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海野和男のデジタル昆虫記

擬態がどのようにして生じてきたか(連載擬態29)

擬態がどのようにして生じてきたか(連載擬態29)
2008年10月08日

 擬態がどのようにして生じてきたたかにはいろいろな議論がある。けれどどの議論も過去にさかのぼって3億年以上の昆虫の歴史をすべてみなければ実証は不可能である。たとえそんなことができたとしても、それはあまりにも複雑すぎてはっきりとした結論はでないであろう。どのようにしてカムフラージュが進化したかをダーウインやウオーレスが提唱した自然選択説を元にして考えてみよう。緑の葉の上に住む昆虫で緑色のものと茶色のものがいたとすると、当然茶色のものが目立つから緑色のものの方が襲われにくい。茶色のものは淘汰されて、やがてその昆虫は緑色になる遺伝子を持ったものばかりになっていく。ところが全部が緑色になってしまえば個体の間には色による生存率の違いはなくなる。もしこれで完璧に捕食者の目をごまかせるとしたら、捕食者は餌がとれなくて困ってしまう。捕食者の方も食べるという重要な命題があるから。カムフラージュを見破るもっと目のよいものが出現してくる。すると今度はその緑色の昆虫は緑色であるだけでは生き残れない。そこで今度は少しだけ葉に似た昆虫が生じてくる。するとより葉に似た昆虫のほうが生き残るチャンスが多くなる。するとまた捕食者はそれを見破る努力をする。こうしてどんどん葉に似た昆虫が生じてくるのである。
 写真は日本のカギシロスジエダシャクの幼虫



「昆虫たちの擬態」  昆虫擬態の観察日記  花になったカマキリ

◎10月12日までマダガスカル取材中のため、今月は特集昆虫の擬態を連載形式でおおくりします。マダガスカルからの更新は恐らく不可能と思われますがチャレンジはしてみますのでお楽しみに。マダガスカル昆虫記は10月以降に特集したいと思います。

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