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ノートの罫線によじのぼったり、ぶら下がったり。3095匹の「罫線で遊ぶ動物」の自由っぷりが可愛い!

  • 2022年7月16日
  • Walkerplus

2020年4月8日、Twitterである一つのツイートが投稿された。「『罫線で遊ぶ小動物』が1RTにつき1匹増える手帳です」という文章と共にアップされたのはノートの罫線をよじのぼっている小さなカエル。このツイートがあれよあれよとRT(リツイート)され、最終的に2.2万RT、6.1万いいねを獲得した。

そして2年が経過。「私は2年程前にTwitterの企画で動物を22000匹描く事になった女です。」というツイート共に投稿された画像には、陸と海のあらゆる動物たちがノートに描かれていた。その数、3095匹(2022年7月現在)。「罫線で遊ぶ動物」と題された通り、動物たちは罫線によじのぼったり、ぶら下がったり、紙をかじったりとそれぞれが思い思いに過ごしている。ツイート主は北海道千歳市を拠点に活動している画家の晴夏(はるか)さん(@_harenatsu)。どうしてこの企画をスタートさせたのか、晴夏さんに聞いた。

■話題を作りたいと思って投稿したツイートが数十年かける企画に
幼少時から「画家になりたい」という夢を持っていたという晴夏さん。「物心がつき始めたころには画家になりたいと思っていたので、いつから画家を志したのか、きっかけとかは覚えていません。ただ、物作りが得意な父の影響が大きいと思われます」と話す。普段はオーダーメイドの油絵や水彩画を手がけている。

「壁や窓、シャッターといった建物に描くこともあれば、Tシャツやトートバッグなどの布製品、家具、楽器などキャンバス以外のモノに絵を描く仕事もしています」

そんな晴夏さんが「罫線で遊ぶ動物」を考えたのはコロナ禍がきっかけだという。「当時、コロナ禍でお仕事が減少傾向にあったので、何か話題になることを作りたいと思い、始めました」と語る。

そうして初めて描いたのが一匹のカエル。罫線をよじのぼる姿がなんとも愛らしいが、最初のカエルは「理由は特にありませんが、最初に描いたのでなんとなく思い入れが強い」一匹となったそう。

「画材はシャープペンシルと色鉛筆を使っています。数十年かけてやっていく企画になると思うので、罫線がある手帳、ノートに描くということ以外は縛りを設けていません。動物の配置や全体的な色味のバランスにこだわって描いています」

2万2000匹も描くとなると、モチーフ探しも苦労しそうだが、大変ではないのだろうか?

「世の中には本当にいろいろな種類の動物がいますし、同じ動物でもそれぞれ個性があるので、ネタが尽きることはないと思います。モチーフは、自分で撮った写真やフリー素材の写真、SNSのフォロワーさんから募集した写真を使用しています」

「罫線で遊ぶ動物」のモデル募集は不定期に実施。自分のお気に入りの動物を描いてもらえるチャンスなので、興味がある人は晴夏さんのSNSをチェックしてみては。

■ギャラリーでは「罫線で遊ぶ動物」をテイクアウトできる!
北海道千歳市にギャラリー兼アトリエを構える晴夏さん。ギャラリーでは晴夏さんの作品を鑑賞できるだけではなく、手帳を持ち込むと自分だけの「罫線で遊ぶ動物」を描いてもらえる(1匹3000円〜)。晴夏さん曰く「絵のテイクアウト」というわけだ。量産された印刷物ではなく、その場で自分だけの一匹を描いてもらえ、それを持ち帰ることができるというのは特別な体験になること間違いなしだ。

2年間で約3000匹ということは、同じペースだと2万2000匹描ききるのには15年近くかかることになる。「このシリーズは自分でも気に入っているし皆様からもご好評頂いているのできっと一生描き続けます。だから必ず22000匹達成はします。ただ本当にマイペースで申し訳ございません…」と晴夏さんはツイートしている。

話題がどんどん移り変わるSNSの世界で、RTやいいねの数を使った企画はさまざまあるが、果たしてどれだけの人が(しかも予想外にバズってしまった時に)目標を達成できているだろうか。しかし、地道に、ひたむきに絵に向き合う晴夏さんなら必ずや2万2000匹を達成するだろう。2万2000匹を描き上げたら「個展の開催や画集の販売のご要望がとても多いので、いつか実現したいと思っています」とのこと。その日を期待して待ちたい。

取材・文=西連寺くらら

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