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京都西大路店が誕生! 地域に寄り添うスターバックス流・店舗の作り方とは?

  • 2023年8月10日
  • Walkerplus

駅ビルやオフィス街にある店舗、公園内など各地域の象徴的な場所にある店舗など、全国各地に1800以上もあるスターバックス。その一つひとつが、その地域に根差した店づくりが行われているってご存じ?今回、京都に新しい店舗ができると聞き、その店舗設計の秘密に迫った。

■お客にどのように過ごしてほしいか、丁寧に向き合う
8月9日、大型路面店「スターバックス コーヒー 京都西大路店」が誕生する。京都・西大路五条の交差点から200m下がった、西大路通に面したドライブスルー付き店舗だ。緑の多い敷地の少し奥まったところに、グレーと茶の温かみのある外壁の2階建て店舗があり、駐車場や屋根の植栽とともに周囲に溶け込んでいる。

この場所が出店地に選ばれたのには訳がある。かつてこの場所の近くに、京都リサーチパーク店という地元に愛されたドライブスルー付き店舗があったが、2019年に惜しまれながら閉店。市内の既存店は駅中心部の観光客が訪れるロケーションに多く、地元の人たちが集える店をつくることは、スターバックスとして念願だったという。

今回、店舗設計を担当したのは、設計部の齋藤さん。休暇にも建築物を見に行くほど設計が大好きな齋藤さんは、「店舗設計から内装までトータルで担当でき、とても幸せな時間だった」と笑顔を見せる。

齋藤さんによると、スターバックスの店舗設計で大切にされているのは、「パーソナライゼーション」という考え方だ。それは、お客様にどのように過ごしてほしいのかを丁寧に向き合うこと。どの店舗を作るときでも、そこに訪れる人や過ごし方を想定し、パーソナライズして設計に落とし込む。

齋藤さんは、京都西大路店を設計する前に、事前に現地を訪れ、どのような地域か、どのような人が訪れるか、どんな景色が見えるかなどを観察して、地元の人たちのニーズをイメージする。その後、社内関係部署との議論の結果、導き出されたのが(1)クイックな利用(2)店内でゆっくり利用という2つのニーズだ。

そこで1階はドライブスルーやテイクアウト、モバイルオーダーなどを想定したクイック利用、2階は自宅以外でゆっくりくつろぐ場所としての利用を想定して設計。外には駐車場を18台完備し、自転車やバイク置き場、犬をつなぐポールなども用意されている。

齋藤さんが事前調査に訪れたときに自転車やバイクで行き交う人や散歩する人の姿が印象的だったそうで、「この店舗は、地元の方のために設計を考えました。散歩途中にでも気軽に訪れてほしい」と語る。

■地域の人にとって居心地の良い場所に
店舗は京都の町屋にインスピレーションを得た空間構成。開業直前のある日、細部まで来店客のために考え抜かれた店内を、斎藤さんの案内で見せてもらった。

1階は通り庭のような空間をイメージ。バーを囲むように席が配置され、クイック利用のために立ち上がりやすさを考慮したイスやテーブルを配置した。
「ハンドオフ(ドリンクの受け取りカウンター)には大きなペンダント照明を吊るして、お客様がどこに行けばよいかわかりやすいようにしました。ここはパートナー(従業員)とお客様がつながる大切な場所だから」(齋藤さん)

2階は、ゆっくり過ごす場所として居心地の良い空間を目指し、特に意識したのは太陽の動きだ。
「太陽は、夏は高く、冬は低い位置で動きます。夏は日を遮り冬は日が入るよう、東西を壁にして南側の屋根の庇の長さを計算しました。こうすることでお客様が過ごしやすくなります。順光が当たる北側にはあえて広い窓を設け、景色が楽しめるようにしました」(齋藤さん)

そして居心地の良さの追及は席の配置にも見られる。部屋の中央から大きな窓へ向かってイスやテーブルの高さを低くし、どの席からも景色を望むよう配慮。時間や季節の移ろいを感じられるようになっている。雪見窓をイメージした低い位置にある窓からは屋根の緑化が見られる。

スターバックスは店舗ごとのアートワークも特徴的だが、そこにもメッセージが込められている。今回のテーマは「ハシエンダ アルサシア」。コスタリカにあるスターバックスの自社農園だ。2階の壁面にはコーヒー豆や農園の写真、生物多様性をテーマにハシエンダ アルサシアの動植物を描いた絵画などが掲げられている。

コーヒーの研究所を兼ねた農園は、強い苗ができたらほかの農園に配るなど、地域貢献もしていることや、農園の美しさに齋藤さん自身が感銘を受けているそう。
「既存店は観光地に多いので、地元の方にスターバックスが何をしているのかをあまり知られていないのではないかと思いました。だからこそ、私たちがしていることを伝えさせていただけたら」(齋藤さん)

屋根や窓の配置からテーブルやいすの高さ…すべてに「地域の人にとって居心地の良い場所にしたい」という想いが詰まっている。

■空間やコーヒーを通して日常に、upliftな瞬間を
ここからは京都西大路店ストアマネージャー(店長)の松村さんも加わり、できたばかりの店舗を見た感想などについて語ってもらった。

――完成したお店を見て、どのように感じましたか?

