2025/03/11 11:03 ウェザーニュース
2025年3月11日で、東日本大震災から14年が経ちます。ウェザーニュースでは「減災調査」と称して、過去の震災からの教訓が生かされているかについて、また将来の地震への備えについての意識調査を行いました。
2024年8月に日向灘でM7.1の地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表されました。この情報の認識率について調査したところ、97%とほとんどの方が名前聞いたことがあり、約6割の人が内容まで知っていることがわかりました。
「南海トラフ地震臨時情報が発表された時、対策など何か行動に移しましたか?」と伺ったところ、実際に行動に移した人は約3割で、認識率と同様に東海〜西日本の太平洋側の地域で割合が高くなりました。
具体的な対策としては、特に水や食料の備蓄と非常持ち出し袋の準備・確認をしたとの意見が多く、他にもポータブル電源の購入や避難場所や避難経路の確認をしたという意見もありました。
一方、特に対策などの行動しなかった人の理由としては、「南海トラフ地震の想定被害地域から離れている」といった地理的要因を除くと、「普段から対策しており、臨時情報をきっかけに「特別な」対策をしなかった」という理由で「特にしていない」と回答した方も多くありました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、東京でも多くの鉄道が運休となり道路も渋滞したため、帰宅困難者が街に溢れました。首都圏でおよそ515万人にのぼったとされています。将来、もし首都直下地震が発生した場合、帰宅困難者の数はこれ以上になると推定されています。
「職場や学校で被災し帰宅困難者となった場合、まずどのように行動するか決めているか」と調査したところ、決めている人の数は約半数にとどまる結果となりました。
また、過去の災害からの教訓として「帰宅困難に備えて、東日本大震災をきっかけになにか対策したことはありますか?」と伺ったところ、約4割の方が対策をしていたことがわかりました。対策内容としては、モバイルバッテリーや充電器、非常食など「持ち歩き品の見直し」や、歩きやすい靴(スニーカー)での通勤や徒歩での帰宅ルートの確認や実際に歩いて試すなど「移動手段の対策」が挙げられました。
エリアとしては、東日本大震災時に影響を受けた岩手県や宮城県、埼玉東京神奈川千葉などで50%前後の対策率となり、他の地域と比べてやや高くなりました。
巨大地震発生に対する意識を調査するため、「南海トラフ地震と同程度の地震に、自分自身は遭遇すると思いますか」と伺いました。その結果、4人に1人は「自分は巨大地震に遭遇しないだろう」という感覚を持っていることがわかりました。エリアで見ると、普段地震が起こりにくい山陰や九州北部では、遭遇すると思わない人の割合が多くなっています。また年配の方ほど「遭遇しない」と思っている割合が高くなっていました。
東京都防災会議によると、2022年(令和4年)以降、M7クラスの首都直下型地震が30年以内に発生する確率は70%であると推定されています。「30年以内」ということは、巨大地震は今この瞬間に発生してもおかしくありません。また、普段地震が起こりにくい場所では、「これまでほとんどなかったから、今後も発生しないだろう」と思ってしまいがちですが、大地震が発生する可能性は0ではありません。命や財産を守るためにも、油断せずに対策をするようにしてください。
今回「能登半島地震/能登豪雨に関して、復興はどれくらい進んでいると思いますか?感じていますか?」という項目で調査を行いました。
結果、復興が何%まで進んだかという感覚は、全国の平均では32.9%となりましたが、石川県は27.4%という結果で、47都道府県のうち最も低くなりました。被災地やその近くの方と、それ以外の地域の方の間には、感覚に大きな乖離があることがわかりました。
能登半島地震からは1年2ヶ月、能登豪雨からは約半年が経とうとしています。現地の様子が報道される機会も減少してきていますが、現地では復興にむけての取り組みが今現在も続いています。被災地に関心を向け続けるなど、それぞれの場所でできることをやっていきましょう。
今回の調査から、南海トラフ地震臨時情報の認知度は高いものの、実際に行動に移した人は3割程度にとどまることがわかりました。また帰宅困難時の行動計画を決めている人は約半数で、備えの差が明らかになりました。能登半島地震や豪雨災害からの復興感覚にも地域差が見られました。
災害はいつどこで起きるか予測できません。避難場所の確認、非常食の備蓄、持ち出し袋の点検など、過去の教訓を活かし、将来起こりうる巨大地震から自分と大切な人の命を守る準備を、これからも行っていきましょう。
ウェザーニュースでは、今後も災害の教訓や現状を伝え、次の防災・減災に繋げる取り組みを続けてまいります。
「減災調査2025」
対象:スマホアプリ「ウェザーニュース」利用者
期間:2025年2月20日〜2月26日
回答数:14,210