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ビオフェルミンは嚙んでOK?いつまで“新”ってつくの?会社創業105周年「新ビオフェルミンS」の謎に迫る

  • 2022年3月16日
  • Walkerplus

近年流行している「腸活」。腸内環境を整えることに関心を持つ人が増え、腸活によって花粉症の改善や肌荒れの沈静化、口内炎の治癒など、乳酸菌の新たな力に驚く人も多い。

そんな腸活ブームのさなか、昔から大勢の人の腸内環境を支える「新ビオフェルミンS錠(指定医薬部外品)」が改めて注目されている。“新ビオフェルミンエッス♪”“人には人の乳酸菌”というCMを見たことがある人も多いのではないだろうか。ビオフェルミン製薬は2022年2月に創業105周年を迎えた、子供から大人まで幅広い世代に愛されているロングセラーの整腸薬だ。

多くの人にとって生まれた頃から身近にあり、“胃腸の調子がすぐれないときにとりあえず飲むもの”というイメージがある薬だが、結局どんな効能や歴史があるのかはあまり詳しく知られていない。さらに新ビオフェルミンS錠を「噛んで飲む」という人が一定数いるという。本来薬は噛まずに水で飲むもの。噛んで飲むとは一体どういうことなのか…と思っていた時にそういえば、“新”がついているけど新商品だっけ…と素朴ながらもさらなる疑問が。

今回はそんな謎多き新ビオフェルミンSについて、入社以前から“ビオフェルミンファン”というビオフェルミン製薬 マーケティング担当の鈴木仁美さんに話を聞いた。

■便秘にも軟便にも効果あり!新ビオフェルミンSの基本効果
「新ビオフェルミンS」と聞けばとにかくお腹に優しいイメージだが、基本的にはどのような効果がある薬なのだろうか。

「新ビオフェルミンSは、役割の異なる3種類の乳酸菌・ビフィズス菌が入っている薬です。小腸から大腸まで腸全体の環境を整えて、便通を改善していきます。お腹がゆるい時だけに飲むと思われがちですが、女性に多い便秘から男性に多い軟便まで幅広く効果が期待できるんです。お腹の調子を整えるためにも服用いただけます」

腸内環境を整えるために必要な善玉菌が含まれているため、腸内環境の乱れから発生する便秘・軟便に効果があるとのこと。一見真逆に見える症状ではあるが、実はどちらも悪玉菌の増加が原因。便秘になるか軟便になるかは人それぞれ異なるが、新ビオフェルミンSに含まれた善玉菌の作用によって、そのどちらにも効果があるということだ。

■実は関西生まれの105歳!過去には廃業の危機も
「新ビオフェルミンエッス♪」というテンポのいいメロディのCMには大正製薬の名前が流れるため、新ビオフェルミンSは大正製薬の商品だと思っている人も多い。しかし大正製薬は販売元であり、製造元は「ビオフェルミン製薬」という、兵庫県に本社を置く企業だ。

「あまり知られていませんが、ビオフェルミンは実は関西生まれの商品なんです。現在もビオフェルミン製薬の本社は兵庫県神戸市にあります。“実は関西生まれ”というのが広まって、関西名物として知られるようになったらうれしいですね」

ビオフェルミン製薬は2022年2月で創業105周年を迎え、ビオフェルミンシリーズを大正の時代から代々愛用している家庭も多いようだ。だが決して順調な道のりだったわけではなく、長い歴史のなかで廃業の危機に陥ったこともあったという。

「本社や工場が神戸市内にあったため、1995年の阪神淡路大震災では大きな被害を被ったようです。特に工場の被害が大きく、廃業の危機だったと聞いています。幸いなことに培養元となる原株が残っていたため、現在まで歴史を紡ぐことができたようです」

本社や工場が壊滅的な被害を受けていたため、立て直しには長い時間がかかったそう。それでも翌年には本社・工場ともに新築移転を行い、さらに震災から2年後の1997年には新商品の発売を行うなど、神戸市に元気を届ける存在となっていたようだ。

■50年も“新”を名乗る理由。一体いつまでつくの?
「ビオフェルミン」という名前は、“生命”や“生きた”という意味を持つ「バイオ」(Bio)から取った「ビオ」と、“酵素”や“発酵”という意味を持つ「フェルメント」(Ferment)から取った「フェルミン」を組み合わせて名付けられた。“生きた菌”という意味合いもあるという。

