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「クラウドファンディング」 詳細解説

読み:
くらうどふぁんでぃんぐ
英名:
Crowd funding

社会をよくしたり、人の手助けをしたりする事業や活動が活発化している。NGONPOなどの市民団体や、CSRの推進に力を入れる企業だけでなく、何か世の中のためになることをしたいと考える一般市民も増えている。このような事業の多くは直接の収益になかなか結び付きにくいが、日本には欧米のような寄付の文化が根づいておらず、インターネットの普及も大きな追い風になっていないのが現実だ。こうしたなか、資金調達用のウェブサイトを通じて、「クラウド」すなわち民衆から、「ファンディング」すなわち資金を調達するクラウドファンディングが登場し、注目されている。

米国発のこのサービスはもともと、多くの資金や実績のない個人やベンチャー企業などが起案したプロジェクトを、製品やサービスとして形にするために考え出された。支援を望む人や団体は、運営主体の用意したサイト上で自分たちの理念や使命、経歴、実績の有無、事業内容、資金計画、活動計画などを公表する。同時に、支援金の額に応じた商品やサービスの引換券などを提示する。サイトを閲覧してその内容に共感した人は、希望する引換券に応じた額を専用サイト経由で企画者へ送金する。従来の寄付と比べて、事業の成果をより「見える化」するための工夫がこらされている。また、支援者が成果の一部を入手できる点も特長だ。

米国の先駆的なサイトとして、「Indiegogo」(インディゴーゴー)や「Kickstarter」(キックスターター)などがある。支援の対象は映画制作やゲームソフト開発、芸術家やアスリートの支援、教育、災害支援など多岐にわたる。これらのサイトはいずれも2008年前後に運用を開始し、社会貢献や環境保全に関するプログラムも用意している。同国では2012年4月に雇用創出法の一環として、クラウドファンディングに関する法的整備が行われた。日本でも、「READYFOR?」(レディーフォー) や「モーションギャラリー」などができ、さまざまな事業主体が社会や人、自然環境のためになるプロジェクトを提案している。

具体的には、被災地支援や国際協力、芸術文化やスポーツの担い手の支援、動物園や図書館の環境整備など、多種多様なプロジェクトが立ち上がっている。一人ひとりの支援額は数千円から数万円単位でも、多くの人の共感を得られれば目標額を達成することが可能だ。このようにクラウドファンディングは、社会貢献や環境保全に関する事業の資金を調達する有効な手段として、着実に成長し、成果を上げつつある。それだけに、出資者と事業主体との間の認識や考え方の違いから生じるトラブルなどが今後増加する可能性は否定できない。

重要なのは、出資者が企画の内容をよく読み、事業の必要性や趣旨、計画、効果などを理解したうえで支援することだ。ほとんどの運営サイトは、事業主体と出資を望む人がネットを通じてやり取りできる仕組みを用意したり連携したりしているので、活用するとよい。一方、支援を受ける側は、支援者に対して進捗状況や見通しなどを随時報告する責務があることを強く認識して事業に臨まなくてはならない。

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