サイト内
ウェブ

「煙のないマウンテンリゾート」を実現!山形蔵王温泉スキー場×フィリップ モリス ジャパンの取組みとは?

  • 2023年2月2日
  • Walkerplus

単独スキー場としては日本最大の面積を誇る山形蔵王温泉スキー場。最上部の樹氷原コースでは樹氷が見られることでも知られており、数多くのスキー場の中でも自然の観光資源が実に豊かなマウンテンリゾートだ。

この山形蔵王温泉スキー場では、日本のたばこ市場の約37.9%(※)のシェアを誇るメーカー、フィリップ モリス ジャパン、そして蔵王索道協会の協力のもと、2021年12月より「煙のないマウンテンリゾート」というコンセプトを掲げ、ゲレンデ内では燃焼をともなう紙巻たばこの使用を禁止。合わせて加熱式たばこ専用室を複数設けるという取組みをしたことで、注目を浴びている。聞けば、日本のマウンテンリゾートでは、たばこを取り巻く整備状況が諸外国に比べ遅れつつあることも、この取組みが注目される理由の1つでもあるようだ。
※2022年第3四半期時点(2022年7月1日~9月30日)

今回は山形蔵王温泉スキー場が全国に先駆け、「煙のないマウンテンリゾート」を目指すことになった経緯と現状について、プロジェクトの発起人であり、元アルペンスキー日本代表の伊東秀人さん、山形蔵王温泉スキー場エリアでの事業者の方々、そして取組みをバックアップしたフィリップ モリス ジャパンのプロフェッショナルチャネル開発部部長・鶴岡斉さんに話を聞いた。

■「良く言えば『優しい』、悪く言えば『曖昧』」?
伊東さんはこれまでに世界27カ国のスキー場で滑ってきた経験があり、フランスにも約3年ほど住んでいたそうだが、諸外国に比べ、日本のスキー場におけるたばこにまつわる環境は「アンニュイだ」と話す。

「日本のスキー場は、あらゆるルールに対して良く言えば『優しい』。『これは良い』『これはダメ』ということが曖昧で、例えばゲレンデにおいても『この場所で滑るのはライセンスが必要だ』といったことも曖昧だったんですね。もちろん、たばこにまつわるルールも同じです。ヨーロッパでは一般的に受動喫煙に対しても非常に厳しいルールが敷かれていて、裁判が起こることもあるほどです。しかし、日本はこの点でもまだ整理がされていないように映ります。こういった経緯から、私のスキー選手の同僚たちが所属するプロダクションを通じ、フィリップ モリス ジャパンさんに今後の展望をお聞きし、話し合いました。そこで、これからの日本のスキー場やマウンテンリゾートの在り方として、グローバルスタンダードなアクションを起こしていくべきだと考え、まずは地元からと思い、今回の『たばこの煙のないマウンテンリゾート』のプロジェクト立ち上げに至りました」(伊東さん)

ただし、同プロジェクトの立ち上げ時には一定数の反論や誤解もあったという。「外であれば、別に紙巻たばこを吸っても良いじゃないか」といった声があがったり、加熱式たばこ専用室で“煙が出る”紙巻たばこを吸う人がいたりしたそうだ。

蔵王ロープウェイ株式会社所属でZAOユートピアスキースクール校長でもある齋藤好美さんは、そのことについてこう語る。

「そもそも山形の地域性として、紙巻たばこを吸われる方が多いということもあると思いますが、立ち上げ当初から現在に至るまで、加熱式たばこしか認めていないエリアで紙巻たばこを吸われている方を見受けることもあります。ただし、立ち上げから1年を経て確実に浸透しているのは事実で、これは『煙のないマウンテンリゾート』プロジェクトとルールの周知を徹底した効果だと思っています」(齋藤さん)

さらに、蔵王観光開発の池田洋さん、蔵王温泉観光の小池浩さんにも聞いた。

「加熱式たばこ専用室には、確かにまだ紙巻たばこの吸い殻があったりしますが、それでもこの1年でお客様のマナーが良くなった実感はあります。ゲレンデでの加熱式たばこ専用室に加え、ゲレンデ外にしっかりと整備された紙巻たばこ専用室を作っていただいたことも、明確に『吸って良いエリア』『吸ってはいけないエリア』の周知につながっていると思います」(池田さん)

