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【SDGs】「プラスチックの回収と再資源化で海を守りたい」環境負荷低減に貢献するシードの想い

  • 2022年4月11日
  • Walkerplus

2030年の達成に向けて世界的にSDGs(エス・ディー・ジーズ/持続可能な開発目標)への取り組みが活発になり、各企業で多様な活動が行われている。今回は美しい海の環境を守り、プラスチックリサイクルの取り組みを積極的に展開する株式会社シードの活動を紹介する。

■コンタクトレンズの空ケースをユーザーから回収

株式会社シードは1957年の創業以来、「眼」の総合専門メーカーとして多様な商品展開や事業を行い、あらゆる人々の「見える」をサポートし続けている。シードの主力製品であるコンタクトレンズは、レンズそのものをはじめケースやシュリンク(パッケージを包んでいる透明フィルム)など、その素材のほとんどがプラスチック製だ。シードでは2019年から、ブリスターと呼ばれるコンタクトレンズの空ケースをユーザーから回収する活動“BLUE SEED PROJECT”を行っている。

「昨今、海洋プラスチック問題が世界的にもかなり話題になり、日本でもレジ袋の有料化などが積極的に行われています」と話すのは広報・SDGs推進室主任の及川智仁佳さん。「当社は、工場内で排出された廃プラスチックは100%工場内でリサイクルしています。しかし、お客様の手に渡った商品は、その後各地方自治体の基準に沿ってリサイクルもしくは廃棄処分されています。なんとか、そのプラスチックを当社で回収し、マテリアルリサイクルできないかと模索し、2019年に“BLUE SEED PROJECT”を発足したのです」

■「何度でも生まれ変わるプラスチック」に着目

“BLUE SEED PROJECT”では、眼科やコンタクトレンズ販売店、取引先企業など約200施設に回収ボックスを設置。回収したブリスターは有価物としてリサイクル業者へ販売し、物流パレットに生まれ変わる。

「当社が扱うのは純度の高いプラスチックなので、日用品に再生することもできます。しかし使った後に捨てられてしまうのではリサイクルの意味をなさないので、何度でも生まれ変わる物を模索し、最終的に物流パレットに着目しました」と及川さん。パレットが脆くなった後も、再度溶かして新たなパレットを作り、無駄を生まないサーキュラーエコノミーと、モノからモノへと生まれ変わるマテリアルリサイクルを実現している。

■青く美しい海を守るために、海の保全団体へ寄付

リサイクル業者へ売却した収益は、海の保全団体である「一般社団法人 JEAN」へ寄付をしている。及川さんは「もともとこの活動のきっかけとなったのは、海の環境を破壊する恐れのあるマイクロプラスチック問題です。コンタクトレンズはマイクロプラスチック問題として直接関係しているわけではありませんが、プラスチックを扱うメーカーとして、青く美しい海を守りたいという思いがあり、収益はJEANへ寄付しようということになりました」とその理由を話す。

JEANでは毎年定期的に海岸のクリーンアップキャンペーンを行っている。またその活動で得たデータを蓄積し、漂着散乱ゴミ問題解決のために利用している。シードからの寄付は、こうした活動に役立てられているのだ。

■社員の意識向上や、問い合わせも増加

シードでは本社や工場にも回収ボックスを設置し、社員からもブリスターの回収を行っている。有価物としてリサイクル業者へ渡すにはケースのアルミ蓋を必ず剥がすことや、乾かした状態にして清潔な状態を保つことが大切だ。これらのルールはきちんと守られているという。「中には家族や友人の分も持ってきてくれる社員や、取引先の企業にも積極的に声をかけてくれる人もいます」と話す及川さん。また一般の人々からも、回収に参加したいなどの問い合わせが増えているという。

「今後も回収ボックスの拠点を増やして、引き続き皆さんが気軽にリサイクルができる仕組みづくりを行っていきたいと思います。また地域イベントも展開し、そこでの回収や啓発活動も積極的に行っていこうと考えています」(及川さん)

“BLUE SEED PROJECT”活動は、さらに拡大し続けていく予定だ。

■廃プラスチックを再資源化するシステム「ドックス」の開発

シードでは、廃プラスチックのリサイクルに対しても積極的な取り組みを行っている。きっかけとなったのは2017年に中国が廃プラスチックの輸入を禁止したことだ。「それまで国内の廃プラスチックの相当量が中国へ輸出されていましたが、禁止になると国内に廃プラスチックがあふれることが予想されました」と話す生産管理部設備管理室次長の土橋亮さんと、係長の野呂伸司さん。

さっそく、リサイクル処理業の「株式会社ダイトク」と協議を重ね、シード専用にプラスチック高度リサイクルシステム「ドックス」を開発。「当社では、医療で使われるグレードのポリプロピレン(PP)を使用しています。このPPと蓋のアルミ部分、コンタクトレンズの残り片の3種類を分別することができれば、それぞれ価値ある資材になる。そこで『ドックス』を活用してプラスチックを再資源化し、有価物として販売するフローを構築しました」と土橋さんはいう。

■分別の重要性を辛抱強く周知徹底

「これまでは、廃プラスチックを燃やす時に発生する熱エネルギーを回収して再利用するサーマルリサイクルを行っていたので、プラスチックであればどの形でもよかったのですが、有価物として再生するマテリアルリサイクルを実現するには3種類に分別しなくてはなりません。これらを全社員に周知させるのは大変でした」と2人は声をそろえる。

24時間稼働する工場ではお互いに顔を合わせない社員もいるため、「各部署の責任者とともにダイトクさんへ足を運び、現場で分別の重要性を実感してもらうこともしました」と話す。結果、ルールが徹底され、分別もうまく行われるようになったという。

■ルール遵守へと社員の意識が変化

高度管理医療機器を製造するシードでは、異物混入を防ぐために、製造現場に入る前の管理エリアはもちろんのこと、各部署への入室ルールも厳格に決められている。廃プラスチック分別の取り組みとほぼ同時にこうした異物混入防止問題にも取り組むうちに、社員の意識が変化してきたと土橋さんはいう。「決められたルールを守らないとどういうことになってしまうか、ということを1人ひとりが考えるようになったと思います」。廃プラスチックの分別活動を通して、ルール遵守の重要性に対する社員の理解が深まったと2人は確信している。

■今後の展開

今後について「コンタクトレンズの会社として、まずは本業を全うすることがSDGsの課題解決につながると思いますので、引き続き、環境問題に取り組みながら、よりよい製品の提供を目指し続けます」と及川さん。持続可能な未来の実現に取り組むシードの活動はますます期待されている。

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