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生原稿・原画が圧巻!森薫の「乙嫁語り」の展示会が横浜で開催中

  • 2023年6月9日
  • Walkerplus

神奈川県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ、以下「あーすぷらざ」)で開催中の『大乙嫁語り展』。本展示会は、2022年2月の「ところざわサクラタウン」を皮切りに、京都会場の「京都国際マンガミュージアム」、秋田会場の「横手市増田まんが美術館」に続く4会場目の巡回だ。その内容について、現地会場よりリポートをお届け。

あーすぷらざは、国際理解、多⽂化共⽣、平和をテーマにした常設展示・学習施設があり、外国人の生活相談や民芸品販売やカフェ、イベントホールもある総合施設。年間を通じて、子供むけのイベントやワークショップも多く、楽しみながら国際理解を深めることができる。

そのため『大乙嫁語り展』も、過去の会場と趣向を変えて、子供たちにも作品を通じて中央アジアの文化に触れてもらえる企画・内容になっている。

JR本郷台駅改札を出て、左前方に進みロータリを出て左方向に直進。目の前に丸い銀色の建物が現れる。最寄り駅より徒歩3分という近さがうれしい。階段を上がって2階の入口からあーすぷらざ館内へ。『大乙嫁語り展』は3階。エレベーターを降りると展示入口でアミルさんがお出迎え。
券売機(現金のみ)にて、チケットを購入。入場料はなんと大人400円!超お値打ち価格。何度もリピートしたくなる。チケットをスタッフに見せて、いざ展示会場内へ。
入ってすぐに10巻の見開きページを引き伸ばしたイラストが目に飛び込んでくるので、よく見てほしい。引き延ばしたイラストの真ん中に原画が飾られている。約B3サイズを引き延ばしても線がはっきりしていて解像度が落ちていない。これぞアナログ原稿の醍醐味。

「乙嫁語り」は、19世紀半ばの中央アジアを舞台にした物語。イギリス人旅行者スミスの視点で、旅の途中で出会った乙嫁(美しいお嫁さん)やその家族の日常を描く。その土地の文化風習の描写も魅力的な作品だ。原画の展示エリアは8つに分けられている。

エリア#1は「彩りの乙嫁たち」。コミック表紙を飾ったカラーイラストや裏表紙の背景イラストを展示。乙嫁たちが着ている服の細かい模様や立体感、馬の毛並みのツヤ、風景画から伝わってくる土地の匂いなど、美麗なカラーイラストで、筆遣いにため息がでる。
エリア#2からは、各キャラクターをフィーチャー。アミル、タラス、ライラ&レイリ、アニス、パリヤと乙嫁たちの印象的なシーンが続く。そのあとには、「スミスの旅路」として、スミスやアリ、ニコロフスキなどが描かれた原画が。モノクロ原稿の下には、ネーム(漫画の下書き)と実際の本文ページ(セリフ入り)パネルの展示もあり、「この線画の下書きからこの完成度の原稿が!?」という驚きの連続である。完成原稿とネームを見比べると、下書き段階での構想が垣間見れ、原画展ならではの楽しみ方ができる。凡庸な表現になってしまうが、本当に描きこみがすごい。

最後のエリアは、著者本人が激選した原画たち。何気ない街中の雰囲気や生活・文化の描写、動物、森薫の代名詞・セイレケのツヤベタな黒髪シーンまで。ファンにはたまらないセレクト。

原画の脇にところどころ、著者コメントがあるのもうれしいポイント。セイレケの黒髪シーンや、シーリーン、パリヤの原画に添えられたコメントは森薫らしいコメントで、ファン必見だ。

原画コーナーのあとには、一問一答が続く。漫画家を目指したきっかけや子供の頃に影響を受けた作品・作家から、現在のことまで。原画をじっくりみていると、一問一答の時間が無くなってしまうかもしれないが、ここのコーナーもじっくり読みたい。

セットで見るとおもしろいのが、ペン入れ風景動画や京都会場で行ったライブドローイングイベントのダイジェスト映像。ダイジェスト映像はなんと約20分!ライブドローイングで描いたイラスト、14巻のネームや複製原稿、仕事道具がぎゅっと展示され、濃密なコーナーだ。これから来場する予定の人には3時間以上の余裕をもって来場することをおすすめしたい。

以降のコーナーは、各会場ごとに少しずつカスタマイズされている。

外務省中央アジア・コーカサス室が運営するTwitter「中央アジア・コーカサスとゆかいな仲間たち」(@CentralAsiaplsJ)で紹介していた中央アジア5か国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)の写真をミニパネル展示に。在京大使館から借りた民芸品や民族衣装の展示もあり、作中で見た街の風景を身近に感じることができる。コロナ禍で遠のいていた海外旅行欲もぐんぐんと湧いてくる。

海外繋がりでいうと、「乙嫁語り」の翻訳出版の展示も面白かった。現在、12言語に翻訳されていて、その1巻が展示されている。そのうち、中国語版繁体字や韓国語版、ベトナム語版、ポーランド語版は自由に中を覗くことができる。普段目にする機会のない外国語版を見ると、いかに日本の漫画カルチャーが外国で人気なのかの一旦を垣間見ることができた。

展示の入場特典には、子供向けのぬり絵(大人にも配布中)。中央アジア5か国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)と日本をイメージした女の子のぬり絵は、森薫による描き下ろし。国旗カラーや各国の民族衣装をイメージしてぬり絵を楽しんでみるのもよい。同施設内の5階にはぬり絵を楽しめる場所もあり、親子で遊びにいくことができる。

展示をみたあとは、5階のパリヤさんフォトスポットで記念撮影もお忘れなく。スタッフお手製小物パリヤのパンも注目だ。フォトスポットの近くには、常設の国際理解展示室もあり、共通チケットとなっている。会期は、6月25日(日)まで。作品を通じて親子で中央アジアの文化に触れてみてはいかが。

『大乙嫁語り展』横浜会場 概要
【会期】2023年4月22日(土)から6月25日(日)
    10時から17時(最終入場16時30分、物販コーナーは16時45分まで)
【休館日】祝日を除く月曜日
【会場】神奈川県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ) 3階 企画展示室
【住所】神奈川県横浜市栄区小菅ヶ谷 1-2-1
【料金】大人:400円
    高校生・学生・65歳以上(左記以外で20歳未満の方):200 円
    小・中学生:100円(未就学児無料)
    ※上記金額にて、『大乙嫁語り展』と5階常設展示入場可
【主催】神奈川県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)指定管理者:公益社団法人青年海外協力協会
【漫画家】森薫
【協力】青騎士編集部
【企画制作・協力】株式会社KADOKAWA
(C)Kaoru Mori (C)Kadokawa Corporation 2022

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