松村さん「太陽の動きや緑をありのまま生かす設計になっているところが、すごくいいなと感じました。デジタルの世界になっていく中で、日本の四季を感じながらコーヒーを楽しめる。自分たちの暮らす場所がすばらしいところなのだと、あらためてお客様に感じてもらえるのではと思います」

齋藤さん「太陽の動きはすごく意識しました。最初に考えたことなので、そこをヒットしていただけたならすごくうれしいです(笑)。内部の居心地を上げるために、いかに自然を生かし、光を制御しつつうまく取り込むか、建築で出来ることをやりました。西に窓を作ると夏は暑くて空調も大変。最初にそこをちゃんと考えておくと省エネにもなるし、なにより居心地が良いですよね」

松村さん「ハシエンダ アルサシアのアートもそうですよね。掛け軸になっていて、外して付け替えられる。廃棄を減らすことにつながるので、サステナブルな考え方がスターバックスらしいですよね」

――お店の中で特に印象に残っているところは?

松村さん「外観も内部も、全部、すごいなぁというひと言なのですが…。1階のドライブスルーレーンがガラス張りになっていますね。お客様にアイコンタクトをしながら待っていただくことができますし、私たちも気持ちを込めてコーヒーを作ることができると思いました」

齋藤さん「まさに、そうなんです。待たれているお客様は自分のことを忘れられていないかなって気にされている方が多いと思います。そういう時に、パートナーさんが作っている様子が見えると少しでも安心できると思ってガラス張りにしています。エスプレッソマシーンをドライブスルー側にも1つ置いて、スターバックスらしく車からも見えるようにしました。ガラス張り、ちょっと暑いかもしれないけど(笑)」

松村さん「いえいえ。朝、めちゃめちゃ清々しいですよ!(笑)。1月に図面やパースで初めて見て以来、どうなっているかここを通る度に気にしていました。それは京都のパートナーも同じで。地区のパートナー内で、今日はこうなっていました、ついにロゴが付きましたって報告し合っていたんです(笑)」

齋藤さん「わぁ、そうなんですねぇ!」

――お客様にはどのように過ごしてもらいたいですか?

齋藤さん「クイックの時、ゆったりしたい時、お客様のその日の気分に合わせて、気軽に日常使いしていただけるといいなと思います」

松村さん「一日のなかで、日々の中で、光の差し方や緑や花の変化など、自然の移ろいを感じていただきたいと思っています。そして、自分たちのサービスを通して最高のコーヒー体験を届けたい。京都西大路店のストアビジョンは『uplift the everyday』。少し胸が高まる体験を一日一日積み重ねて、この店ができてよかったなと思っていただけるように、地元のお客様の日常にしっかり関心を持ち、知り、どう寄り添えるのか。パートナーひとり一人が出来ることを考えてオーナーシップをもって行動できるようにしていきたいです」

齋藤さん「ここでは、コーヒーセミナーもされるんですよね?『京都で深くコーヒーの事を知りたければこの店に』という店にしていきたいと聞き、壁面の写真はそのままコーヒーセミナーに使っていくこともイメージしています。しっかりしたコーヒーの知識を持っている人がストアマネージャーとしてアサインされるよと聞いていました。それが、ブラックエプロンの試験に12回も合格している松村さん!」

松村さん「あははは(笑)。任せてください!実は自分が最初に働いたお店が、この近くにあった京都リサーチパーク店でした。地元のお客様がたくさんいらしてくださるお店だったので、この地域には愛着があります。だからこの店ができることを知って、当時の記憶、パートナーやお客様の顔が浮かんできて、『ストアマネージャーやりたいです!』ってすごくアピールしました(笑)。そこから自分が始まっているからこそ、ここ京都西大路店でそのご縁に恩返しがしたいと思っています」

「人々の心を豊かで活力あるものにするために― ひとりのお客さま、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」を企業のミッションに掲げるスターバックス。約1800ある店舗が1800通りの想いで作られ、サービスを届けている。あなたの近くにあるスターバックスも、そのひとつだ。

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