2025/05/11 05:00 ウェザーニュース
今年の4月は寒の戻りが話題となりましたが、平均気温としては平年よりやや高めで夏日もありました。この夏も日本付近は暖かい空気に覆われやすく、平年より暑くなることが予想されています。
今年は暑い夏に備えてグリーンカーテンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ウェザーニュースが実施したアンケート調査によると、全体の23.2%が「今年グリーンカーテンを作りたい」と回答し、およそ4人に1人がグリーンカーテン作りを考えていることが分かりました。
暑さ対策としてグリーンカーテンは、植物ならではの高い効果が期待できるといいます。
5月はゴーヤやアサガオなどの種まきや苗の植え付けの時期でもあり、グリーンカーテンを始めるのによいタイミングだといいます。家庭での植物栽培に詳しい、「サカタのタネ」に詳しく教えていただきます。
グリーンカーテンとは、植物を育てて、窓からの陽射しを遮るもの。一番の特長は高い遮蔽(しゃへい)効果にあります。
環境省によると、十分に葉が茂ったグリーンカーテンは日射の熱エネルギーの約80%をカットします。同じように遮蔽効果が期待されるすだれでは50〜60%です。また、横浜市や草加市がグリーンカーテンによる遮熱効果を検証したところ、グリーンカーテンを設置することで、窓の表面温度が約4〜5℃も下がることが確認されています。
さらに、グリーンカーテンには蒸散(じょうさん)効果も期待できます。植物は根から吸った水分を葉から蒸散させていますが、これは気化熱を奪います。そのためグリーンカーテン表面の温度上昇が抑えられ、室内への放射熱も減少します。打ち水の効果と同じ、生きた植物ならではの利点です。
夏は熱中症などの予防のために冷房の適切な使用が必要ですが、室内の温度上昇が抑えられれば、エアコンの節電・省エネ効果も期待できます。
現在、地球温暖化の原因となる温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)は、少なくとも過去80万年間で前例のない水準まで増加しています。世界的にも森林火災や熱波、干ばつ、洪水など、地球温暖化による極端現象の増加が問題となっています。
グリーンカーテンを活用することは夏の省エネになり、二酸化炭素排出が抑えられる気候変動緩和の取り組みのひとつでもあるのです。
グリーンカーテンには、日々育っていく緑の世話や、花が咲く、実がなるなど、植物ならではの楽しみもあります。5月はグリーンカーテンを始めるのに最適なシーズン。植物の種類も選ぶことができます。
まずは、グリーンカーテンに要なものを揃えましょう。
「最初に何を育てるかを決めます。5月から始めるのによいのはゴーヤ、ツルムラサキ、キュウリ、へちま、ひょうたんなどがおすすめです。
種や苗は、ホームセンターや園芸店、種苗店、通信販売などで手に入れられます。種は選べる種類が多く、苗はある程度成長しているので手軽です。ただ、ポット苗は店頭に並ぶ期間が限られるので、育てたい植物の販売時期をチェックしておきましょう。
植物を育てるために必要なのが『プランター・鉢』『鉢底石』『用土』です。
鉢やプランターは、グリーンカーテンを設置する場所や育てる植物に合うサイズを選びます。容量が大きいと土が多く入り、しっかり植物の根が張ります。
鉢底石は、プランターや鉢の底に敷き詰めます。水はけがよくなるほか、底穴からの土の流出や虫の侵入を防ぎます。
用土は、あらかじめ赤玉土や腐葉土などが配合されている培養土を選ぶのが手軽です。種から育てる場合は『種まき用土』、苗からの場合は野菜用・花用の『培養土』を選びます」(サカタのタネ)
グリーンカーテン設置のために必要なものも準備します。
「植物のツルをはわせるための『ネット』、ネットを支える『支柱』、ネットを固定するための『ひも・針金・結束バンド』などです。
ネットは、編み目の大きさが10cm程度を基本に、植物に合うもの。サイズは設置場所に合わせて選びます。支柱はネットがたわむのを防ぐために使います。
その他、作業に使う『スコップ』『ジョウロ』『手袋』を準備します」(サカタのタネ)
【用意するもの】
・種、もしくは苗:種の方が種類は多く安価、苗なら育てやすい
・プランター、鉢:設置場所、育てる植物に合わせて
・鉢底石:水はけをよくし、土の流出、虫の侵入を防ぐ
・用土:腐葉土などが配合されている培養土が便利
・ネット:編み目の大きさは10cm程度、設置場所に合わせたサイズを
・支柱:ネットをピンと張るために
・その他:スコップ、ジョウロ、手袋、ひも(針金・結束バンド)など
グリーンカーテンの作り方を教えていただきましょう。
「先にネットなどを設置します。グリーンカーテンは植物が茂るとかなりの重さになるので十分注意します。プランターや鉢はネット内側に設置しますが、ネットの角度は約70°にすると葉は外側に茂ります。
種から育てる場合は、あらかじめ種まきをして、ある程度成長してから植え替えます。プランターや鉢に直まきもできますが、温度管理など難しいところがあります。
発芽した植物がある程度成長するか、苗を買ってきたら、プランターや鉢に植え替えます。普段の手入れとして大切なのが水やりです。水は足りなくてもやり過ぎてもよくないですが、控えめぐらいがちょうどよいです。
茎が伸びてきたら、少しずつグリーンカーテンを広げたい方向に誘引しましょう。はわせたい方向のネットに絡ませるようにします」(サカタのタネ)
【グリーンカーテンの作り方】
(1)ネットを設置する
▼1階に設置する場合
ネットは上部を支柱にピンと張り、2階のベランダの柵や手すりなどに固定する。ベランダがない場合は、雨樋の金具※などに固定する。
ネット下部は、両端にひもを通し、左右がピンと張るようにして、物干し竿やフェンスなどに固定する。ネットをプランターの下に巻き込み、重さで固定してもよい。
※あらかじめ強度を確認すること
▼2階に設置する場合
屋根と床で突っ張り棒を固定し、支柱とする。ネット上部を支柱に固定する。屋根がない場合は、物干し用の金具など利用して固定する。
ネット下部は、両端にひもを通して、左右がピンと張るようにベランダのフェンスなどに固定する。プランターの下にネットを巻き込み、重さで固定してもよい。
(2)土入れ
プランターや鉢の底に、鉢底石を薄く敷き詰め、土を入れる。水やりのときにあふれないよう、土は縁の高さから2cmほど下までにすること。
(3)種まき
種から育てる場合は種まきをする。種が必要とする水や土の深さ、その後の管理方法などは植物によって異なるので、パッケージの説明に従うこと。
(4)植え付け(定植)
準備したプランターや鉢に、苗を土がついたまま入れられるくらいの穴をあける。穴に苗を入れ、すき間に土を入れ、茎の根本にも土をかぶせる。最後にたっぷり水やりをする。
(5)普段の水やり
プランターや鉢の土の表面が乾いたら水やりのタイミング。鉢底から水が出てくるくらいを目安に。
(6)そのほか普段の手入れ
茎が伸びてきたら、少しずつ導いてやります。自然のままでは上に向かっていくので、はわせたい方向のネットに絡むようにします。
「植物の成長に合わせて、『追肥』や茎の先端部分を摘む『摘芯』、『受粉』も行います。育てる植物ごとに必要な作業、タイミングなどが異なります。また、毎日観察していると、害虫や病気などに早く気づくことができます。おかしいと思ったら調べて対処しましょう」(サカタのタネ)
容赦なく照りつける夏の日差しを遮ってくれるグリーンカーテン。省エネにもなるエコな暑さ対策で、夏を涼しく快適に過ごしませんか。