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廃車になった地下鉄が、かわいいバッグに生まれ変わる!開発企業のこだわりとは?「つり革を使ってみたかった」

  • 2022年6月15日
  • Walkerplus

高い技術を持つ大阪や関西の製造企業とクリエイターを結び、新たな商品を生み出すことを目指す大阪メトロ主催の事業「Osaka Metro クリエイト」。手掛けるプロジェクトの1つ「廃車再生プロジェクト」は、引退した大阪メトロの車両の一部を再利用して商品を作る取り組みだ。

今回は、地下鉄の廃車部品からバッグを製作した大阪の鞄・袋物製造メーカー、サンワード株式会社の代表取締役 池田さんに、バッグを作ろうと思ったきっかけや、こだわりのポイントなど聞いた。

■つり輪と貫通幌を再利用!電車好きだけでなく誰でも持てるデザインに
サンワード株式会社は、廃材やリサイクル素材を使用し、環境に配慮した商品の開発を積極的に行っている企業。今回、地下鉄の廃車からバッグを作ろうと思ったきっかけはなんだったのだろうか。

「Osaka Metro クリエイトの参画依頼があり、プロジェクトに加わったことがきっかけです。もともとアップサイクル事業に取り組むなかで、日常的に目にしているつり革に大変興味があり、それを使ってバッグを手掛けてみたいと思っていました。そのため、すでにデザインを含めた構想もできていました」

なんとデザインまで事前に考えていたという池田さん。その思いが実現し、ショルダーバッグと2WAYトートバッグの2種類を製作。バッグの持ち手にはつり輪、底とつり輪の固定部分には連結した車両間の通路を覆う貫通幌(かんつうほろ)を使用している。

「電車好きの皆さんだけでなく、それ以外の方にも笑顔で持っていただけるデザインにこだわりました」と語る池田さん。色は大阪メトロの路線カラーに合わせた8色展開。日常でも使いやすく、かわいらしいデザインに仕上がっている。随所にちりばめられたアイデアによって、廃車の再利用というよりは、地下鉄がバッグに生まれ変わったという印象だ。

バッグは、廃車部材の解体・洗浄・消毒作業から製作まで、全てサンワード株式会社のスタッフの手で行われている。商品ができあがるまでは、どのくらいの時間がかかったのだろうか。また開発時の苦労についても聞いてみた。

「部材を供給していただいてから、約6カ月で完成形ができあがりました。貫通幌から鉄パイプを取り外すときは、大変な苦労と労力を費やしましたが、それ以外はずっと楽しく商品づくりができました」

■「今後は新たな鉄道会社との取り組みも広げたい」環境・社会に貢献できるものづくりを
廃車から生まれたアイテムはバッグだけでなく、貫通幌で作られたポーチも展開。バッグの人気は特に高く、なかでも「2WAYトートバッグ」が1番人気とのこと。購入者からも路線に合わせたカラー展開や、切符をモチーフにしたブランドタグのデザインなど、こだわりのポイントが喜ばれているそうだ。

「廃車再生プロジェクト」で作られた商品は、「RAU-RAU-G HAITETSU(らうらうじ ハイテツ)」というブランド名で、サンワード株式会社とOsaka Metro クリエイトのオンラインショップにて購入できる。「RAU-RAU-G」は今回の商品に限らず、廃棄される消防用ホースや、ペットボトルをリサイクルした再生素材の商品にもつけられている。どのような意味があるのだろうか。

「『らうらうじ』とは奈良・平安時代の古語で、『清らか』『美しい』などの意味を持ちます。地球が再び清らかで美しい星になってほしいとの願いを込めてつけました」

池田さんは、商品の開発・製作において「少しでも社会貢献ができ、手に取った皆さんが『笑顔』になるものづくりを心掛けています」と語る。サンワード株式会社ではそんな思いから、環境にやさしい商品だけでなく、平等な働き方を考慮して障がいのある人との共同企画商品なども手掛けている。最後に、今後の展望について聞いてみた。

「『RAU-RAU-G HAITETSU』ブランドとしては、Osaka Metroだけでなく神戸市営地下鉄をはじめ、新たな鉄道企業様との取り組みを広げていくつもりです。今後もっとおもしろいアップサイクル事業の構想もありますので、楽しみにしておいてください。また、障がい者アートや、環境に配慮した製品を使ったSDGsがコンセプトの空間づくりもしていきたいと考えています」

廃車プロジェクトの新たな商品はもちろん、サンワード株式会社のこれからの事業展開にも期待したい。

取材・文=松原明子

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