「プロジェクト以前は、エリア内にある『ジュピア』という施設の出入り口付近が、なんとなく喫煙スペースのようになっていました。しかし出入り口ですから、当然、お子様たちも出入りする場所。そういった場所でたばこの煙が漂うことは問題だと考えていましたので、今回のプロジェクトによって喫煙場所がはっきりしたことは大変喜ばしく思っております」(小池さん)

■喫煙可能な場所がひと目でわかる「喫煙環境ガイド」を発行
齋藤さんの話にあった「煙のないマウンテンリゾート」の宣言とルールの周知は、山形蔵王温泉スキー場エリア全体を通して強く打ち出されており、地元のコンビニエンスストア、商店や施設、バスなどで実に多く目にすることができる。このことも、多くの来場者への周知につながっていると言って良いだろう。

また、「加熱式たばこ専用室」「紙巻たばこ喫煙所」がある場所をわかりやすくマップで示した「喫煙環境ガイド」もフィリップ モリス ジャパンが制作。来場者に無料配布しており、これも多くの人の役に立っている。

「『喫煙環境ガイド』は三つ折りの防水仕様の紙で作りました。こういった喫煙環境に特化した告知物は、ほかのスキー場にはあまりないと思いますが、『煙のないマウンテンリゾート』としての周知の意味も込めて、無料配布させていただいています」(鶴岡さん)

「利用者の方からは、今では『これまで曖昧だったことで、コソコソ紙巻たばこを吸っていたが、明確にエリアを分けてくれたので気をつかわず吸えるから良い』といった声もいただいています。これも『煙のないマウンテンリゾート』の周知徹底や、『喫煙環境ガイド』の効果だと思っています」(齋藤さん)

■“非喫煙者を守りながらも、喫煙者も守る”モデルケースに
山形蔵王温泉スキー場のみならず、現在では他エリアでも同様の取組みが注目されるようになった「煙のないマウンテンリゾート」プロジェクト。最後に、今後の展望について聞いた。

「プロジェクト立ち上げから1年になりますが、まだ加熱式たばこ専用室に紙巻たばこの吸い殻が落ちていることがあります。しかし、それでも1年前に比べればはるかに減っていきています。2年目のこれからも、さらにプロジェクトとルールの周知を徹底し、この取組みが広がっていけばうれしいです」(池田さん)

「蔵王は1年を通し、四季折々の景色を楽しめる場所です。この場所できれいな空気を味わっていただき、存分に観光していただきたいです。そして、ゴミなどが一切落ちていない自然を楽しんでいただきたいと思っております。今後もこの取組みをしっかりやり遂げ、他のマウンテンリゾートにも広がっていけばいいなと思っています」(小池さん)

「プロジェクトを立ち上げる前、立案した当初に、『蔵王には良い温泉がある。やっぱりたばこの煙の匂いではなく、硫黄の香りが漂う温泉街がいいよね』という話をした記憶があります。私自身も、子供の頃から山形蔵王温泉スキー場で滑ってきており、蔵王の空気を今後も守っていきたいと思っております。結果的に、こういった取組みが日本各地のスノーリゾート全体に広がってほしいです」(齋藤さん)

「『東北地方で煙のないランドマークを作りたい』というところからスタートして1年、日本でトップレベルに有名なマウンテンリゾートの蔵王温泉と一緒に取組めていることを非常にありがたく思っています。全国の観光地や大型施設の喫煙環境の整備の機運はますます高まっていて、『煙のない社会』の実現を企業ビジョンに掲げるフィリップ モリス ジャパンとして官民問わず、クリーンで付加価値ある環境づくりのサポートをしていきたいと考えています」(鶴岡さん)

最後に、プロジェクトの発起人・伊東さんに結んでもらった。

「当初は1年でこれだけ変わることは想像していませんでした。しかし、周知徹底やマップなどの効果はもちろんのこと、山形蔵王温泉スキー場にお越しになるお客様のご協力によって、喫煙スペースの棲み分けは飛躍的に浸透しました。現状、東北エリアのスキー場でこれだけしっかりした喫煙スペースのセグメントをつけたところは、山形蔵王温泉スキー場だけです。『非喫煙者を守りながらも、喫煙者も守る』という、この取組みがさらに浸透し、モデルケースになればいいですね」(伊東さん)

取材・文=松田義人(deco)

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.