A: 従来は、国力や社会の質を評価する指標として、生産物やサービスの金額を合計したGDP(国内総生産)や、GDPに海外からの第1次所得の純受取を加えたGNI(国民総所得)などが用いられてきた。しかし、社会が成熟して価値観が多様化するにつれて、経済的な豊かさだけが幸福なのではなく、心の豊かさも欠かせないという考え方が主流になりつつある。たとえば、給料が増えても幸せを実感できない人や、年をとるごとに自分を不幸であると感じる人は多い。反対に、所得は少なくても家庭や仕事、趣味などを通じて生きがいをもつ人はたくさんいる。このような幸福度を「見える化」する指標の中でも代表的なものが、ブータン王国で体系化された国民総幸福量(GNH)だ。
A: 幸福度を「見える化」する指標として国際的に注目されているのが、ブータン王国が国の運営の基本に置いている国民総幸福量(GNH)だ。ブータンは、国民1人あたりの所得は高くないが、約97%の人が幸福であると感じているという。その理由としては、国として経済成長よりも、伝統的な社会、文化、民意、環境などに配慮して国民の幸福の実現を目指す考え方に立っていることが大きい。なお、OECD(経済協力開発機構)が2012年5月に発表した幸福度のランキングではオーストラリアが1位となり、日本は21位だった。