「実は新ビオフェルミンSの中に含まれる乳酸菌やビフィズス菌は“仮死状態”なんです。新ビオフェルミンSを飲むと温度や湿度などの環境が整ったお腹の中で菌が生き返り、本来の乳酸菌やビフィズス菌の力を発揮する、という仕組みです」

仮死状態で菌が入っているとは驚きだ。まさに“生きた乳酸菌”を服用できる薬であると気付かされる。

現在販売されているのは「新ビオフェルミンS」だが、ビオフェルミン最大の謎といえば、この“新”という文字。あまりにも長い間“新”がついているように思うが…。

「“新”とついているのは、1966年発売の2代目からです。初代は普通に何もついていない『ビオフェルミン』として販売していて、腸の中で増えやすいフェカリス菌と、乳酸菌のエサとなる糖化菌のみを配合した薬でした。2代目からはそれに加え、人の体内にもともと存在している乳酸菌・アシドフィルス菌が配合されました。新しい菌が配合されたことで『新ビオフェルミン』となったようです。商品名として“新”がついているので、今後開発される商品で外さない限り“新”はつき続けます」

ちなみに2代目の名前には「ビオフェルミンA」という候補もあったそうだ。しかし、当時販売元だった武田製薬の商品「アリナミンA」と名前が似ていたことから、「新ビオフェルミン」に決定したという背景がある。

「『新ビオフェルミンS』は1987年発売の3代目で、こちらにも新しい菌を配合しています。日本人と相性のいいビフィズス菌の一種、ビフィダム菌というものです。一方で、乳酸菌のエサとなる糖を作る糖化菌の配合を取りやめています。初代が発売された時代とは異なり栄養不足に陥る可能性も低いため、乳酸菌の増殖に問題がなくなったことが理由です。さらに、配合されている菌の濃度を10倍にしています。このような理由から、『ストロング』『スケールアップ』『3種』(サンシュ)といった意味で『S』をつけたようです」

■噛んで飲むのはOKなの?まさかのファンミーティングも存在
新ビオフェルミンSを実際に飲んでいる人はわかるかもしれないが、素朴な甘い味が印象的。「噛んで飲んでいる」という声も聞くが、効果が薄れることなどはないのだろうか。

「薬なのに苦くないので、噛んで飲まれる方もいらっしゃるようですね(笑)。新ビオフェルミンSを噛んで飲むことによって効果は変化しないと思いますが、基本的には水で服用をお願いします。細粒タイプも販売していて生後3カ月から飲めるため、小さなお子様や錠剤が苦手な方にはそちらもおすすめです」

小さな子供も飲める整腸剤として家族全員で愛用しているケースも多くあるようだ。さらに、長年愛されてきたビオフェルミンならではの企画も。

「過去にはビオフェルミン愛用者のファンミーティングを開催したこともあります。参加してくださった人の多くは30〜40代の女性でしたが、『子供の頃からよく飲んでいた』という声や『家族で愛用している』という声も多くいただきました。私自身、子供の頃からお腹の調子が悪い時は『ビオフェルミン飲みなさい』と母から言われて育ってきましたので、このようなお声にはとても親近感が湧きました」

■腸活はおまかせあれ!時代にフィットした整腸薬を
105年という長い年月のなかで、腸内環境を整える薬として地位を築いたビオフェルミンシリーズ。しかし進化をやめることはなく、2019年より企業限定で「新ビオフェルミンSプラス」のテスト販売を開始。新ビオフェルミンSに、菌の定着性・酸の産生能にも優れているロンガム菌というビフィズス菌の一種をさらに増やしたものを開発している。

「弊社では100年以上もの間、腸内細菌の研究を行っています。食生活が変化することで人々の腸内環境も変化していくため、その時代ごとに必要な腸内細菌を届けられるよう、引き続き研究開発を行っていきます」

健康的な生活を送るための手段として話題の腸活だが、「人には人の乳酸菌」というように、1人1人効果を感じる部分も違うという。しかし大正時代から菌の研究を行うビオフェルミン製薬は、十人十色の腸内環境に寄り添うことはもうお手のもの。今後はどんな菌が配合されどのような効果をもたらしていくのか、そしてどんな名前になっていくのか?楽しみでしかたない。

取材=福井求
文=山口夏野

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