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祖母が1週間分の薬を一気飲み!認知症介護実録漫画でわかる治療継続のための工夫【作者に聞いた】

  • 2023年9月9日
  • Walkerplus

加齢に伴って物忘れが多くなることは自然な現象と言われている。一方で、認知症による物忘れは、加齢による物忘れとは性質が異なり、物事を記憶すること自体が難しくなるとされている。例えば、食事をとったことは覚えているが、何を食べたか思い出せないのは加齢による物忘れ。食事をとったこと自体を忘れているのが認知症という具合だ。


現代医療では認知症の根本治療薬はないとされているが、症状を緩和させたり、進行を緩やかにしたりすることは可能だ。しかし、食事をとったこと自体を忘れてしまうことがある認知症患者に服薬の管理を任せるのは難しいことが、学生ながら介護を余儀なくされた体験を描いたコミックエッセイ「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん 〜認知症介護実録〜」からもわかる。
漫画の作者であるさとみさん(@satomi_qoljojo)に対し、「私のお財布盗ったでしょ!!!」と疑いをかけるようになったり、同じ物を大量に購入するようになったりした祖母のきみ子さん。認知症外来を受診し、アルツハイマー型認知症と診断される。さっそく薬物療法を受けることになったのだが、1週間分の薬を一気に服薬し、救急車で運ばれる事態に…。その記憶から「薬!!!絶対もう飲まない!!!」と言い出すようになってしまう。ここから再び治療に向き合うためにどういったことをしていたのか、さとみさんに聞いた。



■薬カレンダーでその日の薬を管理。飲み切るまで見守る
――「薬は怖がっているので違うものに変えましょう」と医師から提案されていますが、見た目の異なる別の薬が処方されたということでしょうか?

はい、処方薬が変わりました。ただ、おばあちゃんはいろいろ言うものの、医者に処方された薬はちゃんと飲むタイプなので、実は過去に一度たりとも薬を飲み忘れてしまうようなことはなかったりします。

――きみ子さんは看護師として働かれていましたから、薬をきちんと服薬することの重要性をよくご存知だからかもしれませんね。薬事件を受けて家族で薬を管理するようになったそうですが、具体的にどうされていたのか教えてください。

薬カレンダーというものを活用していました。カレンダーにポケットがついていて、その日に飲むべき薬を分け入れて管理する物です。母が分別して、私が必要な時間になったらそこから取り出し、飲み切るまで見守るという流れで管理しておりました。認知症の薬以外にも服用するものがあったりしたので、間違いがないようにと結構気を遣いました。

――きみ子さんと同居しているのがさとみさんということもあり、自然とさとみさんがしなければ多い状態が続いていたと思います。この頃、ゆみこさんとはきみ子さんの介護についてどのようにしていくかという話はされていましたか?

「薬の管理お願いね」という感じで、なりゆきで服薬の見守りはスタートしました。ただ、認知症のサポートって日によって変わります。母は薬の管理だけをお願いしているつもりだったと思いますが、ほかにもいろいろ気にかけなければいけないことがありました。例えば火の消し忘れを常に意識したり、怒鳴られながら財布を探したりと、外からはわからない負担をどこまで理解してくれていたのかは測りかねます。

――いわゆる徘徊の前兆のような行動が出始めたきみ子さんですが、この頃は外にまでは出かけず、家の中をうろうろしていた感じなのでしょうか?

そうですね。深夜にトイレに行くわけでもなく家の中をさまよったり、玄関を眺めていたり。振り返ると遠くでおばあちゃんがたたずんでいるってことがよくありました。本人に聞いても笑うだけで、理由は話してくれませんでした。ただ、私が驚く姿をちょっと楽しんでいる感じはありましたね。

決められた量の薬をきちんと決められた時間に飲み続けることは、案外難しいことだ。薬カレンダーのようなツールを使ったり、家族でどのように管理をしていくか話し合ったりしていくことで、飲み忘れや飲み過ぎにの防止につながるのだろう。


取材・文=西連寺くらら

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