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【漫画】揺れる恋心、自由すぎる発想…高校生たちの“わちゃわちゃ”を描いた4コマ漫画「東遊高校の日々」が尊い!【作者に聞いた】

  • 2023年5月18日
  • Walkerplus

高校生といえば青春真っ盛り。ちょっとしたことで大笑いしたり、今となってはくだらないことで盛り上がったり、誰かが気になってみたり……大人になって振り返ると、些細な出来事の数々を“尊く”感じるかもしれない。そんな悲喜こもごもあふれる高校生たちの日常を描いた4コマ漫画「東遊(とうゆう)高校の日々」がpixiv(ピクシブ)で投稿され、人気を博している。
作者は「★薄荷堂★(はっかどう)」さん。細やかで丁寧な絵柄が印象的な創作漫画を投稿する★薄荷堂★さんに、本作が生まれたきっかけや、創作上のこだわりについて話を聞いた。

■自分でも続いてびっくり。発作的に始めた創作漫画の目標は大きく「100話」!
過去、何度か漫画を描こうとしてみたことはあったという★薄荷堂★さん。しかし「根気も技術もなく続かなかった」のだそう。2023年5月現在、「東遊高校の日々」は80話を超えており、このことには自分でも驚いているんだとか。

「椿いづみ先生の『月刊少女野崎くん』や和山やま先生の『女の園の星』が好きで、愛読していたところ、発作的に自分も学園物の漫画を描いてみたくなったんです。元々、小さなペンタブレットは持っていたので、フリーのペイントソフトでとても軽い気持ちで描き始めました。4コマ漫画にしたのは、飽きっぽい自分でも、コマ4個分の絵なら描けるだろうと考えたからです。それを1話ずつ繋げてシリーズにすればストーリーも作れるんじゃない、という単純な思いつきでした。目標は大きく、100話にしました」

描いたら誰かに見てもらいたくなるのが創作者の常というもの。思い切ってpixivに投稿したところ、徐々に読者が増えていった。

「最初はほとんど見てもらえなかったけれど、それでも10話、20話…と続けていると、ぽつぽつ『おもしろいね』とコメントをくださる方が現れて、うれしくて調子に乗って今に至ります。流行りの絵や、洗練された絵は描けないので、サムネイル画像を開いてもらえないんじゃないかと心配していましたが、思い切ってアップロードしてみてよかったです」

東遊高校は私服通学ができる私立校だが、モデルとなった学校があるのだろうか?

「完全に創作である東遊高校ですが、自分の高校時代の遠い記憶を手繰り寄せて描く部分が多いので、それがモデルといえるかもしれません。例えば、私服通学がOKなところとか、体育祭などのイベントに生徒たちが熱心なところとか。自分は体操部だったので、その時の体験を作中に入れたりもしています。でも、先生たちのあだ名についての話を描いた時、『あるある!』と共感したコメントをいくつもいただいたので、古今東西、どこでも高校生の本質はみんな似たような感じなのかな、と思いました」

群像劇とあって多くの登場人物がいる。キャラクターを考える作業は★薄荷堂★さんにとって楽しい工程なんだそう。しかし、増えすぎて薄荷堂さん自身でもわからなくなってしまい、一覧表を作る事態に。

「大体の登場人物は創作当初から考えていました。細かい設定までは詰めていなくても、『○○が得意な子がいるとおもしろいな』というようにぼんやりとですが決めていました。回数を進めていくうちに、キャラクターが勝手に思わぬ方向に進んでいくこともありますね。例えば、五十嵐さんというおしとやかな女子が出てくるのですが、最初はただ茶道部のお嬢様キャラとして考えていたのに、後から、男子アイドルマニアだったり、BL好きっぽかったり、だんだんと濃いキャラになっていきました。アイドルの話のネタを思いついて、どのキャラクターを登場させようかなと考えた時に、これは五十嵐さんしかいないという感じでピタッとはまるんです。そうするともう最初からそういう子だったとしか思えなくなりました。キャラクターのモデルはいろいろなパターンがあります。実際に私が出会った人たちをモデルにして個性やエピソードを膨らませて作った子もいれば、憧れの有名人の外見に似せてみたり、まったくゼロから考えたりもしています。例えば鍛治くんは私の中学で人気者だった実在の先輩がモデル。ゾーィちゃんに無理めな恋をする地味な山田くんは、一から考えたキャラクターです。元々登場させるつもりではいましたが、軽音部員たちは途中で増やしたキャラクター。彼らはほぼ全員、好きなミュージシャンのルックスや雰囲気をモデルにしています」

