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「ポストMDGs」 詳細解説

英名:
Post-2015 Development Agenda

国連は、2000年9月に米国・ニューヨークで開催した国連ミレニアム・サミットで、国連ミレニアム宣言を採択した。21世紀における国連の役割についての明確な方向性を打ち出したもので、環境、平和と安全、開発と貧困、人権と良い統治、アフリカの特別なニーズなどを重要課題としてあげた。同宣言をもとにまとめられたミレニアム開発目標(MDGs)は、開発分野における国際社会共通の目標で、2015年までに達成すべき目標を掲げた。貧困と飢餓の撲滅、初等教育の完全普及、ジェンダー平等推進と女性の地位向上、乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康の改善、HIV等の疾病の蔓延防止、環境の持続可能性確保、開発のためのグローバルなパートナーシップの推進、の8目標だ。

MDGsの達成期限が近づく中、その取り組みを加速させる一方で、2016年以降の国際開発目標である「ポストMDGs」の策定に向けた議論が行われている。MDGsは、2015年までに極度の貧困を半減するなどわかりやすい数値目標を設定した。しかし、貧困の解消など特定の分野で一定の成果は得られたものの、多くの課題を抱えたままだ。教育や母子保健、衛生などの分野における目標達成は、現状では困難とみられている。また、アフリカや南アジア、オセアニアなど一部の地域で達成に遅れがみられるなど、地域差もある。

ポストMDGsではこうした現状を踏まえて、貧困撲滅を中心に据えつつ目標の整理・統合が行われる予定だ。また、保健や教育などの分野で課題や指標を見直すほか、防災や持続可能性、食料安全保障、拡大しつつある国内格差など、新たな課題への対応も盛り込まれる見込みだ。さらに、今世紀における国際社会の変化に対応して、「人間の安全保障」を指導理念の一つに位置づけようという意見もある。

国連は関係機関や世界銀行などを交えて、ポストMDGsに関するタスクチームを立ち上げた。また、ハイレベルパネルを設置してビジョンや方向性についての議論を行っている。さらに、UNDP(国連開発計画)が主導して、世界各地で100以上の国別コンサルテーションや11のテーマ別コンサルテーションを実施している。2012年6月にブラジルで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)では、MDGsを補完する「持続可能な開発目標(SDGs)の設定が議題となった。

ポストMDGsを策定し、それに伴う新たな取り組みを充実させていくためには、国連や各国政府だけではなく、企業をはじめとする民間セクターの関与が欠かせない。NGOなどの市民セクターや、いわゆる新興国の役割も重要だ。日本は、非公式のコンタクトグループにおける議論の現状をハイレベルパネルに提出したほか、2012年の国連総会やIMF世銀総会でサイドイベントを主催するなど、ポストMDGsの策定に向けた関与を強めている。

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