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内緒、出世、喫茶、玄関、アバター…これらの言葉の意外な共通点は?実は仏教由来の言葉30選

  • 2023年2月27日
  • Walkerplus

こんにちは。クイズを愛する2児のサラリーマンけんたろ(@kenlife202010)です。クイズ好きが高じて、日本語や雑学に興味を持つようになり、Twitterではクイズを中心に言葉の知識や雑学ネタを発信しています。

こちらでは「言葉にまつわる知識」をテーマに、よくある日本語の間違い、実は知らない身近なモノの名前、漢字、社会人としての言葉、言葉の雑学などをお伝えしていきます。

今回は「仏教由来の言葉」です。

仏教とは、約2500年前にインドで仏陀を開祖として開かれた、世界三大宗教の1つです。日本には6世紀に伝来したとされ、後に聖徳太子によって全国に広まったとされています。

とある調査によると、現在日本で仏教を信仰している人の割合は約30%いらっしゃるそうです。古来より仏教と関わりが深い日本であるため、日常で何気なく使っている言葉にも仏教由来の言葉が多く潜んでいます。

今回はその中から厳選してご紹介します。

旦那:サンスクリット語の「ダーナ」が語源で、施し、贈物、布施を意味していました。「檀那(だんな)」とも書きます。中国や日本では、仏教団体や寺院の後援者の意味で用いられてきましたが、転じて、妻が夫を、奉公人が雇い主を、商売人が客をこう呼ぶようになりました。

極道:元々は仏教の道を極めるという意味。江戸時代に侠客(強気をくじき、弱きを助ける人)を極めた人を「極道者」と呼ぶようになり、徐々にヤクザのことを指すようになりました。

挨拶:「挨」は押し合うこと、「拶」は迫ることを意味し、禅宗では「一挨一拶」と言い、門下の僧の悟りの深浅を試すための問答のことを指します。そこから応答や返答の意味で用いられるようになり、今では出会いや別れの言葉で使われるようになりました。

会釈:元々は仏教語の「和会通釈(わえつうしゃく)」の略語。矛盾した教義を突き合わせ、両立を可能とする深い理解を導き出すこと意味します。これが転じて、相手の気持ちをくみ取り対応することを意味するようになり、今ではその際の動作だけを指すようになりました。

縁起:サンスクリット語の「プラティーティヤ・サムトパーダ」が語源で、すべてのものに因縁があるという「因縁生起(いんねんしょうき)」の略です。そこから今では「縁起が良い(悪い)」のような幸・不幸の前兆をいう用法となりました。

玄関:元々は奥深い悟り(=玄)の道に入る門を意味。そこから禅寺、またはその客殿に入る小門を指すようになり、次に武家の居宅の正面入口を指すように。今では建物の正面出入口を指すように意味が広がっていきました。

出世:仏教語では、仏陀が民衆を救うためにこの世に出現することを言います。また「出世間」の略語であり、悟りを開くことを意味することもあります。これらの意味から出家した修行僧がやがて一人前になり、さらに高い位に上がっていくことを意味するようになり、今では地位や名誉を得ることの意味として用いられるようになりました。

我慢:強い自我意識から生まれる慢心のことで、煩悩の1つです。「高慢」「自惚れ」「強情」などと同義でしたが、そこから人に弱みを見せない姿勢が耐え忍ぶ姿と重なり、現在使われているような意味になりました。

喫茶:元々は禅宗で使われていた言葉で、「喫」には食べる・飲むという意味があり、「喫茶喫飯」とも言われます。「お茶をいただく時は飲むことに集中し、ご飯をいただく時は食べることに集中しなさい」という叱咤の言葉でありましたが、今では「お茶でも召し上がれ」という意味になりました。

畜生:サンスクリット語の「ティリヤンチュ」が語源で、輪廻の三悪道の1つに「畜生道」があります。何も考えず本能のまま悪行をした者は人間以外の動物に生まれ変わるという意味です。人より劣るものという考えから、今では罵る言葉として使われるようになりました。

愛嬌:仏教語の「愛敬相(あいぎょうそう)」が語源。これは仏の慈愛に満ちた優しく温和な容貌や態度のことです。徐々に顔かたちのにこやかで愛らしいさまを、さらに広く、表情・言動・態度などについて言うようになりました。その経過の中で、「敬」の字の代わりに「嬌」の字が用いられるようになりました。

皮肉:禅宗の言葉「皮肉骨髄」が語源。師が弟子を評価する言葉で、骨・髄は本質を指し、皮・肉はうわべを指しています。つまり皮肉とは物事のうわべしかわかっていないという非難の意味があり、そこから転じて現代でよく使われる意地悪い表現の意味となりました。

内緒:元々は仏教語の「内証(ないしょう)」であり、これが変化した言葉です。内証とは自分の心の中における悟りを意味する言葉で、これは他人には知ることができないということから、秘密の事柄を指すようになりました。