★薄荷堂★さんは「画力の関係でちっとも似ていませんが」と謙遜するが、キャラクターのビジュアルモデルを想像しながら読んでみるのもおもしろそうだ。

■髪型や服装にもキャラクターの個性を反映。明るく楽しい学生生活を描く
現実の高校生活では、立ち直れないと思ってしまうような辛いこともままあるものだが、「東遊高校の日々」ではどの生徒たちも高校生活を満喫している。これは★薄荷堂★さんの一番のこだわりポイントだ。

「キャラクターがみんな、明るく楽しい学生生活を送れることを一番大事に描いています。それぞれに真面目で、一生懸命頑張っている『青春!』という感じのお話にしたかったので、あまり意地悪な子は描かないようにしているんです。ぱっと見は自己評価がむやみに高い、お騒がせな“やばい子”のような(佐藤)鈴音ちゃんも、彼女の持っているお茶目さや、彼女なりの友達を大事にしている様子を描いているつもりです。本当にひどい子だったら、小川くんが密かに(宇多川)怜ちゃんを好きだと気づいた時に、おもしろがってペラペラ話してしまうと思うのですが、鈴音ちゃんはそのあたりちゃんと秘密にしています。怜ちゃんが鍛治先輩ファンなことはペラペラ喋っていたけれど(笑)」

作画上でのこだわりを聞くと「できるだけ丁寧に」という答えが。

「私は今風の絵柄もおしゃれなすっきりした線も描けないし、デッサンもパースもわかっていないので、せめてできるだけ丁寧に描きたいなと思っています。今も投稿済の回におかしなところを見つけたらその都度手直しして画像を差し替えていますが、どんどんいろいろな箇所が気になり始めて収拾がつかない感じです」

丁寧にという言葉通り、本作を読んでいると登場人物たちの服装や髪型の描写もこだわっていることがわかる。東遊高校は私服通学ができる設定なので、私服の子もいれば、標準服の子もいる。★薄荷堂★さんに「お騒がせな“やばい子”のような」と言わせた佐藤さんに至っては、他校の制服を着用している。

「服装や髪形は、こういう性格ならこういう感じを選ぶかなと想像して描いています。例を挙げると、軽音部の坂本君はすごくおしゃれで、あのくるくるした髪型も実はスタイリングにとても時間をかけていて、服装は好きなロック・ミュージシャンを意識しつつも、もっとこぎれいで…、という感じです。作中ではそんな細かいところまでの設定は必要ないので、完全な自己満足ですが、考えること自体が楽しいですし、考えておくと絵も描きやすい気がします。ちなみに鍛冶君が昭和のアイドルみたいな頭なのは、彼が面倒くさがりで、且つ外見に無頓着だから。たまに理容院で極限まで短くして、そしてまた我慢できる限界まで伸びてからイヤイヤ切りに行く…、というサイクルを繰り返している設定です。天パが伸びているから、ぼさぼさ&くるくるしています」

細かいところまで気を配って描かれた本作は、まもなく目標の100話を迎えようとしている。読者には感謝の気持ちでいっぱいだそう。

「キリがいいからという単純な理由で目標100話と決めましたが、実際に4コマ漫画を描いてみると、1話描くのもアイデアから作画まで結構時間がかかることが分かってきて、大風呂敷を広げすぎたかな…と不安になりました。でも、読んでくださる方がいることが励みになり、なんとかやっとゴールが見えてきました!100話でちゃんとハッピーエンドに持っていき、きちんと各案件を回収できるか自分でもドキドキです。今しばらく東遊高校生たちのドタバタ学校生活にお付き合いください。よろしくお願いします!」と目標の100話に向けて意気込みを語ってくれた★薄荷堂★さん。100話を迎えた先はどのように考えているのだろうか?

「最初のころの話を清書して、見やすくしたいと思っています。それが終わったら…まだ何も具体的なアイデアは思いつきませんが、また東遊高校生との日々を送り始めてみるか、まったく別のお話に挑戦してみるか…?漫画制作はせっかく見つけた楽しみなので、マイペースに続けていけたらと思っています」とのこと。東遊高校生たちと★薄荷堂★さんの創作活動の行く末を見守っていきたい。

取材・文=西連寺くらら

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