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「シェールガス」 詳細解説

読み:
しぇーるがす
英名:
Shale Gas

地下から採取される天然ガスには、原油とともに産出される石油随伴ガスのほかに、地下水とともに産出する水溶性ガス、炭田地域の地層にある炭田ガスなどの種類がある。天然ガスの多くは地下にある砂岩にたまっており、井戸を掘って地下深くにある天然ガス層から採取するのが一般的な方法だ。一方、従来の天然ガスとは違って、地下にある泥岩の中でも固い頁(けつ)岩(シェール)層に存在している無色の天然ガスがあり、層の名をとって「シェールガス」と呼ばれる。

天然ガスであるシェールガスは、石炭や石油など他の化石燃料と比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、温暖化防止の観点から普及が望まれている。米国エネルギー情報局(EIA)の報告書によると、米国を除く世界32カ国にある採取可能なシェールガスの資源量は5760兆立法フィートと推定されている。シェールガスが世界各地の地下に存在することは以前から知られていたが、シェール層に広く、細かく分布しているため採取が難しく放置されてきた。

しかし、シェール層からガスを採取する技術が急速に進歩したことを受けて、シェール層が多い米国などでの開発が猛烈な勢いで進められており、「シェールガス革命」と呼ばれるブームを巻き起こしている。全米におけるシェールガスの生産量は、2008年の時点で2兆立法フィート(約570億立方m)に達し、大幅な増産傾向にある。米国ではかつて、将来的に国内で消費するガスの3割近くを輸入する計画を立てていたが、シェールガス革命によって、最新の見通しでは2030年の輸入液化天然ガス(LNG)の依存度を約3%にまで減少する推測を行っている。これにより、世界全体のLNG価格が大きく下がり、ロシアなどLNG産出国の輸出量にも影響が出ている。

米国以外にも、カナダや中国、独・仏・蘭などの欧州各国がシェールガスの開発や研究に乗り出している。また、日本の大手商社も各国のシェールガス関連事業に参加している。その一方で、シェールガス開発による環境や人の健康への影響が懸念されている。シェールガスを採取するには固い岩盤を破砕する必要があるが、その際にメタンなどの成分が地中へと拡散し、周辺の土壌や地下水、河川の水などを汚染する可能性があるというのだ。このため、ガス井の近隣住民やNGO/NPOなどの声を受けて米国環境保護庁(EPA)が調査に乗り出している。

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