林を施しながら、森を維持しており、生長した木は建材や紙などに加工される。木は生長過程でCO2を吸収するため、森がCO2を吸収するという場合は人工林を指す。しかし、人工林が放置されると新たな植林ができず、CO2の吸収能力は減少していく。つまり、人工林に関して言えば、森を維持しながら、生長した木を伐採し、新たな苗を植えるというサイクルが大事であり、国産材に関しては、木の製品は使えば使うほどよいということになる。
林野庁では、人工林の多くが間伐期を迎えていることから、「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」において、間伐の遅れた森林を集中的に解消し、健全で多面的な機能を発揮する森林を育成するため、2005年度から3年間で約90万haの森林を計画的に整備する「間伐等推進3カ年対策」を実施するとしている。