サイト内
ウェブ

“生ける伝説”格闘ゲーム界の最年長プレイヤー・sako、プロへの決断は「妻と親友が背中を押してくれたから」

  • 2023年12月28日
  • Walkerplus

2023年6月2日、カプコンの人気格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズの最新作『ストリートファイター6(スト6)』が発売。駆け引きをより楽しめる新バトルシステム「ドライブシステム」に加え、難易度の高い“コマンド入力の壁”を取り払った新操作方法「モダンタイプ」が実装され、多くの初心者を取り込むことに成功、そしていま、“格闘ゲーム人気”が再燃している。

そんな、盛り上がりを見せる格闘ゲームのeスポーツシーンにおいて、“最年長”でありながら最前線で戦い続けているのがFAV gaming所属のプロゲーマー・sako選手だ。今回、年末の特別企画としてsako選手へのインタビューを行い、ゲーマー時代の活動、ウメハラ選手との出会い、思い出の大会など、プロゲーマー人生の転機や舞台裏を聞いた。

■思い出深いのは“GODSGARDEN Online”の優勝

――『ストリートファイター』シリーズとの出合いや、当時のハマりっぷりについて教えてください。

【sako】『ストリートファイター』シリーズとの出会いは、1作目がリリースされたときになります。まだ小学生の頃で、家の近くに駄菓子屋があって。そこに置いてあった筐体で『ストI』をプレイして、ドハマりして以来の付き合いになります。

――『ストI』は必殺技を出すのが難しいことで有名ですが、当時から使いこなせていたのでしょうか?

【sako】うまい人に教えてもらいながら、毎日、昇龍拳の練習をしました。必殺技さえ出せればクリアーできるゲームバランスだったので、必死に練習していましたね。

――2013年にはCAPCOM公式世界大会“CAPCOM CUP”で優勝し、初代世界王者になられたsakoさんですが、他にもさまざまな大会に参加され、成果をあげています。もっとも印象に残っている大会は?

【sako】思い出深いのは、プロになる前に参加した“GODSGARDEN Online”という大会ですね。ウメハラ(梅原大吾)が“本当に強いプレイヤー”を集めて開催した大会で、それまでは「1先」という一試合先取の形式が主流だったんですけど、“GODSGARDEN Online”は「10先」(10本先取)で本当に強い奴を決めよう…というルールになっていて。その第一回大会で優勝できたことが強烈に印象に残っています。

――いま話題にあがりましたウメハラさんとの出会いについてお聞きしたいです。

【sako】昔から「ゲーメスト」という雑誌(アーケードゲームを専門に取り扱うゲーム雑誌)を読んでいて、そこにウメハラのコラムが載っていたので彼のことは一方的に知っていました。

――sakoさん自身も「ゲーメスト」で紹介されたことは?

【sako】何度かあります。ただ、僕もウメハラも「ヴァンパイア セイヴァー」というゲームをやってはいたのですが、やり込んだ時期がぜんぜん違っていて。彼は稼動当初からやっていて、現役でめちゃくちゃ強かったのに対し、僕は全国大会が終了して、それまでやり込んでいた人たちがちらほら辞めていく頃から始めたので、時期的にまったく被らなかったんです。なので同作では直接対戦することはなかったですね。

――初めてウメハラさんと会われたのはいつになりますか?

【sako】“闘劇”という大会に参加した際、こちらから一方的に見かけたのが初めての出会い(!?)になります。でもそのときはしゃべるタイミングがなくて、ただただ「有名人見つけた!」という感覚でした。

――sakoさんにとって、ウメハラさんとはどういった存在ですか?

【sako】憧れの存在といいますか、当時も今も、変わらずに大ファンです。昔からすごいプレイヤーで、なおかつ第一線をずっと走っていて。いまだに現役でトップを走り続けているので、“格闘ゲーム界のパイオニア”といったら彼しかいないですね。

――具体的に、どのようなところがすごい方なのでしょう?

【sako】中学生の頃からすでに強くて。そういった情報が「ゲーメスト」だったり、友だちの噂話を通して伝わってくるんですよ。「関東に化け物みたいな奴がいる」みたいな感じで(笑)。そういう刷り込みもあって、自分のなかでどんどんイメージが膨らんでいったんですけど、実際に戦ってみたらこれが本当に強くて。「噂は本当だったんだ…」と、改めて思い知らされました。

――sakoさんご自身も、プロになられる前から「関西にsakoあり!」といわれるほどの凄腕のゲーマーですが、全国的に名前が知られるようになったのはいつ頃からですか?

【sako】「ヴァンパイア セイヴァー」で、難しめのコンボを編み出した頃からですかね。1/60秒のタイミングで、一回もずらさずに連続して攻撃をくり出すコンボなんですけど、噂を聞きつけたゲーマーが全国からやってきて、対戦を希望されたり。そこで戦った人たちが、コンボに“sakoスペシャル”という名前を付けて、口コミでどんどん情報を拡散してくれて。それがきっかけで、ぼちぼち名前を知ってもらえるようになった感じです。

■“世界最強”といわれているMenaRDと対戦したい

――2017年3月よりプロゲーマーとして活動されていますが、専業プロゲーマーになられた理由・経緯を教えてください。

【sako】前年の2016年に『ストリートファイターV』が発売されたんですけど、オンライン環境があまり良くなくて…。いろいろ試したんですけど、2カ月近く経っても環境が改善されなくて、これでは練習にならないなと感じたのが、そもそものきっかけになります。そこからだんだん「オンラインがダメなら、直接相手と向き合うオフライン対戦をこなすしかない」とか、「そうなると、トッププレイヤーが集まっている都心に住んだ方がいいんじゃないか?」と思うようになって。そうしてあれこれ考えて、仕事の調整などもしたうえで、東京に引っ越してきたのが2017年だった……という次第です。

