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「未利用エネルギー」 詳細解説

読み:
みらいりようえねるぎー
英名:
Unutilized Energy

石油などの化石燃料に代わる新たなエネルギー源として、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーへの期待が高まっている。一方、自然界や地域などには、これまであまり利用されてこなかったが、大きな可能性を秘めたエネルギーが多くあり、これらをまとめて「未利用エネルギー」と呼ぶ。広い意味で新エネルギーに含まれる未利用エネルギーには、いろいろな種類がある。自然界に存在するものとしては、小水力、河川水・海水の熱、地熱・地中熱・温泉熱、雪氷熱、太陽熱・空気熱、潮力・波力などがある。

このうち発電の分野で近年、注目されている未利用エネルギーが小水力発電だ。日本ではもともと水力発電が盛んだったが、発電出力10万kW以上の大規模なものがほとんどだ。これに対して小水力発電は主に出力1000kW以下の小規模な設備で、小さな河川や水路に設置しやすく、建設時の自然環境への影響が小さくて済む点が特長だ。また、太陽熱発電波力発電なども今後の成長分野として期待されている。海に目を転じると、潮の満ち引きが生み出す海流や波力などの海洋エネルギーを利用する研究が、国内外の大学や研究機関で進められている。実用化にこぎつければ膨大なエネルギー源となるだけに、英国のように大型の潮力発電装置を海洋に建設した国もある。

熱利用の分野では、地域にあるさまざまな未利用エネルギー源から熱を取り出す技術が開発され、実用化されている。北海道や東北地方、日本海沿岸部などの雪がたくさん降り積もる地域で古くから行われてきたのが雪氷熱利用だ。雪や氷で氷室(ひむろ)をつくって農産物を冷蔵する知恵を現代に生かして、農産物の貯蔵施設や公共施設での冷房などに用いられている。また、地下数mから100mほどのところにある冷熱を、施設や住宅などの冷暖房に用いる地中熱利用も各地で導入されつつある。ほかにも、地熱や温泉熱、空気熱などが実用段階に入っている。

一方、都市にも人間の活動に伴って発生するさまざまな未利用エネルギーが眠っている。建物の冷暖房から出る排熱や、工場・変電所・清掃工場の排熱、地下鉄・地下街の施設から出る排熱に加えて、生活排水や中・下水処理水がもつ熱など、多種多様な熱源がある。また、工場や水処理施設、農業関連施設などの排水路に小型の水車を設置したり、工場などから排出される風の力で風車を回したりして発電するシステムも実用化されており、未利用エネルギーの可能性は広がりつつある。

未利用エネルギーを活用するには、ヒートポンプや水車、地中埋設管などを使って熱や電気を効率よく取り出す必要がある。また、エネルギーが存在する地域特性に合わせて、熱や電気をうまく組み合わせて活用するシステムづくりも重要だ。日本はヒートポンプをはじめとする環境技術開発で多くの実績があるとともに、高い技術力をもつ地場産業が多いことから、未利用エネルギー分野での成長が期待されている。

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