経済団体連合会(旧経団連)は、1946年8月に、終戦後の日本経済の再建・復興を目的として誕生した。旧経団連は、貿易の自由化、自由競争の促進、行財政改革の推進、環境問題への取り組み、民間経済外交の推進など、経済界が直面する内外の重要課題の解決と、自由主義経済の維持・活性化に努めてきた。一方、1948年4月、それより以前に結成された業種別・地方別経営者団体を基盤に、労働問題を専門的に扱う経営者団体である日本経営者団体連盟(旧日経連)が発足した。旧日経連は、「経営者よ 正しく強かれ」をスローガンに、春季労使交渉をはじめとする賃金交渉への対応など、安定した労使関係の構築に努めた。
これらの2団体は連携しつつそれぞれの役割を果たしてきたが、戦後半世紀以上が経過し、経済問題と労働問題は分けては考えられない課題となってきた。また、少子高齢化や、国民の意識・価値観の多様化が進み、社会保障制度改革、雇用・労働問題、教育改革等は、企業経営にとってこれまで以上に重要な政策課題となり、経済界を挙げた取り組みが強く求められるようになった。そのため、2002年5月に両団体が統合して、日本経済団体連合会が発足した。2013年7月現在の会員数は企業1300社、業界団体121団体、地方別経済団体47団体となっている。
日本経団連の使命は、「総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、我が国経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与すること」だ。この実現のため、政治に積極的に関与していくことを宣言。これを受け、緊急かつ重要と思われる「優先政策事項」を決定し、各党の政策を評価し、企業が自主的に政治寄付を行う際の参考としている。また、政策本位の政治の実現、議会制民主主義の健全な発展、政治資金の透明性向上の観点から、CSR(企業の社会的責任)の一端としての重要な社会貢献として、企業・団体による政党の政治資金団体への寄付を促進している。
また、会員企業に対し「企業行動憲章」などの遵守を働きかけて企業倫理の確立に努めているほか、各国の政府・経済団体や国際機関との対話を通じ、国際的な問題の解決と諸外国との経済関係の緊密化を図っている。このほかに、環境自主行動計画、生物多様性宣言、低炭素社会実行計画など策定し、公表している。また、日本経団連の前身である経団連が、1991年に「経団連地球環境憲章」を発表し、「2010年度に産業部門及びエネルギー転換部門からのCO2排出量を1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」との目標を掲げたこともある。
一方、日本経団連が1990年に設立した「1%(ワンパーセント)クラブ」は、経常利益や可処分所得の1%相当額以上を自主的に社会貢献活動に支出しようと努める企業や個人を会員とし、会員向けに寄付や社会貢献活動に関する情報提供をしている。また、一般の人向けに企業の社会貢献活動に対して理解を深めてもらうための事業も行っている。会員数は、2013年4月現在で法人231社、個人854名となっている。