サイト内
ウェブ

「レアアース」 詳細解説

読み:
れああーす
英名:
Rare Earth Elements

生産が特定の国に偏っていたり、埋蔵量が少なかったりする金属のこと。希土類元素と訳され、全部で17種類ある。レアメタルと似た名前だが、それもそのはず。レアメタルは地球上にほとんどない金属や抽出が難しい金属31種類のことで、レアアースはレアメタルの一種なのだ。レアアースには元素重量が軽い(原子番号が小さい)4種類の軽希土類(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム)と、同じく重い(大きい)13種類の重希土類(プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム)がある。

レアアースのうちネオジムやサマリウムなどは、電気自動車に使用される高効率高性能モーター用の強力な磁石を製造するのに不可欠だ。このほかにもランタンはデジカメなどの光学レンズに、イットリウムは液晶・プラズマテレビに用いられる。さらに、レアアースを使用した高性能触媒は、厳しい排ガス規制への対応を可能にする。このようにレアアースは日本が世界をリードする先端産業の発展と競争力の維持に欠かせない材料であり、エネルギーなどと同じように安定供給の確保が重要な課題だ。

しかし、世界におけるレアアースの需給構造はきわめて特異なものとなっている。わが国は世界全体の需要の約半分を占めるが、世界で供給されているレアアースの97%を中国が生産しており、日本は約9割を中国に依存している。このため、2010年に中国がレアアースの輸出制限を行った時には、国内産業への各方面での影響が心配された。政府は対応策として同年10月に総合対策を公表し、1) 代替材料や使用量低減技術の開発、2) リサイクルの高度化、3) 鉱山開発・権益確保による供給源の多様化―などを打ち出した。これを受けて2010年11月に成立した補正予算には、レアアース関連で多くの施策が盛り込まれた。

補正予算のうち「レアアースの代替・削減技術開発(120億円)」は、レアアースの輸入量の低下による産業への影響を回避するため、レアアースの使用量を低減する技術や代替物質の実用化を図る「希少金属代替技術開発プロジェクト」を加速するものだ。また、「レアアース等利用産業等設備導入事業(420億円)」により、レアアースをできるだけ使わない技術やリサイクル技術をもつ事業者に対して、設備費の一部を補助する。一方、「レアアース鉱山開発加速化資源国協力事業(20億円)」は、カザフスタンやベトナムにある日本企業が参画するレアアース鉱山の開発を加速するプロジェクトだ。このほかに総額600億円が、(独法)石油天然ガス・金属鉱物資源機構へ出資される。

レアアースの今後の需給状況については、強力磁石用の中・重希土類に対する需要が中国をはじめとするアジアで増加していることから、中国の動向を注視する必要がある。同時に、オーストラリアやカナダ、米国など中国以外の供給元を開拓しなくてはならない。もちろん、「都市鉱山」と呼ばれる使用済み製品中のレアアースを取り出して再利用する技術開発も急がれる。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。