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「勉強はできるし友達もいる」ただ漠然と「学校に行きたくない」みんなも思ってた?思春期の鬱蒼としたひと夏を描く

  • 2022年10月27日
  • Walkerplus

穏やかな生活で何一つ不満はない。なのに、ただ漠然と「学校へ行きたくない」という思いが強くなっていく。そんな学生のもやもやとした心情を描いた作品は、10月に投稿されてすぐに1.8万いいねの反響を得た(2022年10月21日現在)。「心の機微が繊細に描かれてる!」「もやもやした気持ちに答えをもらえた感じ」「静かにグッときた」などの声も集まっているあやき(@kaerimaasu)さんの「不良クラスメイトと夏休みを過ごす話」を紹介しよう。

■日々のちょっとした出来事で心の移り変わりを描く
父親が事故で他界し、母の実家に戻った主人公のまひろ。今は、母と祖父母の4人で暮らしている。春から新しい学校に通い始め、虐められるわけでもなく、そこそこ友達もできた。しかし、日に日に「学校に行きたくない」と言う気持ちが強くなっていく。

同じクラスの「柴崎」は、学校にこない。彼は新入生のまひろのことを知らないが、まひろは柴崎を知っていた。犬の散歩でよく会う彼は「柴崎」と言う名札をつけている。彼は学校へ来ないで、一体何をしているのだろう。

そんな折に、ガソリンスタンドでアルバイトをしている柴崎と会う。「なんとなく学校へ行きたくなくなった」気持ちを柴崎に話し、なぜ柴崎は学校へ来ないのかと聞いてみる。すると、柴崎は「なんとなく、学校へ行くのが面倒」で行かなくなったという。さらに「理由なんか後付けでよくね?」と言う。そんな一言で、まひろは心の奥がすっと軽くなる気がした。

柴崎との出会いを通じて、ぼんやりと「学校へ行きたくない」気持ちに形が見え始め、なんとなく「行ってやるか」と言う気持ちに変化するひと夏。大きな事件は起こらないが、静かな日常と共にまひろの心の移り変わりを繊細に描いており、「何度も読み返したい」「前向きな気持ちになれる」と読者の声が届く。

■1日で枯れてしまう「月下美人」を描きたくて描いた本作
本作は、夏休みを淡々と過ごす小さなエピソードの中に、絶妙なセリフが要所に盛り込まれている。ただ漠然と「学校へ行きたくない」と感じていたまひろだが、学校にこない柴崎と出会い、少しずつ気持ちが変化していく。今回はあやきさんに本作を描いたきっかけや制作秘話についてインタビューした。

――学生のひと夏を描いた作品。本作はどこかの応募作品や掲載された作品なのでしょうか?描いたきっかけを教えてください。

趣味で描いたもので、2022年2月にpixivにアップしました。自宅に月下美人があり、初めて見たとき「こんな植物があるんだ」と驚きました。月下美人をモチーフにした話を描きたいと思い、暑い時期にしか咲かない花なので自然と夏の話になりました。ボーイミーツボーイが好きなため、高校生の夏休みの話にしようと思ったのがきっかけです。

――「何となく学校に行きたくないもやもやした感情」がうまく描かれていて共感される読者が多かったです。感想はいかがでしょうか。

ありがとうございます!私もよく「学校になんとなく行きたくない」になっていました。誰かとなんでもないことを話したり、関わったことで具体的に何が解決するわけでもないけど、少し気持ちが楽になることがあると思うのでそこを描けたらいいなと思いました。

――明確な理由がなくてもやっていいという背中を押される漫画ですね、静かな空気感で、でも読後グッときます。漫画を作る上でこだわっているところはありますか?

セリフの量とテンポです。まずは漫画を読んでもらえるように、を意識しています。

――始まりを予感させるラスト。期待感溢れる終わりがすごくよかったです。ネームを組み立てる上で迷ったことなど、制作の裏側などがあれば教えてください。

「ちょっとだけいいことがあった夏休み」にしたかったので、暗くならないようにしようと考えていました。ラストが決まらず、最初は新川くん1人で登校するシーンでしたが、柴崎くんも「まぁ、学校行くか~」という気持ちになったんじゃないかなと思って、あの終わり方になりました。

――その他にはどんな漫画を描いていますか?

ボーイミーツボーイの漫画が多いです。11月に「Webコミックメディア路草」にて『べんりなふたり(仮)』が連載開始予定です。初めての連載作品ということもあり、ぜひ読んで頂けると嬉しいです!

学校へ行きたくないまひろの柴崎への憧れや心の奥にある不安を静かに描いている。漠然と感じていた「行きたくない理由」の答えは明確にはならないが、それでもなんとなく「行ってやるか」と背中を押される作品だ。

■取材協力:あやき(@kaerimaasu)

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