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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」11 ダイコクコガネのお母さん

連載「日本昆虫記」11 ダイコクコガネのお母さん
2010年04月15日


 ダイコクコガネはオスとメスが協力して動物の糞を地下に蓄え、コッペパンのような形の糞のかたまりを作ります。パンにイーストを加え発酵さすように、ダイコクコガネも糞をこねてパンを作り時間をかけて熟成さすのではとファーブルは考えました。よい具合のパンができると、今度はそこから糞を切り出して丸い糞球を作り、中に卵を産みつけます。ダイコクコガネのお母さんは大事な糞球にカビが生えたりしないように、糞球の掃除をしたりして、こどもが成虫になるまで一生懸命世話をします。
 オーストラリアでは昔は牛がいなかったのでダイコクコガネも住んでいませんでした。牧畜が盛んになると糞を埋める虫がいないので、いつまでも糞が地上に残って大変なことになりました。そこでヨーロッパからダイコクコガネの仲間を輸入したこともあるそうです。ダイコクコガネは動物の糞を土に返す役割もしているのです。
 日本ではダイコクコガネは絶滅寸前。放牧をあまりしなくなったことも原因ですが、牛の病気を防ぐために使われる抗生物質がいけないとも言われています。抗生物質が糞に混じっていると、糞が発酵しないため幼虫がよく育つ糞球ができないのではないでしょうか。
上は地中でコッペパンのような形の糞のかたまりを作って、熟成するのを待つミヤマダイコクコガネ。下は糞で作った丸い玉の上部に窪みをつけて、そこにおしりを入れ卵を産んでいるミヤマダイコクコガネのメス

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