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「私たちが望む未来」 詳細解説

読み:
わたしたちがのぞむみらい
英名:
The Future We want

2012年6月20日から22日までの3日間にわたり、ブラジルのリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)は、最終日に成果文書「私たちが望む未来」を採択して閉幕した。この文書は会議前に行われていた事務レベルの交渉によって会議直前に実質的な合意を得て、首脳や閣僚級による議論の結果、22日夜に採択された。総論、グリーン経済を含めた新たな政治公約、持続可能な開発目標(SDGs)、制度的枠組み、行動的枠組みとフォローアップ、実施手段の6項目に分けられる。

総論では、持続可能な開発に向けた政治公約を再確認した。すなわち、貧困の撲滅が世界にとって最大の課題であるとともに、持続可能な開発においては人間が中心的な役割を果たさなくてはならず、これらの推進のためにミレニアム開発目標(MDGs)の達成が重要であるということだ。また、リオ原則をはじめとする過去の公約を再確認した。さらに、GDPを補完する新たな社会的指標の作成について、国連に対して作業計画の立ち上げを要請することになった。

グリーン経済については、当初期待されていたような踏み込んだ成果は得られなかった。しかし、持続可能な開発を達成する上でグリーン経済が重要なツールであり、それを追求する国による共通の取り組みとして認識すべきことなどが確認された。日本は、世界をグリーン経済へ移行するための「緑の未来」イニシアティブを表明した。一方、持続可能な開発目標(SDGs)については、環境保全と貧困根絶などに関する新たな目標として2015年までに策定するための政府間交渉を開始することになった。SDGsは、2015年以降の国連開発アジェンダに統合される予定だ。

制度的枠組みに関しては、経済社会理事会(ECOSOC)を経済・社会・環境の分野における主要組織として強化することや、第68回国連総会が始まる2013年9月までに、第1回ハイレベル政治フォーラムを開催することなどが提案された。また、国連環境計画(UNEP)を格上げして、普遍的メンバーシップや資金強化、国連フォーラム内での調整能力を強化することとなった。これらについては、2012年9月の第67回国連総会で採択される見込みだ。

行動的枠組みとフォローアップについては、食料・水・エネルギー・海洋・気候変動生物多様性・教育・都市・防災など26分野に関する合意を得た。特に持続可能な都市について、3Rや防災、資源効率性など経済・社会・環境それぞれの側面で価値のある都市づくりが重要であるとされた。リオ+20の成果に対しては、市民団体などから「世界が直面する問題の解決には不十分」との失望や批判の声が上がっている。それだけに、成果文書の内容をいかに実現していくかが重要だ。

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