――当時はスポンサードなど、プロゲーマーをサポートする環境がまだまだ不十分だったと思うのですが、それでもプロになろうと思われた、背中を押されたきっかけはあるのでしょうか。

【sako】妻と友人が応援してくれたことが大きいですね。僕自身、ゲームは好きだけど、「プロになってそれを仕事にする」とはどういうことなのか、いまいち理解できていなくて…。でもふたりが「ゲームを仕事にするなんて貴方にしかできない。絶対にやった方がいい」と、毎日のようにいい続けてくれて。それが数カ月続いたので、「だったらいちど、やってみるか」という気になり、腰を上げたというわけです。

――現在はFAV gamingに所属されていますが、加入されるまでの経緯もお聞きしたいです。

【sako】上京して、まず最初に“SCARZ(スカーズ)”というチームにお世話になりまして。そこで1年間活動し、契約満了になった際、大阪時代からお世話になっていたファミ通編集部の豊泉さんが声をかけてくださったんです。「うちの会社でもゲーミングチームを作るので、つぎの行き先が決まっていないのならいっしょにやりませんか?」ということで、そのお誘いに乗って、所属させていただくことになりました。

――プロゲーマーになって、うれしかうったエピソードと、つらかったエピソードを教えてください。

【sako】うれしかったことは、それまでぜんぜん面識のなかった方たちが、僕のプレイを見て楽しんでくれたり、親身になって応援してくださるようになったことですね。お互いについてまったく知らない間柄でも、ゲームを通せばいっしょに盛り上がれる…といいますか。ファンの皆さんの応援は本当にありがたくて、毎回、めちゃくちゃパワーをいただいています。

逆につらかったのは、人前で話すのが苦手なので、せっかくイベントに呼んでいただいても何もできず、置物のようになってしまっていたことですね。それを克服するために個人配信を始めて、今では多少はしゃべれるようになりましたが、プロになってから最初の数年は、とにかく「人前で何かをする」ことがきつかったです。

――「しゃべることに慣れた」という部分以外にも、配信を始めたことで、ここが変わったと思われるところはありますか?

【sako】僕自身の変化ではないんですけど、応援してくださる皆さんのお顔や、お人柄がわかるようになりました。個人配信を始めて、約7年になるんですけど、初期の頃から見てくれて、今でも毎回、熱心なコメントを送ってくださる方が大勢いらして…。特におもしろいことをするわけでもないし、同じゲームをひたすらやり続けることも多いのに、それでも毎回、配信を見てくれて、ファンイベントの際には、わざわざ青森や福岡、北海道からでも遊びにきてくださるんですよ。今の自分があるのは、こうして応援してくださる皆さんがいてくださるおかげだなと、ひしひしと感じながら頑張らせていただいています。

――年末の“FAVCUP2023”(※)について、意気込みを教えてください。
(※)“FAV gaming”によるeスポーツ大会「FAVCUP2023」が2023年12月29日(金)・30日(土)に「ところざわサクラタウン」(埼玉県所沢市)にて開催される



【sako】今回で4度目 の開催となるFAVCUPですが、僕個人としてはまだ優勝したことがなくて…。今年は競技種目が『スト6』になり、海外からも強豪プレイヤーを招待して、ものすごい規模で実施されるので、ここは何としても優勝を目指したいですね。

――海外勢のなかで戦ってみたい選手はいますか?

【sako】ストVのプロツアーでは毎月どこかの国で会っていた仲のいい選手ばかりなんですけど、『スト6』で対戦するのは初めての人もいるので、ゲームが変わってどういった動きをするのかは気になりますね。AngryBirdやBigBird、Phenom、Xianなど、気になる選手は大勢いますが、そのなかでも“世界最強”といわれているMenaRDには注目しています。ぜひ、対戦してみたいですね。

――格闘ゲーム初心者の方に向けて、FAVCUP2023の見どころを教えてください。

【sako】国内において、これほどの規模で開催されるオフラインeスポーツ大会はなかなかないですし、ましてや大ヒット中の『スト6』の大会でもあるので、盛り上がることは間違いありません。昨今では動画や配信で、家にいながらでもeスポーツ大会の観戦はできますが、対戦格闘ゲームに関しては、オンラインよりオフラインで観るほうが圧倒的におもしろいと断言できます。コンボが決まるたびに歓声が上がったり、目の前で超絶プレイを楽しめたりと、熱量がぜんぜん違うので、気になる方はぜひ、現地までお越しいただいて、生で試合を観戦してほしいですね。この興奮をいちど味わえば、病みつきになること間違いなしです!それと、海外の超有名選手たちを間近で見られる…という点も、FAVCUP2023ならではの見どころですね。

――貴重なお話、ありがとうございます。それでは最後に、sakoさんご自身の2024年の目標を教えてください。

【sako】とにかく『スト6』の今後の展開が気になりますね。年明け一発目のバランス調整がどのような形になるか? それによって使うキャラクターを変えたり、立ち回りを一から考え直したりしないといけないので、今はそれが気になって仕方がない…という感じです。とはいえ、どのような状況になっても、臨機応変に頑張りますので、応援のほう、よろしくお願いします!



文:ソムタム田井

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.