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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」24 ナガサキアゲハの北上

連載「日本昆虫記」24 ナガサキアゲハの北上
2010年04月28日

先週に2冊の単行本が発売された。「世界の珍虫101選 」は誠文堂新光社から。ソフトカバーで値段を抑えた本で、子供から大人まで虫の好きな人なら誰でも楽しめると思う。20年以上前の「珍虫と奇虫」のグレードアップ版と考えて頂いてもよいと思う。学名も調べられる範囲で正確さを期したつもりだ。
もう一冊は奥本大三郎さんたちと共著で「ふんころがしのめいじんスカラベ」という絵本が理論社から。
海野は現在ラオスで撮影中だ。

 地球温暖化が問題になっています。気温が上がれば、昆虫たちの生活にも影響が出てきます。南の方にしか住んでいなかったナガサキアゲハやツマグロヒョウモンというチョウが北の方にすみかを広げているといった報告が相次いでいます。
 ナガサキアゲハは関西より西の暖かな地域だけに見られたチョウです。それが2000年頃から関東地方でも見られるようになったのです。ぼくも2001年の秋に千葉県でたくさんのナガサキアゲハに出会いびっくりしました。そして何年か前からは東京でもよく見かけます。ナガサキアゲハの幼虫はミカンの葉を食べ、蛹で冬を越します。ミカンは東京の都心などにも多いので、冬の寒さに蛹が耐えられれば関東地方でも住むことができるのです。
 ツマグロヒョウモンも関西から西にすんでいたチョウですが、最近は関東や東北南部でも見られるようになりました。このチョウの場合は幼虫で冬を越します。食草のスミレの葉が冬でもある場所でないと生きていくことはできません。温暖化だけでなく、園芸ブームでスミレの仲間のパンジーが冬に植えられていることが北上の原因ではといわれています。
 分布を広げてきた南のチョウにとっては、冬が暖かくなることはよいことかもしれません。けれどこのまま暖かくなると、2100年までに地球の平均気温は6度以上も上がってしまうのではという試算もあります。地球は寒くなったり暖かくなったりして、現在の生き物たちがそれぞれの場所で暮らしているのです。私たち人間生活の影響で気温が急激に変化すれば、寒い地域の好きな生き物は追いやられ、やがて絶滅する生き物も多いのではと言われています。
写真下はナガサキアゲハのオス(2001年千葉県で撮影)。写真下はツマグロヒョウモンのメス

小諸日記は10周年。過去の日記は5年前4月   10年前4月

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