A: 日本におけるこれまでのエネルギー戦略は、1950年代から60年代までの「量の充足と安定供給重視」の時代から、70年代の脱石油の流れを経て、90年代以降は主にCO2排出抑制とエネルギー安全保障を柱としてきた。しかし、東日本大震災以降、原子力発電の位置付けが不明確になりつつあることを受けて、当面の電力不足に対する対策を講じるとともに、新たな技術体系に基づくエネルギー・環境システムの構築が不可欠となっている。革新的エネルギー・環境戦略はこうした認識に立って、安定供給(安全保障)、効率(コスト削減)、環境(温暖化対応)、安全(リスク対応)など多面的な政策の要請に対応していくことを目指している。
A: 内閣官房の国家戦略室内に置かれたエネルギー・環境会議は、2012年9月に「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。省エネや再生可能エネルギーの導入を推進することで、原発に依存しない社会、グリーンエネルギー革命、エネルギーの安定供給の3つを実現するとして、それぞれの目標を達成するための方策や目標を示している。また、電力システム改革を断行するとともに、地球温暖化対策の着実な実施をうたっている。政府はこれらを踏まえて、新たな原子力政策やグリーン政策大綱、電力システム改革戦略、地球温暖化対策の計画などを、早ければ2012年内に策定する方針だ。