融通:元々は「融通無碍(ゆうずうむげ)」といい、すべてのものは単独で存在するのではなく、それぞれが互いに支え合い溶け合うことで宇宙の調和が保たれているという考え方のことです。そこから転じて、他人との調和を意味するようになり、必要に応じて臨機応変に物事を処理するという意味になりました。

勘弁:元々は禅宗の言葉で、考え定める・よく考えるという意味。また修行僧の考えを調べ悟りの深さを見極める問答を指す言葉でした。これに合格できれば次に進むことが許されたことから、「許す」という意味で使われるようになりました。

邪魔:仏教で仏道修行を妨げて堕落させようとする邪な悪魔のことを指す言葉。「魔」は死や殺害を意味するサンスクリット語の「マラ」から来ています。そこから今では物事の進行を妨げるものを指すようになりました。

意地:仏教用語で人間の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の次にある第六感の「心」のことを指す言葉。人の心は大地のようなものであり、あらゆるものを生み出し、また収める無限の可能性をもっているとされています。

貪欲:仏教では「とんよく」と読みます。仏教では迷いの原因を欲望と考えており、貪欲(貪り)・瞋恚(怒り)・愚痴(無知)の3つを三毒といいます。貪欲は家や財産のように目に見えるものだけでなく、愛欲、名誉、権力、命などあらゆるものに対して執着して追い求めることを表します。

億劫:「劫」は仏教語で、極めて長い時間を意味します。それの一億倍であることから想像できないほどの長い時間を意味しています。そこから転じて、時間がかかってやりきれないという面倒さを表す言葉となりました。

アバター:サンスクリット語の「アヴァターラ」が語源で、「神仏の化身」を意味します。ゲームやインターネットの仮想世界の中で、自分の分身として操るキャラクターのことをアバターと呼ぶようになり広まりました。今後メタバースが広がっていく中で、使用する機会がますます増えていきそうです。

一大事:仏が民衆を救済するためにこの世に出現する上で、最も大事な理由のことを「一大事因縁」と言います。ここから因縁の部分が省略され、一般に広まり、重大な出来事を指すようになりました。

正念場:仏教語で「正念」は仏を心に思うこと、邪念のない安定した心などの意味があります。歌舞伎の見せ場である「性根場(しょうねば)」と結びつき、現在の大事な場面を表す言葉として「正念場」と言うようになりました。

有頂天:ヒンディー語で最高の場所を表す「バヴァアグラ」が語源で、存在(有)の頂点(頂)である天上界(天)を表す語。この天に上り詰めたような気持ちから転じて、喜んで夢中になる様を表すようになりました。

金輪際:仏教の宇宙観では、「風輪」「水輪」「金輪」の三層があり金輪はその最上部にあたり、金輪と水輪のギリギリの境を「金輪際」と言いました。そこから転じて、現在では強い否定の意味で使われるようになりました。

醍醐味:醍醐は牛乳を精製して作られる乳製品を意味します。その精製の過程は5段階に分かれており、最終段階に位置する最上級の味のことを「醍醐味」と言いました。そこから転じて、すばらしいもの、物事の神髄などの意味で使われるようになりました。

大丈夫:元々は心身ともに優れた立派な男子のことを「丈夫」と呼び、美称として”大”が付けられ「大丈夫」は仏の別名となりました。そこから室町時代以降に、「頑丈なさま」「安全・確実なさま」を表す語に転じ、さらに明治時代以降は「頑丈なさま」の意味は丈夫、「安全・確実なさま」は大丈夫と言うようになりました。

頑張る:自分の意を張り通すという意味の「我に張る」が転じたもの。仏教では執着は悪とされているため軽蔑の意味合いで使用されてきましたが、現在はポジティブなイメージで使われるようになりました。

ひどい:仏教では悟りを求めて修行することを「道」といい、その道から外れることを「非道(ひどう)」と言いました。それが形容詞化し、残酷や程度が甚だしいという意味で使われるようになりました。

不思議:仏教語で、人間の考えも及ばず言葉でも言い表せないことを意味する「不可思議」の略。また、常識では理解できないという意味から、考えられないほど非常に多い数という意味で、「10の64乗」という数の単位として「不可思議」が使用されています。

ありがとう:仏教の「有り難し」が語源。有ることが難しい、つまり“めったにない”ということには希少価値があるためプラスの評価が加わり、さらに“めったにないほど尊い”というニュアンスとなり、感謝の気持ちを表す言葉になりました。

いかがだったでしょうか?普段何気なく使っている言葉と仏教の意外な関係性を知ることができたのではないでしょうか。仏教の思想などが強く反映されている元々の意味から、現在広く使われている意味への移り変わりがあるのも面白いポイントですよね。この機会に仏教について学んでみるのも良いかもしれません。

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