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「原単位」 詳細解説

読み:
げんたんい
英名:
Basic Unit

一定の量の製品などを生産するのに必要な、原材料や燃料などのエネルギー、動力、労働力、またはそれにかかる時間のことを原単位という。原単位はもともと、製鉄業で銑鉄1tを生産するのに使用するコークスの量や、紡績業で綿糸1梱包当たりに必要な綿花の量など、原材料の標準的な投入量を表す単位として用いられていた。投入する原材料やエネルギーの量が少なければ原単位も小さくなり、それだけ企業などの生産が合理化されていることを意味する。原単位は製造分野だけでなく、エネルギー管理や二酸化炭素(CO2)の排出削減などの環境分野でも重要な指標として用いられている。

エネルギー分野では、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」が、エネルギーを使用する事業者に対して、エネルギー消費原単位を年平均で1%以上低減するように努めることを求めている。エネルギー消費原単位は、エネルギーの使用量を工場の生産量や延べ床面積などエネルギー消費と関係の深い量で割った値で、エネルギー消費効率を比較するのに用いられる。また、事業者ごとのエネルギー使用量を把握する際には、製品や工程別の原単位や、燃料や電力などエネルギーの種類によって異なる原単位を用いる必要がある。さらに、同法に基づき経済産業大臣が判断基準を定める「セクター別ベンチマーク」の指標としても、原単位が用いられる。

一方、地球温暖化対策の分野では、「地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)」に基づき、事業者が取り組むべきCO2の排出抑制に関する指針を環境大臣などが定めることになっており、ここでは、経済活動量1単位当たりの排出量を示す排出原単位が用いられている。また、CO2排出量の把握には、産業連関表によるCO2 排出原単位が利用される。産業連関表は、生産活動を約400の種類に分けて、部門同士の経済的なつながりを年間の取引額で表したものだ。この表をもとに、各部門で100万円相当の生産活動を行った際に、直接・間接に排出されるCO2による環境負荷の量を示した係数がCO2 排出原単位となる。CO2 排出原単位を用いれば、家計の消費がCO2の排出量に与える影響などを計算することも可能になる。

CO2 排出原単位に、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)、浮遊粒子状物質(SPM)を対象として加えたものが環境負荷原単位だ。製品やサービスの環境負荷をライフサイクル全体で定量的に評価する、ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施になくてはならない指標となっている。このほかにも、廃棄物の排出削減や、下水処理場などの環境関連施設におけるエネルギー管理、ESCO事業などさまざまな環境分野で原単位が利用されている。

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