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「ソーラーシェアリング」 詳細解説

読み:
そーらーしぇありんぐ
英名:
Solar Sharing

化石燃料に代わる再生可能エネルギーに対する社会的な要請が高まり、その代表格である太陽光発電の需要が増している。固定価格買取制度(FIT)の開始もあり、多くの公共施設や企業のビル・工場、そして民家の屋根などに太陽光パネルが設置されている。東日本大震災と津波の発生による原発事故の影響も大きい。大規模な発電所のメガソーラーもあるが、国土の狭い日本で太陽光による発電をいっそう普及させていくためには、より広大な土地にパネルを敷き詰めていく必要がある。その切り札として注目されているのが、農業と発電事業を同時に行うソーラーシェアリングだ。

わが国の耕地面積は2012年時点で約460万haあり、そのうち畑は約208万haを占める。また、いわゆる耕作放棄地の面積は、2010年時点で40万haに及ぶ。ソーラーシェアリングは、それらの有効活用につながる手法として期待されている。農地に立てた支柱の上部に設置した架台の上に、短冊状や棒状に加工した太陽光パネルを並べて発電する。設備自体は支柱とパネル、コントロール機器など簡単なもので、施工も手軽に行えるため、農家にとって取り組みやすい創エネといえる。キットもある。

農林水産省はこの手法を「営農型発電設備」と呼んでいる。ただし、農地法で守られている農地においては、営農を継続しながらの発電が条件となる。具体的には、下部にある農地で農業生産を継続するとともに、周辺の営農に影響を与えないように配慮する必要がある。ソーラーシェアリングに関する農地転用許可制度について、農水省は2013年3月31付で「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」という通知を、各農村振興局長宛に発出した。

同通知は、支柱の基礎部分について一時転用許可の対象とすると明記している。農地を農地以外の用途に使う農地転用のうち、一時的に使用する場合に適用される制度だ。許可期間は3年で、問題がない場合には再び許可を受けられる。ただし、許可を受けるに当たっては周辺の営農上支障がないかなどを確認する必要がある。また、許可の条件として年に1回の報告を義務づけ、農産物生産に支障が生じていないかを確認するための規定もある。

一般社団法人ソーラーシェアリング協会の試算によると、1000平方mの耕作地に55Wの太陽光パネルを600枚設置すると、年間の発電量が約3万6300kWhに達する。また、ソーラーパネルを上部に設置して地面に届く太陽光の量が減っても、農作物の生育に必要な分のエネルギーは確保できるという。2013年10月には、宮崎大学農学部と(株)Looopが、ソーラーシェアリング実施時の太陽光発電システムの遮光による農作物の生育及び収量への影響と、売電収入試算などを考慮した経済性に関する研究を開始したと発表した。

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