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ネルドリップコーヒーのまろやかさに驚き!築100年超の京町家を改装した「小川珈琲 堺町錦店」潜入レポ

  • 2022年2月26日
  • Walkerplus

京都は古きよきもの、伝統を守る街だといわれている。だが、伝統も最初は新しいもの。守るだけではなく新しいものを受け入れて育てる、伝統と革新を繰り返してきた。京都に根付くコーヒー文化もその一つだ。

その一角を支えてきた京都のコーヒー店・小川珈琲が2月11日、錦市場近くに「小川珈琲 堺町錦店」をオープン。斬新だけど伝統も息づく新店を一足早く体験してきたので、その様子をお伝えしよう。

■エシカルコーヒーの先駆者
小川珈琲は1952年に創業し、今年70周年を迎える歴史あるコーヒー店。30年前から地球環境や持続可能な社会のために、コーヒーロースターとしてサステナビリティを追求してきた。いわばエシカルやSDGsの先駆者だ。今回の新店は、その新たな拠点となる。

コーヒーメニューは「GRANCA(グランカ)」と名付けられた8種がメイン。有機JAS認証をはじめ、国際フェアトレード認証、バードフレンドリー(R)認証、オランウータンコーヒープロジェクト認証を取得した豆を使用する。産地はエチオピア、グアテマラ、インドネシア。コーヒー店の看板となるハウスブレンドは、エチオピアとグアテマラのブレンドだ。

■ネルドリップの実力に驚き。安定した美味しさで提供するためには?
同店ではコーヒーをネルドリップで提供している。雑味がなく豆の個性が際立つ淹れ方ではあるが、安定した味を出せないのがネルドリップの難しさ。そのため、バリスタのレシピを忠実に再現できるスイス製のドリップマシンを導入。いつでもおいしいコーヒーを提供できるよう、体制を整えた。

今回はオーガニックハウスブレンド010の「ミディアム」(600円)をいただいてみた。濃厚で、トロリと舌にまとわりつくような、なめらかな口当たりに驚かされる。力強いけどスムーズな味わいは、ワインに例えればフルボディ。さらに、冷めても苦みや酸味が出ず、最後までまろやかなのに驚かされる。

この味わいの秘密は抽出時の湯温にあり。92度ぐらいの湯を使うカフェや喫茶店が多い中、同店では88度とあえて低めの湯を使う。この温度帯だと苦みの少ない、まろやかなコーヒーを抽出できるのだ。

話題をネルドリップに戻そう。ネルドリップ導入の背景には持続可能な社会を目指す同社の姿勢も反映されている。フィルターは環境や社会に配慮したオーガニックコットンを使用し、環境への配慮も怠らない。もちろん、ペーパードリップと異なり、繰り返し使用できることもネルドリップ導入の理由の一つだ。ただ、ネルのフィルターは細菌が繁殖しやすいため、掃除や管理が大変。同店では使用後のフィルターを冷蔵庫で保管するなど、衛生管理にも細心の注意を払っている。

■コーヒー店だけど、食パンも焼いている
そしてもう一つ、小川珈琲にとって新しい試みが。なんと店内で食パンを焼いているのだ。といっても今流行りの生クリームや砂糖をたっぷり使った高級食パン路線ではなく、目指したのは「100年先も食べ飽きない、毎日食べられる食パン」。京都産の小麦を使用しているが、実は京都産の小麦は食パンにあまり向いていないそうで、京都を代表するパン店の「ル・プチメック」創業者の西山逸成さんが開発を担当。試行錯誤の結果、京都産小麦食パンと、全粒粉食パンの2種類が誕生した。

この食パンは店内にある炭火を使ったオーブンにて、わずか30秒で焼きあげられる。表面はカリッと、中はふんわりで、甘味が少なくあっさりした味わい。だけど、噛みしめるごとに旨味が広がっていく。確かにこれなら毎日食べても飽きない味だ。これに同店オリジナルの糀バターを付けると、おいしさが際立つ。この糀バターは牧草のみで飼育された牛からとれるグラスフェッドバターに、京都の「佐々木酒造」の米糀を加えて作ったもので、マイルドな口当たり。

同店の食パンを使ったメニューはモーニングなら「炭焼きトースト糀バター」(780円)のほか、季節のコンフィチュールや京都産大納言付き、季節野菜のポタージュ付きも。ランチでは「本日のサンドイッチ スープ添え」(1500円)、カフェタイムの「フレンチトースト糀バターとメープルシロップ添え」(1000円)など多彩なバリエーションがある。なお「京都産小麦食パン1/2本」(600円)、「全粒粉食パン1/2本」(700円)は持ち帰りも可能。

■築100年の町家に息づく伝統と革新
店舗は築100年を超える町家を改装した建物で、外観は街並みにしっくり溶け込んでいるが、内装はスタイリッシュ。ただ、何もかも変えるのではなく、もともとあった梁などは残され、そこかしこに町家の雰囲気を感じる。客席から見える坪庭もその一つ。この店のために新たに作られた庭ではあるが、もともと生えていたモミジの木を残し、現代と歴史が融和した不思議な空間が誕生した。コーヒーを飲みながら庭を眺めていると、時間を忘れてしまいそうだ。

また、2階にはイベントスペースも用意され、展覧会などが行われる予定。小川珈琲ならではのコーヒー文化を守り育てる姿勢と、チャレンジングな試みが一体になった小川珈琲 堺町錦店。コーヒー好きの人はもちろん、そうでない人にもコーヒーの魅力が伝わる新店に注目だ。

取材・文=鳴川和代

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