友人から8年ぶりに誘われた合コンは、メンバーもお店も引っかかるポイントばかり。気まずい雰囲気の中、一人調子よく振舞う幹事には裏の思惑があって……?
Instagram(@negimayo3)とブログ「ここはネギマヨ荘」で、自分たちや周囲の経験をベースに漫画にして発信している二人組のクリエイター、ネギマヨさん。作品の多くはネギさんが作画を、マヨさんが原作と塗りを担当し、家庭でのトラブルや身近に潜む強烈な人物、ストーカー被害などをフィクションを交えた作品に仕上げ人気を集めている。
2022年に制作された「私はおいしい幹事ちゃん」は、ネギさんが巻き込まれてしまった、いわゆる「幹事ビジネス」の一幕を描いたシリーズ。友人に誘われ久々に合コンに参加したネギさんだが、コンパの参加者は男性側だけ妙に平均年齢が若く、料理は焦げたり量が少なかったりと低クオリティ。
幹事の女性「カンジちゃん」は遅れてくるという女性の到着をしきりに気にしており、違和感を感じたネギさんがお店の情報を調べると、そこには「8人以上で幹事1名無料」の文字が。こずるく自分の参加費を浮かせる魂胆かと思いきや、男性陣から料金の倍の額を徴収したりと怪しげな行動が重なっていき――、というエピソードだ。
幹事ビジネスとは、主催した飲み会などで幹事があの手この手で多めに参加費を集め、本来の料金との差額を懐にしまってしまうという「儲けの手口」。今回はネギマヨさんの2人に、幹事ビジネスに遭遇した思いやエピソードのこぼれ話を訊いた。
■「あえてみんなマヌケに描きました」笑えるけどえげつない幹事ビジネス
――知らずに幹事ビジネスに巻き込まれてしまったエピソードです。作品を描いたきっかけを教えてください。
【ネギ】私の実体験なんですが、マヨにこの話をしたときに「幹事ビジネスだよ」って言われたんです。
【マヨ】幹事をすることが多かったので「幹事さん無料!」というプランがあるのを知っていました。これで小遣い稼ぎをする人がいるのでは?と思って検索して知りました。
【ネギ】まだまだ知らない人も多いので、知ってもらう意味も込めて漫画にしました。
――「詐欺の片棒担がされた気分」と作中でも思いがつづられていましたが、幹事ビジネスという仕組みを知る前と後でカンジちゃんのことをどう感じましたか?
【ネギ】幹事って大変だと思うんですが、カンジちゃんみたいな人がいることで「幹事=儲かる」と思われても嫌だなと思いました。
【マヨ】どう考えても、いい大人で「そういうグレーじみたことをしている」ってだけで、友達もいなくなるし失うものが大きいんですよね。バカだな~、と。
――ネギさんはマヨさんに指摘されて幹事ビジネスをはじめて知ったそうですが、この仕組みへの率直な思いを教えてください。
【ネギ】いつか恨みを買わないか心配ですね。友人もいなくなるでしょうし、稼げるとしても対価が大きいなと思いました。
【マヨ】真面目に働いたほうがいいだろうと思ってたのですが、副業として計算してみるとなかなかボロい商売で、悔しくなりましたね笑。また、グレーなことは正当化しちゃあいけませんよ、と思います。
――実際に当事者だったらいたたまれない出来事の連発ですが、漫画としては笑えてくるようなシーンも多いです。演出や雰囲気作りで意識したポイントはありますか?
【マヨ】私が話をまとめましたが、聞いた話だからかもしれません。ネギさんが話も描いてたら幹事ちゃんがもっとあくどい顔していたかもしれません。あえてみんなマヌケに描きました。
――また、登場人物たちもそれぞれ個性豊かです。キャラクターの描き方や作画の面でこだわった点や、お気に入りのキャラ・シーンがあれば教えてください。
【ネギ】リアルでは顔には出さないようにしてましたが、漫画を描くうえで感情が表情で伝わるように心がけました。
【マヨ】お気に入りは、幹事ちゃんに半ば騙されるような形で島から来た男性陣たちですかね。いい人と出会ってくれてたらうれしいです。かなり難しそうですが。
取材協力:ネギマヨ