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「ステークホルダー」 詳細解説

読み:
すてーくほるだー
英名:
Stakeholder

企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)には、従業員、投資家、取引先、請負業者、金融機関、地域住民、マスコミ、行政、NGO/NPO、消費者など、さまざまな主体が含まれる。金銭的な利害関係のみではなく、企業活動全般にわたって関わる全主体を含む。ステークホルダーを重視する考え方は、企業の社会的責任(CSR)に関するレポート(CSRレポート)や環境報告書などにおいて、企業の経営活動や企業の存続、発展に対して利害関係のある個人や法人のことを表す意味で多用されるようになって広まった。こうした報告書は、コンプライアンス(法令遵守)体制や環境問題への取り組み、安全対策、人権問題、社会貢献活動などについて報告するもので、いずれもステークホルダーとの関係なしでは成り立たないものだ。

企業は単独で成立するのではなく、たとえば、従業員を雇用することや、商品やサービスの顧客への販売、行政への納税など、多様なステークホルダーとの関係があって成り立っている。そのため、社会的責任を果たすこと(たとえば、環境への配慮や多様な人材の活用など)が消費者や従業員としての市民の利益につながる。同時に、ステークホルダーを重視したCSRに力を入れることで、企業競争力が高まって持続的経営にもつながり、株主や従業員の利益にもなるという考え方が広まっている。反対に、企業が社会的責任に背くような行動を行った場合、その企業への信頼が失われ、企業価値が低下する例も少なくない。

かつて企業は、株主や企業利益の最大化を重要視してきたが、このようなCSRへの関心の高まりにより、社会のさまざまなステークホルダーへの配慮が重要視されるようになっており、ステークホルダーの期待や関心に応えていくことが課題となっている。こうした動きを受け、総合経済団体である(社)日本経済団体連合会は、2004年に改訂した企業行動憲章で、「近年、企業の社会的責任の取り組みに注目する人々が増えている中、企業は、こうした変化を先取りして、ステークホルダーとの対話を重ねつつ社会的責任を果たすことにより、社会における存在意義を高めていかねばならない。」と明記している。

近年、企業の持続的成長には、株主や取引先だけではなく、潜在的株主であり従業員であり消費者である地域社会のさまざまなステークホルダーとの対話が欠かせないとの認識が高まりつつあり、その意見を反映するための手段として、さまざまな参加者を募って話し合いを行う、ステークホルダー・ダイアログ(対話)を開催するなどの動きもある。多様なステークホルダーが存在する中で、どのステークホルダーにどれだけ配慮するかはその企業次第であるが、それぞれの理解を得られる決定を下さなければ、企業の存続が危うくなるためだ。マルチ・ステークホルダー・ダイアログと呼ばれることもある。

また、CSR報告書のガイドラインとして世界的に普及している「GRIガイドライン」は、2006年に公表された「Sustainability Reporting Guideline Version3.0」で、ステークホルダー・エンゲージメント(約束)を重視した改訂が行われた。ステークホルダーの声を反映させた経営目標は、企業の「約束(エンゲージメント)」として位置づけられており、ガイドラインでは、ステークホルダー・エンゲージメントについての記載が求められている。これらを果たしていくために計画を策定、実行することが求められる。ステークホルダーの意見に加えて、国際的に認知されている規格類(「グローバル・コンパクト(1999年に世界経済フォーラム(=ダボス会議)で提唱された、企業による自主行動原則)」や、国際労働機関の条約など)との整合も強く意識されている。

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