SNS上で幸せアピールするママ友は本当に幸せ?『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』作者インタビュー

  • 2025年5月10日
  • レタスクラブニュース
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子

『毎日全力、たまーにズボラなすや子さんち』など、クスッと笑える育児系イラストが人気のすやすや子さん初の創作コミック『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』のテーマは「ママ友マウント」。

SNS上で幸せアピールをし、承認欲求を満たしてきた女性が、マンションの上階に越してきたママ友と交流を深めていく物語。闇を深めていくママ友同士の心中を描いています。

作者のすやすや子さんに、このマンガが誕生したきっかけについてインタビューしました。
まずはあらすじをご紹介します。

あらすじ

『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

主人公は、9歳の長女ミレイと生まれたばかりの長男レンを育てるサヤカ。
幼少期に不仲だった両親を見ていたことの反動で、「大人になったら自分は幸せな家庭を作る」ことにこだわっていました。
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

SNS上で「幸せな家庭」アピールをすることを欠かさない彼女ですが、実は家庭に大きな問題を抱えていました。イケメン夫には不倫関係にある女性がおり、長男は理由もなく火がついたように泣き、しかもなかなか泣き止みません。

気が狂うかと思うほどの強いストレスを抱えるサヤカでしたが、SNSでは日々、見せかけの幸せをなんとか繕っていたのです。
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

そんなある日、サヤカたちの上階に新しい入居者がやってきました。引っ越しの挨拶にやってきたのは、母親エミとその夫、そして一人娘のリコでした。3人は、見るからに仲の良い家族です。さらに、リコがミレイと同級生とわかると、2人は一気に仲良しに。

『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

母親のエミは、育児に疲れている様子のサヤカを察して、サヤカの娘ミレイを遊びに連れ出す思いやりのある女性のようです。さらにエミは、近くに住むという彼女の両親からもらった野菜を、サヤカにおすそ分けしてくれることもありました。

『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

そんな余裕のありそうに見えるエミに対し、実親とも不仲で、辛いワンオペ育児を余儀なくされているサヤカは、うらやましい気持ちでいっぱいになるのでした。

『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

一方、エミにも悩みがありました。結果の出ない、二人目の不妊治療で苦しんでいたのです。
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

そんなエミの心中を知らず、サヤカは「二人目は考えていなかったのにできてしまった」と心ない言葉をかけてしまいます。

このことをきっかけに、深まっていくサヤカとエミの溝。2人のママ友はどんな運命をたどるのでしょうか?


インタビュー


――すやすや子さんといえば、日々のできごとをほのぼのとしたタッチで描くエッセイマンガの名手、というイメージがあります。今回のような、ママ友同士のマウントをテーマにしたマンガを描こうと思った理由を教えてください。

すやすや子さん:育児漫画を書いている方は穏やかで優しい方が多いのですが、私は結構腹黒かったり性格がひねくれているところがあります。人にマウントしたくなる気持ちも手にとるように分かるので、この話なら描けそうだ…!と思った次第です。

『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

――ストーリーマンガを描くのはご自身にとって初めてだと伺いました。日常エッセイマンガを描くのと比べて、難しかった点や、苦労した点などはありますか?

すやすや子さん:日常エッセイマンガは実際にあった出来事なので、話の流れや構図を少し考えればいいだけだったのですが、ストーリー漫画はキャラクターからストーリーまですべて考えなければいけないので、エッセイ漫画よりも難しく感じました。あと、普段は人間じゃない姿ばかり描いていたので、人間の顔や体を描き慣れておらず、絵を描くのに苦労しました。


――一番最初にマンガを書き始めたきっかけを教えてください。

すやすや子さん:産後すぐに、大事な大事な我が子を育てる・尊い命を守らなければならないというという重圧に耐えられなくなり、産後うつのような状態になっていました。その時にSNSで同じ悩みを持つお母さん方のエッセイやコメントに救われたので、私もどこかの誰かが共感できたり笑ったりして心が軽くなるようなものを描きたいと思い、マンガを描きはじめました。

――インスタなどSNSで作品を発表しはじめて、周囲の反響や、ご自身の心境など、変化はありましたか?

すやすや子さん:漫画を描き始めたころはとにかく自分が好きなように描けばいいかと思っていました。ですが、私の漫画を見てくれる方が増えるにつれ、もっとおもしろいと思ってもらえるような漫画を描きたい!絵が上手くなりたい!と思うようになりました。

『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より
『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』より / (C)すやすや子/KADOKAWA

――今後描きたいテーマがありましたらお教えください。

すやすや子さん:都会と田舎、経済格差などをテーマにしたお話や、動物が主人公のお話、人間って怖いけどそこがおもしろいよねと思えるようなお話も描いてみたいです。

   *     *     *

日常エッセイマンガから、マウントをテーマにした本作へと、大きく作風の幅を広げたすやすや子さん。産後うつのような状態を経験されたことで手に入れた表現力・描写力は、次回作でも生かされそうですね。「人間って怖いけどそこがおもしろいよね」と思えるような作品、読んでみたいです!

取材・文=山上由利子

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2016 KADOKAWA Corp All Rights Reserved