ニュージーランドの南アルプスが真っピンクに。原因は巨大な砂嵐

  • 2025年5月9日
  • Gizmodo Japan

ニュージーランドの南アルプスが真っピンクに。原因は巨大な砂嵐
Image: John Hunt, Manaaki Whenua Landcare Research

綺麗に見えなくもないけど…。

2019年から2020年の南半球の夏場シーズンに、ニュージーランドの南アルプス山脈が鮮やかなピンク色に染まる現象が確認されていましたが、なぜそれが起きたのか、謎に包まれていました。

この謎に関する研究結果が公開され、約6年越しにその謎が解明されました。

ピンク色に染まった山景色

2024年12月に「Geophysical Research Letters」誌で公開されたジャーナルで、ニュージーランドの南アルプス山脈がピンク色に染まったのは、オーストラリアの南東で起きた巨大な砂嵐が原因だったことが明らかになりました。結果的に、4,500トンにも及ぶ砂が雪に降りかかったのだとか。

この研究結果が発表される以前は、オーストラリアの森林火災による灰が原因だと予測されていましたが、それは間違いだった様子。また研究者らによると、こうした現象が今後さらに頻繁になる可能性も指摘されています。

今回のジャーナルの筆頭著者であるHolly Winton氏は、ヴィクトリア大学ウェリントン校で発表されたプレスリリースで、この現象についてこう説明しています。

2020年の各メディアの報道では、2020年の新年にオーストラリアで起きた大規模な森林火災によって、海を超えて灰が吹き荒れたことで赤く染まったのではないかと予測されていました。

しかし、新年よりずっと以前から赤く染まる現象は起き始めていたのです。

Winton氏ら研究者たちが、汚染がいつ頃から始まったのかを解析するため、気団の動きを捉えたタイムラプスカメラの映像を遡ったり、また雪に含まれる不純物を地球科学的に分析したり、リモートセンシング技術を活用したりと、さまざまな調査を行なったのだとか。

その結果、2019年11月にはオーストラリアの南東からニュージーランドに砂塵が届いていたことが明らかになりました。

雪の上とはいえ、その色を大きく変えてしまうほどの砂塵がアルプス山脈に降り注いだ影響はかなり大きい様子。雪が本来反射するはずだった太陽光を砂塵が吸収してしまい、地表の温度を上昇させ、その結果、山の雪や氷が溶けてしまったのだとか。

さらにジャーナルの共著者であるPhil Novis氏はこう付け加えています。

気候変動によって、さまざまな地域での砂漠化や乾燥が進むと考えられています。その結果、同様の気象条件下で起きやすい森林火災や、今回の砂嵐がより一層起きやすくなっているのです。

やはりここでも気候変動の影響が。こうした現象を目の当たりにすると、その深刻さを実感してしまいますね。

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